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FASHION VIEW
「ビジネス」と「カジュアル」の境界線。
TAGLIATORE
2019.09.25
この夏、イタリアのフィレンツェで開催された第96回「ピッティ・イマージネ・ウォモ」の会場は、カジュアル化の傾向にさらなる拍車がかかった印象だった。いま、ビジネスとカジュアルの境界線はどこにあるのか。人気ブランドから届いたひとつのキーアイテムを軸に、ビジネスとカジュアルのそれぞれを着こなす。すると、旧態依然な価値観を超えた、新たなスタイルが浮かんでくる。
ドローコードパンツのスーツ

左:カットソーを合わせたリラックスしたVゾーンに対し、フードでボリューム感を補い、広いラペルとのバランスを整える。スーツ¥130,000、パーカ¥58,000/ともにタリアトーレ、Tシャツ¥17,000/フェデッリ(ともにトレメッツォ03-5464-1158)、靴¥28,000/クラークス(バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター0120-137-007 )、バッグ¥50,000/ハグス(和光03-3562-211103-3562-2111)
タリアトーレは、大柄なストライプやVゾーンのボリュームを強調したシェイプで、スーツにもカジュアルな魅力を表現した。オーナー兼デザイナーのピーノ・レラリオ氏は、境界線についてこう語る。
「まず素材感の違いがありますね。しわになりにくい生地なら、伝統的なネイビースーツでもスポーティーやカジュアルな雰囲気になる。ドローコードもそう。細部でも印象が変わり、境界線の象徴かもしれません」
だがそれも基本は緻密に計算されたパターンありき。
「構築したシルエットと、リラックスした着心地を両立させること。セットアップとしてジャケットとパンツが単体でも成立することも大切。英国スタイルが厳格なルールにのっとるのに対し、イタリアは汎用性が高い。大事なのは個性をミックスすることです」
そんなピーノスタイルがジャンルの壁を自由に越える。

TAGLIATORE(タリアトーレ)
イタリアンファッションにおいて一躍、南イタリアのプーリアを知らしめた人気ブランドがタリアトーレだ。名門ファクトリーが1998年に設立し、伝統的なテーラリング技術をベースに、個性豊かなつやっぽいデザインを特徴にする。


「アエラスタイルマガジンVOL.44 AUTUMN 2019」より転載
Photograph: Masahiro Heguri[Studio], Mitsuya T-Max Sada[Report]
Styling: Yoichi Onishi
Hair & Make-up: Yurie Taniguchi
Text: Mitsuru Shibata
Coordinate: Michiko Ohira