紳士の雑学
見えないようで見えている。
スーツスタイルではベルト選びに手を抜かない
2019.08.13
スーツに必須! ベルトを着用する理由
ベルトはただパンツが落ちないための道具――そんな考えは大間違い。どうせジャケットに隠れて見えないし――いえいえ、十分に目立ちます。ジャケットを脱ぐときだけでなく、着席時にはジャケットのボタンを外すのはルールでが、そんなときに手抜きに見えてしまうのは残念なこと。さりげなくても、ベルトは選び方によってセンスをアピールできる重要な小物です。
ベルトはスーツスタイルの格式のひとつ。押さえるべきポイントとは?
スーツに合うベルト選びで、押さえておくべきマストを解説します。
<スーツに着用するベルトはレザーが最適>
ベルトは大きく分けてレザー、そしてファブリックのタイプがあります。後者は伸縮性のある素材や編み込みで体の動きにフィットさせるものですが、やはりカジュアルな雰囲気となります。レザーがもつ高級感がスーツにマッチします。靴やカバンと同様に「目立たず、品よく」を心がけてください。
<レザーでもこんなタイプはNG>
レザーでもカジュアルなものは避けてください。例えばメッシュ素材、バックルの部分が二重のリングになっている、バックルが極端に大きい、穴が大きめで金属の飾りがついているという特徴のものは向きません。またステッチも見落としがち。レザーと同じ色で細めの糸がいいでしょう。白は結構目立つので、ビジネスシーンではミスマッチです。
<バックルはスクエアピンバックルが基本>
バックルは正方形、または長方形のフレームになったピンバックルタイプが“かっちり感”があってベストです。これ以外にもラウンドバックル、バックル式(ピンバックルのように尾錠タイプではなく、ベルトに穴を開けずにバックルで挟み込んで留める)、トップ式(バックルの裏にピン状のものがあり、この部分をベルトの穴に通す)などがありますが、品の良さ、フィット感でアドバンテージがあります。
<ビジネスにふさわしいベルト幅は3~3.5cm>
スラックスのベルトループは決して長くありません。必然的に合わせるベルトも幅広のものはミスマッチ。最適なのは3cmから3.5cm程度。4㎝を超えるとジーンズのようなカジュアルのニュアンスが強くなります。
<長さの判断はピンを通す穴の位置が目安>
ベルトの穴は奇数、主に5個開いているのが標準です。ベルトを締めたとき、3番目の穴にピンが通るのがベスト。こうすると左側に回すベルトがループひとつくぐるだけの長さとなります。この部分が短いとウエストが実際以上に太く見えてしまい、逆に余るくらいに長いのもバランス良くありません。
ビジネスマンのウエストは変動が大きいはず。体形の著しい変化はベルトの買い替えにもつながることを想定しておいてください。
基本のベルトの次はどんなタイプ?
靴に合わせて基本の黒と茶のスムースレザーをそろえたら、違ったタイプにトライしてみてもいいでしょう。手始めは素材感のある型押しがおすすめ。値段は張りますが、クロコダイルやリザードもスーツに合わせて0K。ただし、あまり大柄だとベルトだけが目立ってしまうので、柄が細かめなものが合わせやすいことを覚えておいてください。
ほかには馬のお尻の革を使ったコードバンも愛用されます。上品な光沢があり、丈夫なのがその理由。また起毛タイプは裏革のスエードより、目が詰まった表革のヌバックがエレガントに見えます。
ベルトのお役立ち情報エトセトラ
革ベルトを長持ちさせるケアのノウハウなど、役立つポイントを解説します。
<レザーベルトのお手入れ方法>
湿気はレザーを劣化させます。脱いだ後はパンツの腰に回したままにせず、必ず外してハンガーに伸ばしてかけましょう。靴と同様に連続して使わないのがベター。定期的な乾拭き、革用のクリーム靴塗布も効果的です。また収納時にはベルト用ハンガーを使用するようにしてください。
<こうなったら寿命? ベルトの買い替え時期>
いい素材であれば長持ちしますが、体の動きによりテンションがかかるものなので、ダメージは避けられません。ひび割れ、ヨレなどが見られるようになったら替え時です。
ウエストのサイズも要注意。やせた場合はレザーのカットで対応できますが、大きくなったら見え方のバランスが悪くなるので買い替えてください。
<パンツについたループはベルト固定用>
パンツのウエスト部分に共地の小さなループがついていることがあります。これはピンを通してバックルがズレるのを防ぐためのもの。上下左右対称で固定されるので、きれいに見える位置をキープしてくれます。ぜひ活用したいもの。
まとめ
ベルト選びは決して難しいことではないですが、まだまだ首をかしげたくなる選び方をしている人は少なくありません。同じレザーである靴と同様に、上品で主張しすぎないタイプがおすすめです。
①靴におけるストレートチップ、基本の黒、スムースレザー、シルバーバックルから
②上品に、かつ目立ちすぎないように左右と上下が対象になるように締め方に留意
③着用後のアフターケア、保管方法に留意することが長持ちさせる秘訣
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Text:Mitsuhide Sako(KATANA)