紳士の雑学
銀座にオープンしたコノリーで、英国レザーの神髄に触れる。
2019.06.04
肌に触れる素材のなかで、レザーは常に上位にランクされる。服の生地でいえばシルクに近い存在だが、明らかに異なるのは経年変化、エイジングの妙味だろう。愛用が劣化につながるリスクを抱えるファブリックに比べ、いい原皮と丁寧な加工は使い込むほどにつやと高級感を醸し出す。
イギリスを代表するレザーメーカーといえばコノリー。1878年に創業、英国王室御用達の馬車から始まり、ロールスロイス、ベントレー、アストン・マーチン、フェラーリ、マセラティなどの名だたる名車の内装を手掛けてきた。さらにクルマに限らず、20世紀の三大モダニズム建築家のミース・ファンデル・ローエのソファ、大英博物館のデスク、イームズのリクライニングチェア、コンコルドのシートなど、国境と業種を横断する実績を持つレジェンダリーなブランドだ。その輝かしい実績の理由は、何よりも品質にあると現オーナーのイザベル・エッティギィ氏は語る。
「常に最高級のレザーを厳選し、そのナチュラルな魅力を最大限に生かす加工を心掛けています」
レザーは寒い地方で採取されるもののほうが引き締まった密度で上質とされる。コノリーは主としてスカンジナビア半島産のものを使用、それに熟練の職人がナチュラルグレインを施していく。エッティギイ氏が「ソウルがある」と胸を張るクラフトマンシップが、使うほどに愛着を駆り立てる成熟を実現するのだ。
こういったブランドの確固たる存在感を生かし、近年はバッグ、革小物、そしてアパレルまでコレクションを増やしている。
「コノリーならではのクラシックでハードなアイデンティティーを広げるのに、絶好の機会だと思いました」とエッティギイ氏。その言葉どおり、モータースポーツのモチーフを独特の機微とユーモアを交えながらあしらったアイテムの数々は、ハイエンドな素材感とあいまって、ほかにはない独自の存在感を確立している。
「イギリスでは中高年のお客さまだけでなく、若い人や女性からも支持を集めています」
目指すのはネクストジェネレーション――140年を超えた老舗が、伝統という革袋に注いだ新しい感性。自分だけのエイジングを味わう名品を手に入れたいと思うなら、そのエッセンスが味わえる銀座店にぜひ駆けつけてみよう。
バッグの正面にあしらわれたブランド名とGB(グレートブリテン)のロゴ。クラシックなモータースポーツを彷彿とさせるディテールが男心をくすぐるボストンバッグ。シートと同じレザーが使われている。グリップバッグ ¥390,000
客船で使われたシーバッグは、空のときは折り畳むことができる。トランクスペースに制限のあるクラシックカーでも愛用された。コノリーでは上質なホワイトレザーで再現。リベットがモチーフのディテールがしゃれている。シーバッグSMALL¥330,000
小物にはクラシックなスポーツカーを運転する牛がマスコットとしてあしらわれ、イギリスらしいユーモアとセンスを感じさせる。トラベルポーチ40,000 小物入れ¥38,000 シルバーのカフリンクス¥166,000
ウエア類はスコットランドウールをはじめとして、ヨーロッパを代表する良質の素材が使われており、ラグジュアリーな着心地を約束。クルマのメカニックを思わせるツナギなど、遊び心も忘れていない。
【NEWS!】
6月5日(水)~18日(火)まで、日本橋髙島屋本館2階のギャラリー ル シックでポップアップストアを展開。
掲載した商品は税抜き価格です。
問/コノリー銀座店
東京都中央区銀座7-6-19
03-3574-3411
営業時間11時~20時 年末年始休
https://www.connollyjapan.com/
Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT)
Text:Mitsuhide Sako(KATANA)