紳士の雑学

スーツの種類|価格別にスーツを調べてみた(スーツの基本 第4回)

2019.07.02

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これまで「スーツの基本のき」では、スーツの形の違いディテールシーンに応じた使い分け について取り上げてきました。今回はスーツの価格について取り上げていきたいと思います。基本的には、ジャケットとパンツからなり、ときとしてベストが加わるスーツ。変わらぬ構成要素にも関わらず、価格のレンジは、いわゆる“ピンキリ”です。下はアンダー1万円から、上は50万を下らぬものとてあるわけです。そこには、もちろん理由があり、選ぶための基準ともなりえます。多様化する現代においては、一概に安かろう悪かろうとも言えない企業努力も見て取れます。スーツにおいて、何を重視するかで、どこにコストをかけるかが変わるというもの。本稿では、ざっとおおまかなレンジに分けて、話をしていきます。

ロープライスゾーン<1万円未満>

昨今、インターネット通販などで見られるアンダー1万円のスーツ。20年前では想像のつかなかった価格ですが、スーツ離れが喧伝されるようになり、いよいよ価格競争もここまできたか、という雑感も脳裏をかすめます。ここでカットされているコストは、基本的に素材と人件費(=廉価に生産できる国外縫製)。インターネット販売の場合は、店舗のランニングコストなどもそれに当たるでしょう。

素材に関しては、ポリエステルなどの合成繊維かその混紡ものが中心。パターンなどにはノウハウが注ぎ込まれており、ものによっては企業努力で一定レベルが保たれている場合も。ただし、多くのこだわりを求めるには、物足りない部分は否めません。価格相応といった声もよく聞かれます。消耗品と考えるなら、こうした選択も視野に入ることでしょう。

バリューゾーン<1万円〜3万円程度>

この価格帯のメインとなるのが、大手量販店などに並ぶスーツです。通が好むような上質素材ではないにしても、スーツ作りのノウハウを熟知したメーカーの仕立てなので、信頼性も十分。低コストで収まる生産国での縫製となります。

ポリエステルなどの合繊素材といえども、ストレッチや形状記憶、ウォッシャブル、清涼効果などの機能性を付加されたモデルが多いのも特徴的です。

他方、この価格帯で注目したいのは、国内セレクトショップがカジュアルセットアップブームのなかオリジナルで製作している共地のジャケパンです。ウエストにラバーが仕込まれたアンコンストラクテッドの作りのものが多く、着心地は快適なうえにパターンが現代的といったもの。くだけた装いも許される職種ならば、新たなスーツとして取り入れてみるのも一手でしょう。

ミドルゾーン<3万円〜10万円程度>

セレクトショップのオリジナルや、ドメスティックブランド、海外ライセンスブランドに見られるスーツ群です。国際的なファッショントレンドに基づいてシーズンごとに発表されるため、スーツでのおしゃれを楽しみたい人に相応しいゾーンです。

基本的に、パターニング、副資材の作り、縫製などにこだわりを見せており、標準的なスーツの品質をクリアしていると言えるでしょう。価格の差は、主にスーツ生地や副資材の品質に現れており、ほかに価格を左右する要素は、ブランド価値や手縫いの有無、生産国の違いなどが挙げられます。

また、企業努力を果たした国内工場のパターンオーダースーツが入手できるのも、この価格帯で概ね3万円代後半から可能に。当然スケールメリットを生かした量産生地、国内の有名生地産地で織り上げたエクスクルーシブ生地、舶来ブランドの名作生地などにより、価格は上昇します。

サイズ調整や、ディテールの追加や名入れ、デザイン変更などのオプション料金も加味すると、最低額には収まらないことも多分にありますが、自分好みの仕立てとサイズで仕上がるのは、最大の魅力と言えます。

プレミアムゾーン<10万円〜25万円>

ミドルゾーンからワンランク上の素材や作りを目指すなら、おおよそ10万円あたりが分水嶺となります。国内、海外ブランドともに、縫製は自国、もしくは欧州、職人の手仕事の量が多い名門ファクトリーの仕立てで、舶来の名門生地、あるいは、国内の最上級生地を用いた、いわばプレミアムなシリーズが多く存在します。

素材の色味や質感には、ほかにない光沢や深みが感じられ、一目で上質なスーツということがわかります。シルエットやパターンも美しく、スーツを着る楽しみを与えてくれると言えるでしょう。

海外ブランドのセミオーダーなどもこの価格帯から可能なものもあります。サイジングや自分の好みがよりはっきりとしているスーツ通ならば、注目すべきゾーンです。40代を過ぎ、人の上に立つようなポジションであるならば、見た目の凛々しさにも思いを致し、スーツにこだわりを持つことも視野に入れたいところ。

当然長く着られるため、残りのビジネスマンライフから逆算しても、費用対効果は十分に見込めるでしょう。自分のポジションが高ければ、それだけ重要な案件も増えるはず。対外的にもこのゾーンのスーツを一着はワードローブに揃えることを推奨します。

ラグジュアリーゾーン<25万円〜>

モードブランドのメインコレクションに位置するスーツや、海外ブランドのビスポーク(伊のス・ミズーラ)、国内でもこだわりの店主が営むテーラーのオーダースーツなどが、最も高品質なこの価格帯に位置します。

国際的にも最高峰といわれるような高級素材を使用。オーダーである場合は、仮縫いから仕立てるものもあるでしょう。スーツのディテールを知れば知るほど、このゾーンへの憧れは高まる一方。実際に着用すれば、本当に上質で自分にフィットするスーツは、着心地がよく、快適であることを実感できるはずです。

こうしたラグジュアリースーツが、大企業の取締役や、大臣や国会議員、キー局のTVアナウンサーやなど、ひとかどの人に選ばれる傾向にあるのは、金額だけでない風格や威厳といったものを手に入れられるからで、その点でも非常に価値のあるものだと言えます。

まとめ

価格を左右するのは、生地のクオリティ、縫製される国、手作業の有無、ディテールの多寡、ブランド価値などです。職務とスーツの重要性を鑑みて、今一度、自らのスーツワードローブを再考してみては。

①一概に安かろう悪かろうとは言えないが、価格には相応の理由があります。自分の職務と照らし合わせて、見た目で損をしない選びを心がけるべし。

②現代においては合繊といっても決して品質に劣るものではないことを肝に銘じたい。クールビズが施行されて以来、人気の高い高機能スーツは、まさに合繊のなさる所業。うまく活用してスーツライフを快適に。

③自身がハイクラスなポジションであるならば、プレミアムないしはラグジュアリーゾーンのスーツも視野に入れたいところ。この価格帯だからこそわかるスーツの価値というものもあり、今まで体感したことない威厳や風格を得ることができるのです。

<<スーツ基本のき 第3回はこちら

Edit:Naoki Masuyama,Masashi Takamura
Text:Masashi Takamura

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