特別インタビュー

伊勢丹新宿店 メンズ館地下1階 肌着・靴下・ナイティ スタイリスト 稲葉健悟さん
この人から買いたい、この一品

2020.03.13

伊勢丹新宿店 メンズ館地下1階 肌着・靴下・ナイティ スタイリスト 稲葉健悟さん<br>この人から買いたい、この一品

「お客さまと一緒に来たつもりで、笑顔で楽しく買い物をしていただけるように心がけています」

今日はタリアトーレのソラーロのスーツに、ネイビーのシャツはオーダーで。ネクタイはサヴィルロウ最古のテーラーと言われているヘンリープールです。クロコのビットモカシンはカルミナで、基本は冬でも素足履きです。時計は世界限定250本のガガミラノですね。もともと上のフロアのスーツ売り場にいたので、クラシックを意識した着こなしが好きなんです。紳士肌着売り場ではちょっと目立ってるかもしれません(笑)。

将来はセレクトショップを自分でやりたいと思い、そのための勉強をしたかったので、高校卒業後は専門学校も合わせて3つの学校に通ったんです。英語や経営学、心理学などを学んでいました。伊勢丹に就職したのは25歳のとき。どこよりもお客さまのことを第一に考えるその姿勢を学びたかったのと、ここで自分がどこまでできるのかやってみたかったんです。接客は一期一会。お客さまごとに、まったく同じということはありません。

肌着のニーズはサイズ、素材、色柄、ブランドなど、おひとりずつ違っています。最適な答えを提案するために、知識はもちろん、いかにして相手の立場に立てるかが大切です。私はいつもお客さまと一緒に来たつもりで、笑顔で楽しく買い物をしていただけるよう心がけています。それはスーツ売り場のころと何も変わってないです。

最初、スーツ売り場から異動になったとき、好きなファッションから離れるのは残念だったのですが、肌着ってすごく奥深いんですよ。コットンひとつとっても種類がすごく豊富だし、フィッティングもさまざまで、ブランドによっても肌触りがそれぞれ違うんです。肌着って、スーツよりも素材感にこだわる方が多いので、どういうタイプがお好きか、密にコミュニケーションを取りながら探っていきます。ご紹介した肌着を気に入っていただいて、リピートしてくださるとうれしいですね。

常に何かに挑戦していたいと思っています。人にというより、やっぱり自分に負けたくないんです。子どものころからそうでした。負けず嫌いだったのは、いくつも会社を経営している祖父の背中を見て育ったからかもしれません。いつか自分でも、家族で足を運べるお店ができたらなって思いますが、いまは肌着の世界で頑張りたいっていう思いが強いです。

1050_TL_6375
パーカ¥16,800、Tシャツ¥13,800 

稲葉健悟さんおすすめの一品
Life Pack Collection from Curlyのパーカ&ウールロングスリーブシャツ

ウールの肌着は私も愛用していますが、コットンのように汗を吸っても肌に張り付かないので快適ですよ。なかでもおすすめは香川県のカットソーブランド、カーリーです。手袋生産で国内トップシェアを誇る香川県で、手袋の製造工場で培った技術を元に、自社でオリジナルファブリックの企画、パターン作成、縫製まで一貫生産しています。

定番アイテムはラフィトップ裏毛ジップパーカ。リピーターの多い人気のアイテムです。糸は繊維強度の強い超長綿のトルファン、シルキーな光沢が特徴のギザ、クリーミーでやわらかなスーピマの落ち綿を混紡したムラ糸リサイクルコットンを採用。編み立てには旧式織機を使っているので、やわらかくふっくらとして包み込むような着心地が特徴です。

もう一点、おすすめしたいのがウール素材のロングスリーブシャツです。ウールと聞くと、秋冬素材のように思われるかもしれませんが、本来、ウールは通年着られる機能性素材です。吸湿性、放熱性、防臭性があり、水を弾く性質がありながらも空気中の湿気を吸収してくれて、汗をたくさんかいても、湿った感じが少なく、しかも水分が蒸発するときに気化熱を奪うため夏は涼しく感じられます。ウールの肌着は私も愛用していますが、サラっと着ることができてすごく快適なんです。

問/伊勢丹新宿店 03-3352-1111

Photograph:Hiroyuki Matsuzaki (INTO THE LIGHT)
Text:Yasuyuki Ikeda

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