腕時計
バーゼルワールド2019 リポート
ショパール
2019.06.12
1月のジュネーブサロン(SIHH)に続いて、バーゼルワールド2019がスイスで3月21日~26日に開催された。時計はもちろん、宝飾系ブランドも新作を披露する大規模な国際展示会だが、今年はオメガなどが属するスウォッチグループが不参加。その影響もあって出展社数は減少したが、会場は例年同様の活気が感じられた。スウォッチグループはブランド独自に新作を発表しているので、それらも含めて注目モデルをピックアップする。
恒例のミッレ ミリア限定モデルと
通好みのアシンメトリーモデル
ショパールは、数々の映画祭で女優を飾るハイジュエラーだが、機械式ムーブメントを自社製作するマニュファクチュールでもある。1996年に、マイクロローターによる薄型自動巻きで約65時間(ツインバレル)のロングパワーを持つ「L.U.C」を開発。これをベースにハイエンドな複雑時計を手掛けてきた。今年のバーゼルワールドでも同ブランド初のフライング・トゥールビヨンや9日間のスーパーロングパワーモデルなど多彩な複雑モデルが登場したが、ここでは一見するとシンプルな「L.U.C XPS ツイスト QF」に注目した。
機能的には3針のベーシックモデルだが、スモールセコンドは一般的な6時位置でなく7時位置。リュウズも3時でなく4時位置であり、つまりムーブメントを1時間分「ツイスト」(回転)させているのだ。それによって、整然としたバランスではなく、動きを感じさせるアシンメトリー(非対称)の美を楽しむ、通好みのスタイルといえるだろう。ケース素材の18Kホワイトゴールドも、倫理にのっとった採掘方法で得られた「フェアマインド」の認定付き。また、「QF」とは「カリテ フルリエ」の略で、クロノメーターの精度認定など5項目の厳格な基準をクリアしたことを証明している。いわば紳士に求められる本質的なエレガンスを凝縮したモデルといえるかもしれない。
ショパールは、イタリア北部のブレシアとローマを往復するクラシックカーレース、ミッレ ミリアのパートナーであり、昨年で30周年を迎えた。このレースを記念した限定クロノグラフが恒例となっており、今年も18Kローズゴールドとステンレススチールのバイカラーモデルが250本、ステンレススチールモデルが1000本発売される。2015年に発表されたGTSコレクションを継承したスタイルだが、日付表示に初の大型レンズを装着している。
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問/ショパール ジャパン プレス 03-5524-8922
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。