紳士の雑学

ビジネスに役立つパワポ・エクセル活用術①【パワポ編】
結果を出すためのプレゼン資料の考え方と流れ

2018.12.20

齋藤健太 齋藤健太

ビジネスに役立つパワポ・エクセル活用術①【パワポ編】<br>結果を出すためのプレゼン資料の考え方と流れ

資料の持つ本当の意味とは何か

ビジネスの現場では、さまざまな場面で資料を作成していると思います。むしろ資料を見ないときはないのではないでしょうか。事業計画書や営業資料、提案資料など、社内外問わずさまざまな資料が存在しています。重要なのはそれぞれの場の目的にふさわしい資料を作成することです。

しかし、その一方で資料作成に多くの時間をかけることができないのも事実です。いかに効率的に無駄なく資料を作成するのかが重要となります。

さて、プレゼンテーションする際にはプレゼンする目的については決まっているかと思います。来期の予算計画、新規事業企画書、販売代理店向け提案資料など、目的が決まっていないプレゼンテーションはないでしょう。ただ、その具体的な中身(内容)がなければプレゼンテーションはできません。このプレゼンテーションの中身こそが「資料」となります。

「資料」には、自分の考えや知識、経験、あるいは定量的なデータ分析結果など、さまざまな要素が含まれます。これらをプレゼンテーションの目的に合わせて効率的かつ適切に「資料」作成することが、仕事において結果を出すために非常に大切となります。

資料作成は流れが重要

効率的かつ適切に資料作成するためには、作成する流れがとても重要となります。資料作成するにあたって、よく目にする問題は、資料のまとめ方そのものと言うよりは、それ以前の情報やデータの集め方にあります。

「必要なデータや情報を調べて、その結果を資料にまとめる」という作成方法をしているケースをよく見ます。

しかし、効率的に成果につながる資料の作成方法は、それとは逆で「資料で伝えたい目的をまとめるために調べものをする」ことなのです。このことを意識するだけでも、資料作成の効率・効果は劇的に改善します。

効率的かつ適切な資料作成をするにあたっての流れは、
①目的に合わせて資料の流れを整理する
②整理した流れをもとに文章で書く
③各文章に必要な情報やデータを調べる
④文章および調べた情報・データを表現する
になります。

今回は、事例として、弊社グループ会社のサービス「企業出版における代理店獲得」を目的とした資料作成を題材にして説明していきます。

【プロセス1】目的に合わせて資料の流れを整理する

資料を作成するにあたって、真っ先に手を動かしてしまう方は要注意です。手を動かす前に、まずは考えましょう。パソコンを開いてググるのではなく、まずは資料の目的を達成させるための流れをどうするのか考えるのです。

書籍づくりも同じなのですが、まずはタイトルと目次を作成します。資料も同じです。まずは資料のタイトルと目次を整理することから始めます。

例えば、代理店獲得という目的を達成させるための資料の流れを下図のように整理します。ここでの大切なポイントとして、プレゼン資料(パワポ資料)は、1ページ1メッセージということです。「1ページで伝えたいことは1つ」ということを意識しましょう。

図1

また、今回の場合は販売代理店を獲得することが目的ですから、企業出版とはどういうものなのかということはもちろんのこと、代理店になることによるメリットや他社と比較した優位性について定量データを含めて説明することで、イメージを持たせやすくすることも大切です。

この資料の流れを整理するというプロセスが、結果を出すためのプレゼン資料作成に当って、最も重要な部分となります。

【プロセス2】整理した流れをもとに文章で書く

資料の流れが整理できたら、パワーポイントに移ります。まだ調べものはしません。パワーポイントを開いて「スケルトン」と言われる、いわゆる資料の各ページの枠だけ作成する作業を行います。

プロセス1で整理した目次を1ページずつ作っていきます。全ページの枠が出来上がったら、次は各ページにおいて具体的に何を伝えるか文章で書いていきます。実際にプレゼンする際に、そのページで何を話すのか、極端かもしれませんが、そのページで話す内容を一言一句文章で書くということをします。

スライド1

上図はプロセス1で作成した2ページ目「企業出版とは」について、文章化したものになります。このように、まずはそのページを見せた際に自分が言葉で伝える内容をそのまま文章にします。

【プロセス3】各文章に必要な情報やデータを調べる

ここでようやく「調べる」という作業になります。今回の事例でも分かるとおり、何かしら情報やデータを調べなければならないページは一部になります。

この本来であればプロセス3ですべきことをプロセス1と2の前に行ってしまうと、使用しない情報やデータを調べてしまう無駄が発生したり、反対に本来であれば調べなければならない情報やデータを漏らしてしまうリスクが生じてしまいます。

プロセス1で時間をかけてでもしっかりとプレゼンの目的を踏まえて資料の流れを整理することが、結果として効率性の高い資料作成となるのです。
※具体的な情報やデータの調べ方については、1月後半公開予定の「ビジネスに役立つエクセル活用術①問題解決のためのデータ分析の考え方と進め方」で説明します。

【プロセス4】文章および調べた情報・データを表現する

そして最後のプロセスは、実際にプロセス2で作成した文章や、プロセス3で調べた情報・データ類をプレゼンの目的、ターゲットに合わせて表現します。各ページの内容を、図表やイラストなども活用して読み手にとって分かりやすく表現します。

スライド2

このプロセス4はデザイン性も問われる部分になりますが、プロセス1~3と比較すると重要度は低くなります。「正確に伝わる」ことが重要なので、極端な話ですが、プロセス2の文章のままの状態でも乗り切ることはできます。
※目的やターゲットに応じたパワポ資料の作成方法については、次回公開予定の「ビジネスに役立つパワポ活用術②結果を出すためのプレゼン資料の目的・用途別作成方法」で説明します。

【まとめ】

プレゼン資料は日々の業務において切っても切り離せないツールです。だからこそ、作成プロセスはとても重要で、効率的に結果を導くための資料とするためには、いきなり手を動かすのではなく、どんな流れでプレゼンしていくのかをまずはしっかりと考え、整理することが必要なのです。

もしこれから資料を作成するのであれば、ぜひ一度その手を止めて、まずはプレゼンの流れを考えて目次を整理してみてください。

Vol.2はコチラから>>

プロフィル
齋藤健太(さいとう・けんた)
株式会社クロスメディア・コンサルティング 代表取締役社長
慶應義塾大学理工学部卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。
主に中堅規模(年商数百億)以上の企業をメインクライアントとしたプロジェクトに従事。化粧品メーカや卸・リテール業界など、幅広い業種において、中期経営計画策定やマーケティング戦略の構築、M&Aにおけるビジネスデューデリジェンス等の実績を有する。
独立後も複数のコンサルファームやファンドからアサインされ、企業の課題発見に従事、成果を上げる。

2013年9月にクロスメディア・パブリッシングより『問題解決のためのデータ分析』を出版(2019年2月に新装版が出版予定)。
2018年5月、同社グループ全体のコンサルティングに入り、10月、クロスメディア・コンサルティングを設立、現在に至る。
https://cm-consulting.jp/

Illustration:Akira Sorimachi

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