接待と手土産
すべて実食! 自慢の手土産。#11
「鈴懸」の〇すず籠
2018.12.10
開けたときにも食べたときにも小さな驚きがある九州生まれのお菓子
自分だけで楽しむにはもったいない、人に教えたい自慢の品、そこに小さな「ドッキリ」が加われば手土産としては最高だ。ふたを開けた瞬間に「ほおー」、ひと口食べた瞬間に「おっ」とつい口に出てしまう、創業九十余年、「鈴懸」のお菓子にはうれしい驚きがあるのだ。
ふらりと立ち寄った店頭に並んだ多彩な和菓子。そのたたずまいの美しさに目が釘付けになり、早々に購入して以来の大ファン。鈴懸のお菓子はひとつひとつがオーラを放ち、どれも凛(りん)とした気品がある。なかでも手土産としてオススメしたいのが、5㎝ほどのサイズのどら焼きに似た「鈴乃○餅(すずのえんもち)」と、鈴の形をした愛らしい「鈴乃最中(すずのもなか)」を詰め合わせた「〇すず籠」だ。
紙箱詰めもあるが、筆者の一押しは黒光りする竹籠に詰めた「〇すず籠」。このルックスだけでも十分に魅力的だが、さらにふたをあけたときに、思わず驚きの声を上げたくなる。籠の中に整然と並ぶ菓子の姿があまりに美しいのだ。
伊勢丹新宿店で一日に約1000個以上も売れるという人気の「鈴乃〇餅」は、ひと口食べた人がその瞬間に結構な確率で「おっ」と小さな声をあげる。多くの人はふんわりとした柔らかな皮を想像しながら口にするが、想像以上のもっちり感に驚くのだ。
さらに間に挟まれたあんも、ほかにはない奥深さがある。聞けば、こしあんにあえて小豆の粒を少量加えているそうだ。こうすることで、しっとりとしたこしあんに小豆の風味や食感がプラスされ、ひと味違う味わいが生まれるのだ。
「鈴乃最中」にも、風味豊かな十勝産小豆のつぶあんがギッシリ。店頭ではあんを詰める実演も見られる。新潟産もち米「コガネモチ」を使用した最中はサクッと軽く、皮の香ばしさと、あんのほどよい甘さのバランスがなんとも言えずいい感じだ。
「鈴懸」は福岡県の博多で創業、いまも本拠地は九州だ。「現代の名工」と称された初代中岡三郎の教えを守りながら、100年近く和菓子を作りつづけている。円形や鈴の形は邪気を払い、福を招くとされ、縁起もいい。老舗のセンスが生むうれしいサプライズとともに、年末年始のあいさつ回りの手土産にいかがだろう。
鈴懸 新宿伊勢丹店
東京都新宿区新宿3-14-1 新宿伊勢丹地下1階
営業時間/10:30~20:00
定休日/無休 ※休業日・営業時間は百貨店に準じる。
価格/○すず籠(鈴乃〇餅5個・鈴乃最中5個)1566円 ※価格は税込み
問/03-3341-1512
https://www.suzukake.co.jp/
Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT)
Styling:Keiko Katanozaka
Edit & Text:Mayo Morino