スーツ
スーツに合うクラッチバッグとは?
おすすめブランドやコーディネートを解説
2020.12.03(最終更新:2023.09.13)
ファッションに敏感な男性たちのあいだで、一時の流行から定番へと変化しつつあるのが、ビジネススーツにクラッチバッグをコーディネートするスタイル。ただし一歩間違えると、ダサくなってしまいかねない危険な合わせ方もあるので、注意することが必要です。この記事では、スーツに合うクラッチバッグのおすすめブランドや、コーディネート術について解説していきます。
クラッチバッグとは
クラッチバッグとは、ショルダーひもなどがついていない、手に持つタイプのハンドバッグのことです。クラッチとはもともとイギリス英語で「握る・つかむ」という意味。手で握るバッグだから、クラッチバッグと呼ばれているというわけです。
バブル~1990年代にも、ビジネスマンのあいだでクラッチバッグは流行しました。いわゆる「セカンドバッグ」と呼ばれるものです。昨今のおしゃれなタイプのクラッチバッグも、出はじめた当初は「おじさんの持つバッグ」と認識していた人もいるのではないでしょうか。しかし、今どきのクラッチバッグは、かなりおしゃれなアイテムへと昇華されています。スーツに合わせて、持つだけで格好よく決まるおしゃれクラッチバッグには、皆さん興味がありますよね。
スーツにクラッチバッグを合わせるのはアリ?ナシ?
スーツにクラッチバッグを合わせるのは、もちろんのこと「アリ」です。スーツにクラッチバッグをコーディネートすると、誰もがファッション関係者もしくはクリエイティブ職かのように、おしゃれな男性に見えることでしょう。
しかし、コーディネートの方法については、注意しなければならないことがあります。例えばストライプ柄のスーツに、同じくストライプ柄のクラッチバッグを合わせることなどは、常識的に考えて「ナシ」。とてもダサいコーディネートになってしまいます。もともと柄×柄のコーディネートは危険度が高いもの。コメディアンみたいになってしまわないためには、シンプルで質の良いクラッチバッグをチョイスして、さりげなく持つことがポイントです。
また、マチ部分が大きすぎるクラッチバッグは、バブルのころのセカンドバッグをほうふつとさせてダサくなりがちです。だからといってマチがまったくないクラッチバッグでは、仕事に必要な荷物が入らず、機能面で劣ってしまいます。ビジネススーツに合わせるためのクラッチバッグ選びには、慎重さとセンスが重要になってくるのです。
スーツに合うクラッチバッグの選び方
スーツスタイルにクラッチバッグをコーディネートする場合、いくつかの注意点があります。もともとクラッチバッグはきちんとしたフォーマルなバッグとして生まれたもので、チョイスの仕方さえ間違えなければ、仕事先で恥をかくようなことはまずありません。
周りの人に合わせる
クラッチバッグはもともと100年以上の歴史を持つ、クラシックでフォーマルなバッグです。しかし昨今では良い意味でも悪い意味でも、「おしゃれで遊び心のあるアイテム」とのイメージがあります。スーツスタイルでもおしゃれをすることは恥ずかしいことではなく、むしろ格好の良いことですが、それは勤め先の社風にもよります。
例えばですが、外回りの営業マンがスーツにクラッチバッグを合わせていたら、営業先の人に「チャラチャラしているな」という悪い印象を与えてしまうこともありえるのです。また公務員やお堅い職業の人などが、クラッチバッグをスーツに合わせていると、周りから浮いてしまう可能性が高いでしょう。そういう人は、普通のビジネスバッグを持ったほうが無難です。
間違いのない方法は、社内の上司や先輩がスーツにどんなバッグを合わせているのかを観察することです。もしもクラッチバッグを持っている人がいれば、その職場ではクラッチバッグを持つことは許されるということになります。クラッチバッグまでいかなくとも、リュックタイプのバッグなどカジュアルなものを持っている人が多ければ、あなたがクラッチバッグを持っていても周りから浮くことはまずないでしょう。要は、周りの雰囲気や社風に合わせることが最大のポイントになるのです。
華美な装飾のついたものは避ける
