紳士の雑学
ビジネスに役立つパワポ・エクセル活用術②【パワポ編】
結果を出すためのプレゼン資料
「読ませる」ためのポイントとテンプレートの重要性
2019.01.10
ビジネスの現場で結果を出すためのプレゼン資料の作り方の2回目になります。
<<1回目はコチラをご覧ください
そちらでプレゼン資料の考え方と作成するにあたってのプロセスをご確認いただいたうえで、当コラムをお読みいただくと、より目的や用途に応じた資料作成方法が理解できるかと思います。
〈目的に応じた資料の構成〉
プレゼンテーションするにあたって、活用する資料は構成によって伝わりやすさが大きく変わります。プレゼンする相手に興味を抱かせ、目的を達成させるための構成にすることが重要です。
プレゼンテーションする際の目的は大きく2つに分類されると考えています。
1つ目は、営業段階でのプレゼンテーション。こちらは、まだ金銭が発生していない相手に対して自社の製品やサービスを伝える場となります。営業現場はもちろん、セミナーなどの大人数に対するプレゼンも含まれます。社内でのプレゼンにおいては、既存事業の改善施策や新規事業提案などについては、これに近いものとなります。
2つ目は、報告段階でのプレゼンテーションになります。社外に対しては、既に金銭が発生しているプロジェクトにおいて、定期的な報告会の場が機会としては多いかと思います。社内においては、定例会議における事業報告会などがこれにあたるでしょう。
それでは、この2つの場におけるプレゼン資料の構成について説明します。
1.営業段階でのプレゼン資料
主に社外向けに対するプレゼンテーションの場における資料となります。自社の製品やサービスを社外にプレゼンする機会は本当に多いと思います。営業担当者であれば毎日のようにプレゼンしているのではないでしょうか。
プレゼンする目の前のクライアント担当者に対してだけであれば、資料に加えて、あなた自身の営業トークを交えることができますが、目の前の担当者が決裁者であるとは限りません。
あなたのプレゼン後、上長に対してあなたが渡したプレゼン資料を持って説明することになります。もしかしたらプレゼン資料を渡すだけかもしれません。従って、社外に対するプレゼン資料は、プレゼン資料だけが一人歩きしても製品やサービスのことが正確に伝わり、かつ相手に欲しいと思ってもらえるような構成とする必要があるのです。
必要な構成としては以下のとおりです。
1.その製品(あるいはサービス)を取り巻く市場環境の紹介
いまの市場環境がどのようになっているのか、現状を分かりやすく興味を引くワードを使って説明することで相手と共通認識をして目線を同じにすることが必要です。
2.製品(サービス)のコンセプトやテーマ、内容の説明
市場環境に対して、自社の製品(サービス)の必要性を説明します。また、具体的なターゲット(対象)について定義することも必要となります。
3.ターゲットの抱えている問題および製品(サービス)使用後の状態(問題解決後の状態)
そもそもターゲットがどんな問題を抱えており、製品(サービス)を導入することでどのように解決されるのかを説明します。
4.問題解決のための具体的な機能の紹介
5.実績や裏付け、類似製品(サービス)との比較、事例などの紹介
できる限り数値で説明し、費用対効果をイメージできるようにすることが大切です。
6.料金体系
相手にとって、なぜあなたの製品(サービス)を導入する必要があるのかを明らかにするとともに、その先の決裁者が納得するようなストーリー構成とすることが大切です。
また、シンプルで分かりやすい資料構成とすることは大前提ではありますが、社外へのプレゼン資料の場合は、パッと目を引くビジュアルも重要な要素となってきます。基本的に「読むこと」はおっくうであるのが営業段階でのプレゼン資料なので、いかにして「読んでみよう」と思わせるような資料にするかが大切なのです。
図1.読んでみようと思いづらいプレゼン資料
図2.読んでみようと思うプレゼン資料
図1と図2は同じ内容を伝えたプレゼン資料のある1ページになります。もともと図1のような体裁でプレゼン資料は成り立っていましたが、一人歩きする資料としてはインパクトの欠けるものでした。
そこで、ビジュアルを加えることで目を引く資料へと更新することで、成約率も向上するようになりました。
2.報告段階におけるプレゼン資料
定期的な会議や上長への報告資料など、社内においてもプレゼンテーションする機会は多いと思います。また、社外においてもプロジェクトの進捗(しんちょく)報告や最終報告会などにおける資料作成も発生するでしょう。
報告段階におけるプレゼン資料は、先ほどの営業段階におけるプレゼン資料とは異なり、「引きつける」要素は少なくていいですが、一方でよりシンプルに相手が求めていることだけを伝えるか、ということが重要になります。
特に、同じ内容を報告するとしても、報告する相手が経営者なのか事業責任者なのかによっても構成は変わってきます。
経営者向けであれば、全体の数字および事業部ごとの大きな数字まで捉えておけばいいですが、事業責任者向けであれば、商品別や顧客別といった各事業の細かい数字まで伝える必要があるでしょう。反対に、経営者に対して各事業の細かい数字まで報告するようなプレゼン資料ですと、情報過多となってしまい読み切れません。
また、報告段階におけるプレゼン資料は週次など定期的に発生し、その都度中身が変わってくるため、できる限り効率的に作成する必要があります。そして、社内で統一されたテンプレートであることも望まれます。
各部署で異なるテンプレートでの資料や、顧客ごとに提出している報告書の体裁が担当者によってバラバラな資料をよく見かけますが、資料は「会社」として統一されたテンプレートであることが望ましいと私は考えます。
その点、いわゆるコンサルティング会社は「テンプレート」の細部にもこだわりを持ってプレゼン資料を作成しているので、最後にテンプレートの参考として紹介します。
【プレゼン資料テンプレート例】
上図のように、会社として一定のルールのもとテンプレートが決まっていると、担当者にかかわらず資料の体裁が統一され、会社としてのブランディングもズレの出ないものになります。
〈まとめ〉
2回にわたってお伝えした「結果を出すためのプレゼン資料」ですが、資料の出来不出来により成果に直結すると言っても過言ではありません。結果を出すためのプレゼン資料を作成するためには、作成プロセスと目的に応じた資料の構成がとても重要となります。
日々資料を作成している方はもちろん、資料をチェックする立場の方も、「結果を出す」プレゼン資料となっているか、ぜひ確認してみてください。
プロフィル
齋藤健太(さいとう・けんた)
株式会社クロスメディア・コンサルティング 代表取締役社長
慶應義塾大学理工学部卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。主に中堅規模(年商数百億円)以上の企業をメインクライアントとしたプロジェクトに従事。化粧品メーカや卸・リテール業界など、幅広い業種において、中期経営計画策定やマーケティング戦略の構築、M&Aにおけるビジネスデューデリジェンス等の実績を有する。独立後も複数のコンサルファームやファンドからアサインされ、企業の課題発見に従事、成果を上げる。
2013年9月にクロスメディア・パブリッシングより『問題解決のためのデータ分析』を出版(2019年2月に新装版が出版予定)。
2018年5月、同社グループ全体のコンサルティングに入り、10月、クロスメディア・コンサルティングを設立、現在に至る。
https://cm-consulting.jp/
Illustration:Akira Sorimachi