腕時計
バーゼルワールド2019 リポート
ハミルトン
2019.07.08
1月のジュネーブサロン(SIHH)に続いて、バーゼルワールド2019がスイスで3月21日~26日に開催された。時計はもちろん、宝飾系ブランドも新作を披露する大規模な国際展示会だが、今年はオメガなどが属するスウォッチグループが不参加。その影響もあって出展社数は減少したが、会場は例年同様の活気が感じられた。スウォッチグループはブランド独自に新作を発表しているので、それらも含めて注目モデルをピックアップする。
小径で実用性の高いミリタリーに、
パワフルな手巻きムーブメントを搭載
個性的でありながら、若い人にも手が届きやすい価格帯で人気のハミルトンは、昔からハリウッド映画と深い関係がある。今年の新作は、そんな映画にインスパイアされたモデルが目立った。
2014年に公開された『インターステラー』では、ストーリーのカギを握る時計を特別製作。「マーフ ウォッチ」と通称され、製品化を望む声が絶えなかったが、劇中のモデルを忠実に再現した「カーキフィールド マーフ オート」が登場した。
2017年の映画『スパイダーマン:ホームカミング』でアイアンマンの相棒となった「ベンチュラ スケルトン」も、世界999本の限定で発売される。「ベンチュラ」は1957年にデビューした世界初の電池式時計がオリジナル。三角形の独創的なスタイルも含めて、ハミルトンの革新性を象徴する伝説的な傑作だが、映画の中で不吉な予兆として描かれる「クモの巣」をダイヤルにデザイン。その間から、約80時間のロングパワーを誇るムーブメントの動きが見られる。
また、ハミルトンは1940年代にアメリカ陸軍に軍用時計を供給。このモデルを継承する「カーキ フィールド メカ」に、新たなケースとダイヤルカラーのモデルが加わった。
現代では小ぶりに見える直径38㎜のケースは、ケースバックまで通したファブリック製のNATOストラップによって腕にしっくりとなじむ。ダイヤルカラーはブラック、グリーン、ホワイトの3種類だが、針とアワーマーカーの視認性は抜群。便利な24時間表示も内側に備えており、ミリタリー由来のタフネスと実用性が追求されている。時計への愛着が深まるとして根強い人気がある手巻きを継承。約80時間のロングパワーなので、毎日巻き上げる必要がないことも魅力だ。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン 03-6254-7371
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。