腕時計
バーゼルワールド2019 リポート
カシオ
2019.07.05
1月のジュネーブサロン(SIHH)に続いて、バーゼルワールド2019がスイスで3月21日~26日に開催された。時計はもちろん、宝飾系ブランドも新作を披露する大規模な国際展示会だが、今年はオメガなどが属するスウォッチグループが不参加。その影響もあって出展社数は減少したが、会場は例年同様の活気が感じられた。スウォッチグループはブランド独自に新作を発表しているので、それらも含めて注目モデルをピックアップする。
革新的な時計技術に
日本刀の強さと美しさを融合
カシオでは、日本古来の「匠の技」に注目したバーゼルワールド記念モデルを毎年発表してきた。今年もタフネスな耐衝撃時計“G-SHOCK”の最上位シリーズ“MR-G”で、強さと美しさが共存する日本刀からモチーフを得た世界限定300本の新作が登場。特にブレスレットは、中央のコマのひとつひとつに手作業で「鑢目(やすりめ)」が施されている。
これは刀の持ち手である柄が刀身から抜け落ちないよう滑り止めにする筋目であり、流派や刀匠によって模様が異なるという。カシオでは約800年に及ぶ歴史を持つ刀剣会の名門「月山“GASSAN”」の若き後継者、月山貞伸氏とコラボレーション。その証しとして、第2コマに一門の座右の銘「鍛刀一筋」を意味する「鍛」の文字が切られている。
ミドルケースの上部、ベゼル脇には高貴な伝統色である「深紫(こきむらさき)」をイメージしたカラーリングを施すなど、細部までこだわった仕上げになっている。ブラックのつややかな質感が独特の雰囲気。標準電波、GPS衛星電波、Bluetoothの3つによる時刻修正に対応。世界中のタイムゾーンはもちろん、サマータイムも反映した正確な時刻情報を表示する革新的な技術に、日本特有の伝統的な美を融合した特別モデルだ。
また、エレガンス&テクノロジーをコンセプトとした“OCEANUS(オシアナス)”の「マンタ」に、シリーズ最薄となる「OCW-S5000E」を追加。基盤の両側に配置していた部品を片面だけに高密度で実装することで、以前の最薄モデルよりも1.2㎜スリムになり、ケース厚9.5㎜を実現。ブルーに着色した白蝶貝をインダイヤルに採用した世界限定150本のスペシャルモデルもラインアップ。ブルーのグラデーションを蒸着した24面カットのサファイアクリスタルのリングが美しくきらめく。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/カシオ計算機お客様相談室 03-5334-4869
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。