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トレンドの潮目。
ミラノで知る、スニーカーのこれからとは?

2019.07.31

柴田充

トレンドの潮目。<br>ミラノで知る、スニーカーのこれからとは?

最近ぼってりとした存在感とビビッドカラーで彩られたスニーカーが“ダッドスニーカー”と呼ばれ、人気を呼んでいます。リアルタイムで履いていた世代にとっては、少々複雑な心境ですが、スニーカーはそれほど世代を超えて愛用されています。しかも本来のスポーツユース以外に、レトロやハイテク、ラグジュアリー、白スニ、コラボなどスタイルは多様化し、枚挙にいとまがありません。

そこでミラノでも人気のラグジュアリースニーカー、フィリップモデルの副社長マキシミリアーノ・ニコレッリ氏に大人にふさわしいスニーカーについて伺いました。

「フランス人アーティストのフィリップモデルは、80年代にエラスティックタイプの編み上げ靴を発表し、一躍その名を広めました。2008年に自身のブランドを設立し、翌年初のコレクションを発表。“パリス”や“トロペ”といった代表的なラインは、いずれもフランスの都市や地域から名づけられ、フレンチテイストとイタリアンスタイルを融合します」

ブランドの特徴について尋ねると、クラフトマンシップと答えます。

「ビンテージから着想したデザインに、ナイロンやスエードといった素材にこだわり、そこに独自のカラーリングやエイジング加工で味付けします。時にはテクニカルやハイテクな素材を組み合わせ、ボリューム感や全体の雰囲気も時代のトレンドに合わせてアレンジしています」

新作では、かつてのジョギングシューズを思わせるビンテージデザインの“エゼ”と、バスケットシューズをモチーフにした“サンドニ”を発表しました。ミラノのショールームには、スタイルやカラーリングなど多彩なバリエーションが並び、他人とかぶらない個性も人気なのだとか。なかでも日本人好みのスタイルで目を引いたのが“トロペX”です。

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「“トロペ”の進化形で、厚めのヒールに横幅も広くして存在感を増しました。またレザーのアッパー部分は1ピースで仕上げ、デザインはすっきりとまとめました。落ち着いた色合いに、アクセントカラーが効いていると思います。ライニングはパイル地を配し、素足の履き心地も快適ですよ」

それはスポーツブランドにはない、大人のテイストを感じさせます。

「いまやさまざまなスタイルのスニーカーがあり、選択肢も広がりました。若者のみならず、年配層でもスニーカーをスタイリッシュに履きこなしていますし、スポーティーさや軽快感を自分のスタイルに採り入れたいという気持ちがあると思います。インフォーマルな部分にスニーカーを入れることで、よりスマートな着こなしになると思います」

そう語るニコレッリ氏は、オリーブのカーキスーツにオレンジのスニーカー。MA-1のカラーリングですね、と言うと「シンプルなファッションでもスニーカーは強いアクセントになります。そして型にハマらない個性を主張できますよ」とニッコリほほ笑みます。

プロフィル
柴田 充(しばた・みつる)
フリーライター。コピーライターを経て、出版社で編集経験を積む。現在は広告のほか、男性誌で時計、クルマ、ファッション、デザインなど趣味モノを中心に執筆中。その鋭くユーモラスな視点には、業界でもファンが多い。

Photograph:Mitsuya T-Max Sada
Text:Mitsuru Shibata

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