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ブラックスーツの着こなしのポイントとは?
マナーや礼服との違い、おすすめブランドを解説

2020.10.27

ブラックスーツの着こなしのポイントとは?<br>マナーや礼服との違い、おすすめブランドを解説

ブラックスーツをビジネスシーンで着ることには、賛否さまざまな意見があります。もしも着ることを選択する場合、礼服とは違ったビジネスシーンに適した着こなしで、ポイントを押さえてスマートに決めたいもの。この記事では、ブラックスーツをビジネスシーンで着ることの考え方や、着こなしのポイントなどについて解説します。

ビジネスでブラックスーツの着用はマナー違反?

ハンガーに掛かったスーツ

日本では就職活動でブラックスーツを着用する人をよく見かけます。リクルートスーツを購入するときに「冠婚葬祭でも着まわせるように黒のスーツを選ぼう」と考える人もいるかもしれません。しかし、ヨーロッパやアメリカではビジネスシーンでブラックスーツを着用する人はほぼいません。スーツ発祥の地であるイギリスでは、ブラックスーツはビジネスシーンにおいてふさわしくないという考え方が自然なのです。

しかし、最近では海外の有名ブランドがブラックのスーツを発表するなど、考え方は少しずつ変化しています。ブラックという色は、人に「高級・威厳・神秘的・自信」といったイメージを与えるため、欧米諸国での常識にとらわれずに考えれば、むしろビジネスシーンにも相性のいい色と考えることもできるのです。

この記事では、賛否それぞれの考え方があることを踏まえたうえで、ブラックスーツの着こなしについて解説していきます。

ブラックのビジネススーツとフォーマルスーツ(礼服)の違い

礼服

ブラックのビジネススーツとフォーマルスーツの違いを解説していきます。  まず、織り方に大きな違いがあります。ビジネススーツは平織りや綾織りのものが主流です。秋物や冬物としては、サージやギャバジン、シャークスキンが多く用いられています。また、夏用として、平織りのマットウースやトロピカル、ポーラなどが人気です。一方フォーマルスーツには、朱子織りのドスキンが定番生地として使われています。朱子織りは光沢があり、高級感が必要なフォーマルスーツに適しています。夏物のフォーマルスーツには、平織り素材が使用されています。

次に、使用する素材にも違いがあります。ビジネススーツの場合、ベースはウールとポリエステルですが、冬物にはカシミヤやアルパカが混紡されていたり、夏物には麻やシルクが混紡をされていたりする場合もあります。対して、フォーマルスーツの素材は、基本的にウールがメイン素材となります。夏物の場合、一般のスーツと同様に麻やシルクが混紡された平織り生地を使う場合もあります。

続いて、ブラックの「色」にも大きな違いがあります。フォーマルスーツの場合、ブラックの色の深くて濃いほど、高級感があっていいスーツとされています。また、ビジネス向けのブラックスーツの場合、ストライプをはじめとした柄物もありますが、フォーマルスーツは無地でなければなりません。フォーマルスーツの場合は、黒の革靴でプレーントウが望ましいとされていて、ネクタイも冠婚葬祭用の物が適しています。 

ブラックのスーツが与える印象

黒スーツの着こなし

スーツも含めてファッションは、カラーによって相手に与える印象がまったく異なります。ここでは、ブラックスーツが周りに与える印象について解説していきます。

精悍さ

ブラックスーツは、相手に精悍(せいかん)な印象を与えることができます。その象徴として、日本ではリクルートスーツとしてよく用いられます。力強さや鋭敏さを相手に印象づけることで、仕事において信頼を得ることにつながるのです。

また、着る人にとっても、ブラックスーツは「着用するだけで身が引き締まる」と感じさせてくれるもの。上手に活用すれば、周囲に精悍な印象を与えながら自分自身の気持ちも高まり、ビジネスシーンでのポジティブな効果が期待できます

格式の高さ

クレジットカードにおける「ブラックカード」に象徴されるとおり、ブラックは「格式の高さ」を示す色でもあります。冬物のブラックスーツで、綾織のジャカード生地を使用したものをまとえば、同じグレードのベージュやグレーのスーツでは醸し出せない、圧倒的な風格をアピールできます。

そのため、ブラックスーツはモード系のコーディネートでも重宝されているアイテムです。カラースーツで個性を出すのもいいですが、モノトーンでストイックなスタイルを追求していけば、ビジネスシーンでも周囲に「仕事ができる男」と印象づけることができるでしょう

