旅と暮らし
ハンバーガーは、ファッションに通ず?
2018.12.18
日本上陸3年目を迎えた、ハイクオリティなバーガーレストラン「シェイクシャック」。この11月、「チキンシャック」を新たなにレギュラーメニューに加え、販売をスタートさせた。揚げたてのチキンにトッピングは特製ハーブマヨソースとレタス、ピクルス。チキンの衣にはスパイシーな黒胡椒が混ぜられており、ビールやコーヒーとの相性は抜群。アメリカでは2年前に発売され、すでに世界中のシェイクシャックで人気メニューとなっている。チキンは牛肉や豚肉に比べて低カロリーで高タンパク。ヘルシー志向の強い日本人にとっても満を持しての登場となった。
日本におけるシェイクシャックの1号店は東京・明治神宮外苑にある「外苑いちょう並木店」。3年前にオープンし、今も多くの人でにぎわう人気店となっている。
来日中のシェイクシャックCEOランディ・ガルッティは枯葉舞うテラス席に座り、あたりの光景を見渡すと「この店の雰囲気は、私たちの原点でもあるニューヨークのお店にとても似ているんだ」と感慨深げに語りはじめた――。
2001年の夏。その日もマディソン・スクエア・パークに佇むホットドックカートには、長い行列ができていた。それは全米屈指の高級レストラン「ユニオン・スクエア・カフェ」の創業者ダニー・マイヤーが、公園内のアートイベントにあわせてオープンさせたホットドックとハンバーガーの小さな屋台。「高い品質とホスピタリティ」をコンセプトに掲げ、舌の肥えたニューヨーカーたちをたちまち虜にし、3年にわたってカートでの出店を続けた。
ニューヨーク市は「公園に人を集めるきっかけをつくった」と、その功績をたたえ、2004年、公園敷地内での常設店営業を許可。それこそが「シェイクシャック」の一号店となった。ガルッティは言う。
「ニューヨークのオリジナル(一号店)と同じように、ここ(外苑いちょう並木店)には流行とは関係なくコミュニティスペースとして人々が集まりやすいカルチャーが作られているね。そういうところも似ているよ。もちろん日本ならではの雰囲気もあって、とにかくこの居心地は素晴らしいね」
シェイクシャックは現在、アメリカをはじめ世界10カ国200店舗で展開している。日本には東京、神奈川、大阪の全10店舗、さらに来年の2月には大阪の茶屋町と静岡の御殿場プレミアム・アウトレットに親店をオープン予定という。
「世界のどこへ行っても同じ味、同じホスピタリティが提供されるのもシェイクシャックの魅力なんだ。品質の良い食材をより良い状態で味わってもらうために『チキンシャック』は、オーダーが入ってからフライしている。創業以来、変わらないスタイルが感度の高い人々に支持されてきたのだと思う」
品質とホスピタリティ。ファッションの世界にも通じそうなキーワードだ。
「その通り。私にとって、ファッションもフードも同じだ。SNSの時代になって、誰もがすぐに自分の好みや自分らしさを表現できるようになった。これからはその人が何を着るか、何を食べるか、何を選ぶかというセンスが大切になってくる。ふたつを分けて考えることもナンセンスなんじゃないかとさえ思うよ」
そう言って気さくな紳士は人懐っこく語る。袖口からのぞいたシャツをさりげなく整えながら。
シェイクシャック 外苑いちょう並木店
東京都港区北青山2-1-15
営業時間/11:00~22:00
問/03-6455-5409
Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT)
Text:Satoshi Miyashita