ショップで売られているクラッチバッグのなかには、スタッズが打ち込まれたものやメダリオンなどの装飾がついているものも少なくありません。これらは、遊び着にコーディネートするために作られたクラッチバッグになります。ビジネスの場でスーツに合わせるのには遊び心がありすぎて、ふさわしいものとはいえません。
また、ブランドロゴが目立つように入っているクラッチバッグも、スーツスタイルでは避けたほうが無難です。ビジネスの場で、ひと目でブランドものだとわかるようなアイテムを持つことは、あまりスタイリッシュなものではありません。さりげないブランドマークや、ごく小さくブランドロゴが入っている程度ならば、スーツに合わせるのも許容範囲でしょう。
スーツスタイルにクラッチバッグを合わせるのなら、できるだけシンプルなものを選ぶことが大切です。社内で悪目立ちしたり、遊び人っぽいと思われたりすることは、ビジネスマンとしてかなりのマイナスですからね。
色にこだわる
スーツに合わせるクラッチバッグを選ぶときには、ブラック、ネイビー、ブラウンなどのベーシックなカラーをチョイスしたいものです。ショップではビビッドなビタミンカラーやメッシュタイプのカラフルなクラッチバッグなどもおしゃれに見えますが、スーツにコーディネートするのなら、もちろんのことNGになります。仕事が休みの日に私服で持つのならば好きな色のものでもかまいませんが、スーツに合わせるのならば絶対にシンプルな色のものが正解です。
そして、スーツとクラッチバッグのカラーコーディネートを意識すると、ワンランク上のおしゃれなスタイルに仕上がります。例えばネイビーのスーツを着た際にはブラウン系のクラッチバッグ、グレーのスーツを着ている際にはネイビーのクラッチバッグをチョイスするのはいかがでしょうか。スーツとクラッチバッグのカラーコーディネートが決まると、スーツスタイル全体の印象がぐっとあか抜けます。ぜひ、色合わせにもこだわってみてください。
素材にこだわる
キャンバス素材などのカジュアル感の強い素材のクラッチバッグは、とても人気があります。しかしスーツスタイルの際には、カジュアルすぎるクラッチバッグは合わせないほうが無難です。ビジネスマンとして恥ずかしくない、高級感のある素材のクラッチバッグをチョイスするようにしましょう。
ベストな素材は、リアルレザーのクラッチバッグです。お財布事情によってそこまでビジネス用のクラッチバッグにお金をかけたくない場合は、リアルレザーのように見える合皮素材でもかまいません。ナイロン素材では、チープすぎてしまいます。要はフォーマル感が醸し出されれば、スーツにコーディネートしても浮かないクラッチバッグになるのです。
ヘビ柄やワニ革のような型押しのクラッチバッグも人気が高いですが、スーツにコーディネートするならばなるべくシンプルなレザー素材のほうがベターです。そのほうがぐっと合わせやすくなりますし、型押しのクラッチバッグはビジネスシーンでは華美になりかねないからです。
容量も考えて選ぶ
スーツスタイルに合わせるためのクラッチバッグを購入する際には、第一に「仕事道具がちゃんと収まるかどうか」が重要なポイントになってきます。いくら色や形がシンプルで、スーツにコーディネートしやすそうだなと思っても、仕事で使う手帳やスマホ、財布など必要なアイテムが入らないくらいにスリムで小さすぎるクラッチバッグは、当然ながらNGです。あくまで仕事に使うためのクラッチバッグだということを念頭において、持ち物がちゃんと入るサイズのものを選ぶようにしましょう。
おすすめなのは、A4サイズのクラッチバッグです。このサイズならば、必要書類やノートなどもぴったりと収まるので、荷物が入らず困ることはありません。さらに便利に使うためには、バッグの中で迷子になりがちな小物を収納できる、内ポケット付きのクラッチバッグを選ぶとより良いでしょう。
ビジネススタイルとクラッチバッグのコーディネート術
クラッチバッグは普段着のカジュアルにも、二次会などパーティーシーンにも似合うものです。今回は、ビジネススーツスタイルにクラッチバッグをコーディネートする方法を紹介していきます。
ネイビースーツ×クラッチバッグ
