旅と暮らし

思いの継承と、その境地を巡る旅【後編】

2019.02.04

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マセラティの人気SUV「レヴァンテ」に新たにライナップされた「GTS」と「TROFEO(トロフェオ)」。スーパーSUVと巡る箱根・伊豆ドライブ旅の後編は、「TROFEO」の孤高のパフォーマンスにいざなわれながら、修善寺の名旅館を目指す。

ドライバーの「意図」に応えるモンスター

箱根・仙石原の「俵石閣」にて伝統美と革新美のクロスオーバーに触れたあとは、「TROFEO」のステアリングを握り、宿泊先である修善寺の名旅館「あさば」を目指す。修善寺までは、乙女峠を越え、新東名高速の長泉沼津ICから伊豆縦貫自動車道、そして西伊豆スカイラインを巡るルートとなる。

「TROFEO」は前編で登場した「GTS」をさらに昇華させ、最高出力590ps、0-100km/h加速3.9秒、最高速度304km/hというすさまじいスペックを有する「SUVのスーパーカー」。パワーウェイトレシオ(1馬力が支える車重。数値が低いほど加速性能が高い)も3.6kg/hp、2シーターのポルシェ911が3kg/hp前半ということからもその数値の意義がうかがい知れる。

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このV8ツインターボエンジンは105年に及ぶマセラティ史上でも一二を争うハイパワーで、実際にこれを超えるのはレースカーとして開発され、6リッターV型12気筒自然吸気エンジン搭載した限定モデル「MC12」(最高出力630ps、2004年発表)しかなく、量産車としては最強の存在。

そんな歴史的パワーユニットに応えるべく、「TROFEO」は超大型の専用22インチ鍛造アルミニウムホイールと、新開発されたウルトラスポーツタイヤが標準装備となる。レーシーなセットアップながら実際に運転してみると偏平タイヤ特有のゴツゴツとした感覚はなく、一般道、高速道路、タイトコーナーとアップダウンが続くスカイラン、どんな環境においても、乗り味は滑らかで大人びている。ドライバーの意図するままに悠々と進む、紛れもない「グランドツアラー」なのである。

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さらにIVC(インテグレーテッド・ヴィークル・コントロール=車両統合制御)システムと、挙動安定を司るESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)が一体化されているのもトピックのひとつ(前回の「GTS」も同様)。

「ドライバーのミス」を修正・回復するのがESPとすれば、IVCは「ドライバーの意図と操作性の維持」に貢献する。特にレヴァンテに搭載されたIVCはSUVで現れやすいアンダーステア(カーブで車両が外に膨らむ)傾向を低減するようにチューニングされており、運転状況を予測し、エンジンスピードとブレーキングの最適な環境を整え、車両の挙動を管理しながらもドライバーに最適なフィードバックを与え、リニアな操作性を保持する。スーパースペックを有しつつドライバーの意図に呼応し、「操り、制御する」フィーリングを味わうことができるのだ。

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そして「TROFEO」にはもうひとつの境地が。専用のドライブモード「Corsa(コルサ)」に設定すると、羊の皮を被った狼が牙をむく。すでに十分に迫力あるルックスと運動能力を誇示してはいるが、走りにおいてのさらなる高みへの豹変である。

シフトチェンジが高速化し、わずかなアクセル操作にも敏感に反応し、エンジンレスポンスに加えて、エグゾーストノートの咆哮(ほうこう)もいっそうアグレッシブなものに。加えてトラクション・コントロール・システムやESPの介入タイミングも遅くなり、サーキット仕込みのスーパースパルタンな走りの世界への扉が開く。

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速さとパワーを研ぎ澄ます一方で、「TROFEO」はインテリアにおいても最高峰を追求。ホールドのいい形状に仕上げられた専用スポーツシートには、触れるだけで心地よい、ナチュラルで滑らかな質感を持った「Pieno Fiore(ピエノ フィオーレ)」と呼ばれるプレミアムレザーを採用。

最高品質であると同時に、風合いの経年変化も楽しめるような処理が施されており、ほかの高級車とは一線を画す、居心地のいいリビングのお気に入りのソファのごとき存在となる。マセラティがこだわる「優雅な時間の提供」は、こうしたこだわりにも垣間見ることができる。

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癒しやと刺激の共生

車名の「レヴァンテ」は地中海を渡る東の風のこと。いつもは心地よい風が一転、猛々しく吹き荒れることで知られる。その名のとおり、優雅に、アグレッシブに、「TROFEO」の奥深き走りを堪能しながら、宿泊先の温泉旅館「あさば」へ。修善寺の門前の宿坊として誕生し、悠久たる自然の景観に抱かれながら、五百余年という遥かなる歴史を紡いできた日本を代表する名旅館である。

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慎ましやかな門構えながら、暖簾(のれん)をくぐった瞬間から「あさば」の時間に抱かれる。幽玄なたたずまいの日本建築は、規律ある直線で構成された空間と、その線によって切り取られたグラフィカルな景観によって、上品な落ち着きとともに、モダンであり、華やぎも漂わせる。

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そして池の中に浮かぶように立つ荘厳な能舞台「月桂殿」。富岡八幡宮に寄進したものを明治期に移築したもので、「あさば」のシグネチャーとなっている。

料理も、繊細かつ大胆。香箱蟹のひと皿は、俯瞰(ふかん)で見ても美しい盛り付け。穴子の握り寿司も供され、純銀の鍋で炊かれる天城軍鶏(あまぎしゃも)のたたき鍋など、演出面でもゲストを楽しませてくれる。オーセンティックでありながら、既存の枠にとらわれない、もてなしの美食を満喫する。

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空間、料理、サービス、すべてを研ぎ澄まし、伝統を守りながらも、革新の心が息づいている。守り、貫き、挑む。3つが一体となって宿の歴史が紡がれていくのだろう。

丸の内の摩天楼から始まり、マセラティのモンスターSUVとともに巡った極上の出合いの数々。更けゆく夜に、形は、思いであり、時間であることを実感し、その境地を知る。

癒やしと刺激に満ちた旅の仕上げは、500年前と変わらずに湧き出る温泉にて。至福ここに極まれり。

<データ>
MASERATI LEVANTE TROFEO
エンジン:V型8気筒ツインターボ
総排気量:3,799cc
最高出力:590ps
0-100km加速:3.9秒
トランスミッション:8速AT ¥19,900,000円(消費税込)~ 
全長5,020mm 全幅1,985 全高1,700mm

問/マセラティコールセンター 0120-965-120
www.maserati.co.jp/

あさば
静岡県伊豆市修善寺3450-1
0558-72-7000(代)
http://www.asaba-ryokan.com/

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Edit&Text:Jun Nemoto

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