スーツ
スーツをアイロン掛けする正しい方法を写真付きで解説
雑なアイロンがけはスーツの生地を傷める。
2022.09.28(最終更新:2024.09.26)
スーツのシワはなぜできるのか?
服を着るうえで避けられないのがシワ。ただシワはウールによる編物とコットンなどの織物によって違いがあります。糸をループ状に絡めていく織物は組織同士の結びつきが緩やかなうえ、立体的なのが特徴です。この形態により、折り曲げられても回復しやすく、シワもあまり目立ちません。ウールのセーター、特にざっくりとした編み込みのものなどはほとんど気にならないことからわかります。
これに比べて「織物」は縦横に組み込んでいるため、生地に圧力がかかると織物組織にズレが生じ、シワとなります。そして一度つくと、なかなか自然に元には戻りません。シャツについたシワがアイロンでないと落ちないのはこのためです。
スーツは座り方でシワの出来やすさが変わる
ウールのスーツのシワは比較的回復しやすいですが、さらにシワをつかないようにするコツがあります。たとえば座った状態。深く腰掛けると接地面が多くなる分、広範囲にシワができやすくなります。シワを軽減させるには浅く座ったほうがベター。また関節部分にテンションがかかりやすいため、足を組んだり、体を横にした状態のままにしたりしないほうがいいでしょう。
スーツのシワをアイロンなしで取る方法【ホテルや外出先でも可能】
スーツにシワを見つけても、アイロンが近くにないというシチュエーションはままあります。たとえば出張。ホテルのクリーニングに出すこともありますが、お金も時間もかかるのが難点。そんなときの応急措置を紹介します。
霧吹きスプレー後にハンガーにかけてスーツのシワを取る
少々のシワは、湿気を与えることで回復します。スーツを脱いだら早めにハンガーにかけ、霧吹きで軽く水をかけてあげましょう。シワが気になるといっても、全体がわずかに湿り気を帯びる程度。気になるところには多少多めでもいいですが、かけすぎないように注意を。その後、風通しの良い日陰で自然乾燥させてください。
浴室に干して湿度の力でスーツのシワを取る
霧吹きがなかった場合、また出張の際などに活用したいのがバスルーム。シャワーやお風呂を使った後、室内にこもった蒸気を利用するのが効果的です。ただそのまま入れっぱなしだと湿気がたまるので、15分~30分程度で取り出し、その後は風通しの良い場所で陰干ししてください。
急いでいる時にはシワ取りスプレーを使う
もっと素早く手軽にシワを取りたいのであれば、市販のシワ取りスプレーを利用しましょう。気になる箇所にひと拭きした後、ハンガーにかけてやさしく伸ばします。スプレーが乾ききれば完了。忙しい朝には重宝しますが、あまりかけすぎないように注意してください。香りが気になる人は無香料タイプを。
スーツのシワをアイロンのスチーマーで取る方法【自宅で簡単】
スーツは立体的につくられており、シャツのように平面状に広げることはできません。そのため台においてアイロンをかけるのは少し手間です。そんなときに役立つのがスチーム機能です。ジャケットであればハンガーに吊るしたままでのスチームあてでOK。
気を付けたいのは温度。コットンやリネンは高温(180~200℃)、ウールはもう少し低い中温(140~160℃)がおすすめです。合成繊維であるナイロンやアクリルは低温(110~130℃)でセットしましょう。スーツの裏地には滑りを良くするキュプラが張られていますが、ここに直接アイロンやスチームをあてないようにしましょう。スチームがない場合は、通常のアイロンと霧吹きの併用で代替できます。
アイロンがけの後は、ハンガーにかけて干し、湿気を飛ばしてから着用してください。
当て布を忘れずに!
上記のとおり、生地の種類によってはアイロンをかけたことで傷んでしまう場合があります。それを防ぐために当て布は必須です。きっちりした折り目を出すだけでなく、テカリも防止できるので、面倒くさがらずスーツにアイロンをかける際は当て布をお忘れなく。当て布に使うのであれば綿などの通気性のよい素材が最適です。
スーツのシワが取れない時はクリーニングへ
しっかりとついてとれない頑固なシワは、クリーニング店に相談してみましょう。その際、防シワ加工を行っているお店であれば、依頼してみるのも手です。なお、地域や店の規模によって異なりますが、スーツのクリーニング代は1,000円~2,000円程度。防シワ加工の代金が込みの場合もありますが、オプションのことのほうが多いようです。気になるようであれば、事前に確認してください。
スーツにシワを減らすためのできること
スーツのシワ防止には日頃のメンテナンスも大切です。脱いだままということはなくても、間違ったハンガー選びなど、間違った保管方法もシワができる原因となります。以下のポイントに注意してください。
スーツ専用ハンガーで収納中にシワを取る
ハンガーは多少高価でもスーツ専用のハンガーを使用してください。細いワイヤーハンガーにかけていると肩がしっかり乗らないために形が崩れるうえ、収納時に他の衣服とぶつかってシワができやすくなります。
ジャケット用ハンガーはスーツの形に合った立体的なタイプが基本。外側に向かって厚みがあり、前に少し湾曲しているものがおすすめです。スラックスも専用ハンガーを使うのがベストですが、新たに購入するのも金額面で負担が大きいでしょう。スーツの場合、内側に取り付けられたバーの部分にかけても問題ありません。落ちないように滑り止めにセットするのを忘れずに。
収納する際、ポケットに財布やスマホ、名刺入れが入ったままだとシワの原因になります。脱いだら、必ずすべて取り出してください。また、自宅のクローゼットで充分にスペースを確保するのは難しいかも知れませんが、スーツの収納にあたっては少しでも隙間を空けて重ならないようにしましょう。密な状態も余計なシワができる原因のひとつです。
スーツは2~3着以上を用意する
スーツは生き物。毎日の着用は酷使することになりますから、適度な休みが必要です。ワンシーズンで2~3着用意し、ローテーションを組んで着回すほうが長持ちします。思わぬ汚れでクリーニングに出す際も、代替があるのは安心材料。さらに一度着用したスーツは、ハンガーにかけてしっかりと休ませておきましょう。吊るした状態にすることで、自然にシワは伸びていきます。
シワになりにくい生地を選ぶ
シワがつかないように、ウール100%でも防シワ加工が事前に施されているスーツがあります。衣類のメンテナンスが苦手な人、忙しい人は、こうしたスーツの購入を検討してみるといいでしょう。
正しく畳む
スーツは吊るして保管するのがベストですが、シーズンオフに畳んで収納したり、出張などでスーツケースに入れたりする場合があります。そんなとき、なるべくシワを少なくする畳み方があります。
まず背中側が谷折りになるようにして、両肩部分が合わさるように畳みます。次に前身頃が手前に来るように、ラペル(襟部分)の下端あたりで二つ折りにします。もっとコンパクトにする場合、ジャケットのラペルを揃えるようにして、片側を裏返して被せましょう。
シワだらけのスーツを着ることは汚れた名刺を出すようなもの
スーツがどんなに高級品でも、シワだらけでは着こなしが台無し。「だらしない」という見た目だけで悪い印象を与えます。着る前、着た後のシワのチェックも、身だしなみのひとつと心得たいものです。