ビジネススーツの定番といえば、ネイビーのスーツです。ネイビーのスーツをかっちりと着た際には、クラッチバッグを合わせてこなれ感を演出してみたいものですね。そんな定番色、ネイビーのスーツにぴったりくるクラッチバッグといえば、ブラウン系のものになります。もともとネイビーのスーツにブラウンのクラッチバッグは、非常に相性が良いものです。チープ感が出ないようにナイロン素材などは避け、リアルレザーや上質な合皮を用いたクラッチバッグをチョイスすると、よりスタイリッシュになるでしょう。
あとは色合わせの注意点として、スーツスタイルでは革小物のカラーをそろえるのが基本になります。つまり、ブラウンのクラッチバッグを持つならば、靴やベルトもブラウンで合わせるということです。なかなかブラウンのものをそこまで徹底してそろえることが難しいならば、ネイビースーツにブラックのクラッチバッグとブラックの靴およびブラックのベルトをコーディネートするのも良いでしょう。ネイビースーツにブラックのクラッチバッグのコーディネートも、シックに決まります。クラッチバッグがブラウンなのに、靴はブラック……なんてちぐはぐに見える合わせ方は、あまりおすすめできません。くれぐれも注意してくださいね。
グレースーツ×クラッチバッグ
もう一色、ビジネススーツといえばグレーのものも多いです。グレーのスーツにコーディネートするならば、ネイビーのものがおすすめになります。または、ブラックがかったグレーのクラッチバッグもよく似合うでしょう。この場合には、グレースーツの色みとクラッチバッグの色みが似すぎないように注意が必要です。グレースーツと、ブラックグレーのクラッチバッグがちょうどグラデーションになるようにコーディネートするのが、ビジネススーツスタイルをおしゃれに見せるコツになります。
グレーのビジネススーツスタイルのときは、Vゾーンはすっきりとさせるのも大事なことです。シンプルなグレースーツスタイルに、ネイビーやブラックグレーのクラッチバッグでアクセントをつけるのがすてきです。
カジュアルスーツ×クラッチバッグ
ビジネスカジュアルが許されている職場ならば、カジュアルなスーツやジャケパンスタイルで会社に行く人もいるでしょう。カジュアルスーツやジャケパンスタイルに、クラッチバッグのコーディネートは、もちろんのこと相性抜群です。
カジュアルスーツならば、リアルレザーのクラッチバッグにこだわらずとも、キャンパス素材などのラフなクラッチバッグもお似合いです。だからといってカラフルすぎるものよりは、ベージュやカーキ系のキャンパス素材クラッチバッグが悪目立ちしません。デザインも奇抜なものはなるべく避け、スタイリッシュなシンプルデザインのものを選ぶようにしましょう。そうすると、仕事が休みの日の私服にも合わせることが可能になり、便利に使いまわしをすることができます。
セットアップ×クラッチバッグ
ビジネスカジュアル可の職場で多いのが、セットアップのスタイルになります。ジャケットのインナーにシャツとネクタイではなく、タートルネックのニットを合わせる人も多くいますね。そんなカジュアルなセットアップスタイルには、できるだけ上質なクラッチバッグを合わせるべきでしょう。全体の印象が引き締まって、仕事ができる男性に見せることができるからです。
セットアップにタートルネックのニットのスタイルには、やはりリアルレザーのクラッチバッグが断然似合います。なかでもおすすめは、ヌメ革のクラッチバッグ。ヌメ革は使い込んでいくうちに自分だけの色合いに経年変化し、どんどん愛着がわいてくるものです。世界でひとつだけしかない、あめ色のクラッチバッグに年月をかけて育てていくのも、面白いかもしれませんね。
紺ブレザー×クラッチバッグ
紺ブレザーにグレーのスラックスを合わせた、こなれたスタイルにもクラッチバッグはよく合います。紺ブレザーとグレーのスラックスというジャケパンスタイルは定番なので、クラッチバッグで遊び心を持たせるのも良い方法でしょう。紺ブレザーにネイビーのクラッチバッグやブラックのクラッチバッグでは、面白みや意外性がないですからね。
紺ブレザーとグレーのスラックスにおすすめなのは、グリーン系の遊びのあるクラッチバッグです。シンプルな色合いのジャケパンスタイルに、グリーン系のクラッチバッグはおしゃれな差し色となってくれます。グリーン系のクラッチバッグにはメッシュ素材などのものも多いですが、ビジネスシーンで合わせるならば、やはりリアルレザーか上質な合皮のものがベストです。リアルレザーのグリーン系のクラッチバッグならば、カジュアルに傾きすぎず、全体的に落ち着いた印象を与えることが可能になります。