個性的

ブラックスーツをビジネスシーンで着ることは、前述したとおり、スーツ発祥の地であるヨーロッパではスタンダードではありません。ネイビーやグレー、ブラウンなどが一般的によく着用されています。だからこそ、あえてそのなかでブラックスーツを選ぶことは個性を主張することにつながります。営業活動や商談など、ビジネスの重要なシーンで着ることで、相手に自分の存在を印象付けることができるでしょう。

しかし、無彩色であるブラックは個性を演出できる半面、コーディネートが難しいという問題もあります。シャツやネクタイといったほかのアイテムとのコントラストが強すぎると悪目立ちしてしまうため、印象を和らげるための工夫が必要です

ブラックのスーツの着こなしのポイント

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ビジネスシーンで着用する人も増えているブラックスーツですが、着方を間違えるとフォーマルやリクルートのような雰囲気になりがちです。また、前述のとおり、悪目立ちすることも。

ここでは、そうしたブラックスーツのコーディネートの難しさを踏まえ、ビジネスシーンで着こなすためのポイントを5つ紹介します。

生地は無地よりもストライプがおすすめ

ビジネススーツとしてブラックスーツを採用する場合は、細めのストライプや織柄のシャドーストライプが入った生地を選ぶのがおすすめ。ストライプの効果によってブラックの強い印象が和らぎ、グレースーツに近い感覚で無理なくスマートに着こなすことができます。

無地のブラックスーツは、ブラックフォーマルのような堅苦しい雰囲気になりやすく、コーディネートのハードルが上がるため、ビジネススーツとしては上級者向けのアイテムと言えます。ブラックスーツを選ぶ最初の選択肢としては避け、こなれてきたころにチャレンジするのがいいでしょう

シャツは白以外をチョイス 

ワイシャツは、最もベーシックとされる無地の白を選んでしまうと、礼服やリクルートスーツのような印象になりがちです。ブルーのシャツを合わせることで、シャツ本来の清潔感を保ちながら、ブラックスーツともなじみ、ビジネスシーンにマッチしたコーディネートが可能です。

そのほか、ライトグレーやブルーグレーのシャツもブラックスーツと好相性です。また、ピンクは日本人の肌色との相性もよく、ブラックスーツの強い印象をやわらかく中和してくれます。

また、ストライプをはじめとした柄モノのシャツを合わせるのもいいでしょう。白いシャツであっても、ストライプを選べば、モノトーンコーディネートの凛々(りり)しさをそのままにビジネスシーンに適したスタイリングが可能になります

ネクタイ選びはネイビーを基本に

Vゾーンは、スーツスタイルの要。Vゾーンの印象を左右するアイテムとして、ネクタイ選びは重要です。

ネクタイにはさまざまな色や柄がありますが、ビジネスシーンのスーツスタイルで基本となるのがネイビー。もちろんブラックのスーツでも問題なくなじみます。

そのほか、白地にストライプのシャツにグレーのネクタイを合わせ、モノトーンでまとめるもよし、秋冬にはブラウンやえんじ色といった暖色系のネクタイで季節感を採り入れるもよし、シャツとの相性やシーズンも意識して、トータルでバランスが取れたコーディネートを目指しましょう。

日々のコーディネートに変化をつけたいときや、ほどよくインパクトを加えたいときは柄モノのネクタイを採り入れるのもおすすめです。しかし、奇抜すぎるデザインはビジネスの場で好ましくありません。ストライプや小さめのドット、小紋柄など、王道で主張しすぎないものがマッチします

カジュアルな着こなしならブラック×ブラックもOK

ビジネスシーンから少し離れ、例えば社内でのイベントや、ドレスコードの指定がないパーティーなどでは、仕事のときとは雰囲気の異なる装いを楽しむのもいいでしょう。そんなときに挑戦してほしいのが、ブラックのスーツにブラックのシャツというコーディネート。オールブラックはハイブランドのコレクションでも採り入れられる、スタイリッシュな着こなしです。全身を黒で統一することで、ドレッシーな雰囲気とともにほどよくモード感が漂い、華やかなシーンのなかで寡黙な魅力を放つことができます。

オールブラックのスタイルでは、とことんシンプルにまとめるのがおすすめ。変に飾り立てるとホストのような印象になってしまうので注意が必要です

ブラックスーツなら足元もブラックでそろえる

靴とベルトの色を合わせることはスーツスタイルの鉄則。それと同様に、黒のスーツを選ぶときは、足元も黒い靴で合わせることで全体の統一感が生まれます。濃茶の革靴も不正解ではありませんが、黒のスーツとは相性が悪いため、避けるのが無難です。

