紳士の雑学

スーツ基本のき 第11回
ラペルを知る

2019.08.08

基本をおさらいすることで、スーツをさらに身近に、魅力的に感じてもらうための連載も今回で11回目。前回はイタリアンスタイルの魅力について説明しましたが、ここでは、ジャケットの特徴的なディテールであるラペルについて解説します。カラー(上襟)とともに襟を構成するラペル(下襟)は、着用者の顔に近く、他者からの目線も集まりやすい部分。ゆえに、着こなしの印象を大きく左右するのです。

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ラペルのバリエーションを知る

かつてのシングルジャケットは総じて立ち襟であり、ラペルという概念はなかたっそうです。いきなり余談で恐縮ですが、現在のラペルにあるフラワーホールは当時の第一ボタンを留めるホールに該当し、その名残を残しています。その後、襟の仕立てが立ち襟から開襟へと変わり、ラペルにも多くのバリエーションが生まれました。まずは、代表的なラペルの仕様をおさらいしていきましょう。

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①ノッチドラペル
ノッチとは、「V字切り込み」を意味。カラーとラペルの合わせで、V字型の切り込みが刻まれたものをノッチドラペルといい、日本語では片前背広襟の名でも知られます。オーソドックスな印象で、現在のシングルジャケットで最も多用されるデザインです。ゴージラインと呼ばれるカラーとラペルの縫い合わせ部分が直線を描くのが特徴で、ゴージラインがラペルの先(剣先)へ向かう際にやや上向いたデザインのものは、セミノッチドラペルと呼ばれ区別されています。

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②ピークドラペル
剣先が上を向いて尖り、ピーク(山頂)のような形に合っていることから、この名がつけられました。ピークドラペルを日本語にすると、剣襟、もしくは両前背広襟。後者の名前からもわかるように、ダブルジャケットではこのラペルバリエーションが主流です。なおこちらもノッチドラペルと同じく、剣先を少しだけ平行にしたニュアンス違いのセミピークドラペルが存在します。

この2色は寒色と暖色の組み合わせですが、補色関係にある両者はお互いを引き立て合います。そんな美しいコントラストもまた、地中海の輝かしい青と、土や火山などの自然な茶といった風土的なバックボーンを秘めるとも。英国発祥のスーツを、あくまで自分たちらしく。揺るぎないサルトリア(仕立て職人)の矜持が、イタリアスーツには宿っているのです。

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③フィッシュマウス
先に紹介した2つに比べて変化球と呼べる仕様も幾つか紹介しましょう。ラペルが水平にカットされたこちらは、フィッシュマウスという形。カラーの先が丸く処理され、切れ込みの形が魚の口を想起させることからこの名がつきました。

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④ローリングダウンラペル
こちらはラペルの下部に特徴があり、ローリングダウンラペルまたは段返りと呼ばれるもの。第1ボタンは完全に隠れ、対応するボタンホールがラペルを飾るように付けられています。

ラペルの幅を知る

デザイン的なバリエーションだけでなく、ラペルはその幅もさまざま。流行には浮き沈みがあり、幅が広いものと狭いもの、それぞれがトレンドだった時代がありますが、幅の長さによってスーツの印象が異ってくるのは変わらない事実です。あらためて、ラペル幅の大切さを押さえておきましょう。

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①ワイドラペル
最大幅が9cm以上あるような、通常より幅広のラペルをワイドラペルと呼びます。クラシックな印象があり、安定感や信頼感といったイメージにつながることが多いようです。大柄な人に似合うとも言われますが、そこはさほど気にすることはないでしょう。

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②ナローラペル
最大幅が8cm未満のラペルはナローラペルに属します。細身のスーツに見られる形状で、モードブランドはこぞってナローラペルを採用した時代も。どちらかというとスタイリッシュな印象が強くなります。なお、ワイドとナローの中間の幅はレギュラーラペルと呼ばれます。

ゴージラインを知る

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ノッチドラペルを説明する際に軽く触れましたが、カラーとラペルの縫い合わせ部分であるゴージラインも、その位置や角度によってスーツの見た目を変える要素となりえます。ゴージの位置が高ければハイゴージ、低ければローゴージと呼ばれ、前者はシャープな印象、後者は柔らかい印象に。とはいえラペル幅と同様にこの流行も両者を行ったり来たりしますので、時代によって印象も変わってくるでしょう。

異なるラペルのコーディネイト

最後に、異なるラペルごとの着こなしを見ていきましょう。ノッチドラペル、ピークドラペルともに、一般的にはラペル幅とネクタイ幅を合わせるのが美徳とされています。また、ビジネスシーンでの着用は、いわゆる王道のノッチドラペルが適しています。

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①ノッチドラペルのネイビースーツで精悍に
ノッチドで、幅も平均的なレギュラーラペル。ネイビースーツの持つ王道感を、オーソドックスなラペルでさらにプッシュしています。ネクタイやシャツもカラーリングを揃え、誠実さをアピール。フレッシュマンにもおすすめできる、好感度の高い着こなしです。

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②ナローラペルのグレースーツでモダンな表情に
無地ながら素材感のあるグレースーツは、ナローラペルも相まってモードな印象に。タイト目のシルエットを、よりシャープに見せてくれています。ラウンドカットされた広めのシャツ襟など、ディテールで遊んでいる点でもスタイリッシュな印象です。

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③セミピークドラペルで遊びを取り入れる
ノータイが許されるような多少くだけたシーンでは、セミピークドラペルでもOK。こちらはチェック柄のダブルスーツを、さらにトーンの濃いポロシャツを合わせてカジュアルダウンさせたコーディネイトです。限られた色数によってラペルの剣先がさらに引き立ち、落ち着いた着こなしをドレッシーに演出しています。

まとめ

①ラペルは形状や幅によって区分される。
②カラーとラペルの境となるゴージラインもさまざま。
③着こなしにおいては、ラペル幅とネクタイ幅を合わせるのが一般的。

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Edit:Naoki Masuyama,Masashi Takamura
Text:Naoki Masuyama

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