先ほど、レザー小物は色を合わせるのが基本だと書きましたが、グリーン系のクラッチバッグの場合にはブラックのプレーンな靴やベルトでもOKです。なるべく、シンプルな色合いでまとめましょう。
クラッチバッグのおすすめブランド
最後に、スーツにコーディネートするクラッチバッグを買うのにおすすめの、3ブランドを紹介していきます。どれもスタイリッシュなクラッチバッグを出しているブランドなので、参考にしてください。
Paul Smith(ポール・スミス)
Paul Smith(ポール・スミス)はイギリスのノッティンガム出身のファッションデザイナー、ポール・スミス氏のブランドです。1970年に最初のショップを開店し、徐々に自分の名前を冠したアイテムを取り扱いはじめます。1976年には、初めてのショーをパリで開催。以降毎シーズン、パリにてメンズウエアの新作コレクションを発表し続けています。「ひねりのあるクラシック」をコンセプトに掲げる彼の服飾は、伝統的な技術と仕立てと遊び心が共存する、個性的なスタイル。ポール・スミスのシンボルともなっている色鮮やかなストライプ柄やフラワー柄、写真などのプリント柄が代表的なものになります。
そんなポール・スミスのクラッチバッグには、ブランドカラーの強い奇抜なものがありますが、シンプルなものも多く出しています。価格は3万円台くらいからです。
TAKEO KIKUCHI (タケオキクチ)
TAKEO KIKUCHI (タケオキクチ)は、デザイナーの菊池武夫が1984年に株式会社ワールドに移籍し、スタートしたメンズブランドです。トラディショナルな英国紳士スタイルが特徴。タケオキクチのクラッチバッグはシンプルかつおしゃれさも兼ね備えたものばかりです。布製やPVC素材などのもので1万円前後からという、買いやすい価格帯も魅力。レザーのクラッチバッグでも、1万円台~2万円台と、初めて買うクラッチバッグに最適な価格の商品が取りそろえられています。ビジネススーツにも合わせやすいので、重宝することでしょう。
dunhill(ダンヒル)
dunhill(ダンヒル) は言わずと知れた、イギリスを代表する高級ファッションブランドです。現在は、フランスのカルティエやスイスのIWC、ドイツのモンブランなどのラグジュアリーブランドを多数所有する、スイスのリシュモングループの傘下に入っています。ダンヒルの主な商品はメンズウエアやライター、そして財布やバッグなどのレザーグッズが有名です。クラッチバッグの種類も豊富にあります。丁寧に作り上げられたダンヒルのクラッチバッグは、現代のビジネスマンを格好良く見せてくれる、高級感あふれるものばかりです。価格帯のほうは決してお安いとは言えませんが、飽きのこない一生もののクラッチバッグを探している人には、ぜひチェックしていただきたいブランドです。
まとめ
この記事では、ビジネススーツに合うクラッチバッグの選び方やそのコーディネート術、おすすめのブランドについて紹介してきました。ビジネススーツにクラッチバッグを合わせるコーディネートは、流行からもはや定番スタイルに変わりつつあります。ファッションに敏感な人ならば、ぜひチャレンジしてみたいスーツにクラッチバッグを合わせるコーディネート。職場や環境が許すならば、ひとつは所有しておきたいアイテムになっているのが、シンプルなクラッチバッグです。
ショルダーバッグやリュックタイプのバッグのように、スーツの肩の形を崩すこともなく、なおかつスタイリッシュに持てるのがうれしい部分のひとつでもあります。スーツスタイルに合わせるだけで、ワンランク上のおしゃれな人に見せることができるのが、クラッチバッグ。チャレンジするなら今かもしれません。
「いまどきビジネスバッグの選び方、使い方。編集長の「見立て」。#27」
「営業からテレワークまで映えるビジネススタイルを意識 ニューノーマルな、ビジネススタイル。第一回」
カジュアルスーツの着こなしはこちら>>
セットアップスーツの着こなしはこちら>>