ちなみに靴のデザインですが、スーツの色にかかわらず、つま先の部分に横一文字のステッチが入った「ストレートチップ」が最もスタンダードです。また、靴ひもを通すパーツがアッパー素材と一体になった「内羽根式」であれば、冠婚葬祭で礼服とも合わせることができます

ブラックスーツのおすすめブランド

ストライプスーツ

ブラックスーツは、冠婚葬祭でのブラックフォーマルやリクルートとしての着用にとどまらず、ビジネスからカジュアルまで、さまざまシーンで広がりを見せています。ひと言でブラックスーツと言っても、素材や仕立て、デザインはブランドによって異なり、豊富なアイテムがラインアップされています。ここでは、ブラックスーツの展開するブランドのなかで、おすすめを3つ紹介します

TAKEO KIKUCHI(タケオキクチ)

TAKEO KIKUCHI (タケオキクチ)は、デザイナーの菊池武夫氏が1984年に創立したブランド。ベーシックなスタイルのなかにも、遊び心と男の色気を表現したデザインが人気を集めています。

スーツは多種多様なデザインがラインアップされるなか、ブラックも展開されています。素材には冠婚葬祭すべてのシーンに対応するオリジナルクオリティーのサージや、コーデュラを使用したものなどがあり、カジュアルに着こなせるセットアップスーツも展開されています。ジャケットやパンツ、ベストを単体で購入し、ほかのアイテムと組み合わせて楽しむことも可能。コーディネートの幅がグンと広がります

THE SUIT COMPANY(ザ・スーツカンパニー)

THE SUIT COMPANY(ザ・スーツカンパニー)は、リーズナブルな価格帯でスーツを提供する、スーツに特化したブランド。2000年に1号店が開業してから徐々に店舗数を増やし、ビジネスマンのオフィススタイルを支えてきました。

スーツをはじめとして、ワイシャツやネクタイ、ベルト、シューズ、バッグ、ソックスからインナーまでそろっているため、ビジネススタイルのトータルコーディネートが可能。ウォッシャブルやストレッチ素材を使った機能性に優れたスーツもラインアップされており、デイリーのビジネススタイルで実用性を発揮してくれます。

最近では選任のスタイリストに採寸から型選び、素材選びまでを気軽にしてもらうことができる「いくだけオーダースーツ」も展開。自分に合ったスーツを手頃な価格帯で仕上げてもらうことができます

TAILOR FIELDS(テーラーフィールズ)

TAILOR FIELDS(テーラーフィールズ)は、パターンオーダーを扱っているテーラーです。パターンオーダーであれば、ブラックスーツを作る際にも生地から選んでデザインも選択することができ、自分の好みや体形に合ったオンリーワンの一着を仕立てることが可能です。

生地やデザインを選ぶことができるため、ブラックスーツもフォーマルやリクルートに見えないように考慮できます。また、ジャケットよりも先に傷みやすいパンツだけ複数本オーダーしたり、ベストを追加して3ピースにしたりと、スーツを着る頻度や理想的なスタイルに合わせてさまざまな選択ができるのは、オーダースーツならではの強みであり、楽しみでもあります。

そんなテーラーフィールズのパターンオーダースーツは、国内縫製工場で仕立てられています。この国内縫製工場は、多くの海外ブランドのファッションアイテムを長年仕立ててきた有数の工場。同ブランドのスーツの品質も保証されているといっていいでしょう

まとめ

ビジネスシーンにおいてブラックスーツがマナー違反にならないのか、また、ブラックスーツとフォーマルスーツの違いや、ブラックスーツが周囲に与える印象などについて解説してきました。同時に、着こなしのポイントやおすすめのブランドを紹介しました。

ブラックスーツをビジネスシーンで着ることについて、ポジティブな印象をもっていない人は少なくないでしょう。しかし、それはブラックスーツのマイナス面を意識せず、フォーマルスーツやリクルートスーツと同じ感覚で着てしまっている人が、まだまだ多いからなのかもしれません。

スーツ発祥の地であるイギリスの常識を理解したうえで、あえてブラックスーツを着る意味や周囲に与える印象も踏まえ、ビジネスシーンに合わせた着こなしを楽しんでみてはいかがでしょうか

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