カジュアルウェア
ファッショントレンドスナップ86
バッグの新トレンドをビームスで発見。
和装小物だったきんちゃく袋がモダンに変身して大ブレーク!!
2020.11.17
東京のセレクトショップを見て回って気がついたのが、バッグのコーナーの様変わり。レザーの重厚な英国系バッグやバリスティックナイロンなどの米国系のタフで便利なブリーフは棚の隅っこにおいやられ、ボディーバッグやリュックといったカジュアルバッグが主役扱いになっていました。
スタッフの方に人気のあるバッグについて聞いてみると「最近のダークホース的なバッグがこれです!!」といって見せてくれたのがレザーのきんちゃく袋。最初はなぜ和装小物がセレクトショップに来る人たちに刺さるのか?と理解できませんでしたが、実際手に持ち使ってみると人気の理由がわかってきました。
「クラッチは見た目には格好いいのですが、持ち手がないものが多く、すぐに手首が疲れてくるんですよね。それと休日には使えない。そんな悩みを解消したのがきんちゃく袋。仕事のときはこれをビジネストートの中に入れておけば、休憩のときにスマートフォンや鍵、歯磨きセットなどをスマートに持ち出せます。休日はこのひも部分を手首に絡めて持てば楽チン。30代、40代の方には日本古来のバッグという意識はほとんどないと思います」とは、六本木の老舗セレクトショップの方のコメント。
改めてカバン店や百貨店をのぞくとポーターなどの日本の老舗バッグブランドからも発売されていて、かなりの数が出回っていました。ブランドごとに素材やデザインを工夫していて持ち手を長めにして肩がけできるようにしたり、クロコダイルで作ったりと、いまブレークの最中という感じ。
そんな進化系きんちゃく袋ですが、ピッティ ウオモのスナップを見返していたら、なんとビームスのプレスの安武俊宏さんが持っているではありませんか。バブアーのコートにきんちゃく袋がこんなに似合うとは。それにかわいい! 最先端のトレンディーなスタイルでも、これを持てばほどよい脱力感が加わり和みのオーラに包まれるという感じですね。
ピッティ ウオモでは、ビームスの方々のスタイリングや身に着けているものは、何年か後に世界的なトレンドになると言われているので、これもニューヨークやパリでブームになりKINCHAKUと呼ばれる日も遠くないのでは。
今季ビームスではオリジナルからインポートブランドのきんちゃく袋まで、かなりバリエーションがあります。なかでもいち押しなのがイタリアのバッグ専業メーカーのダニエル&ボブに別注をしたシリーズ。
ブラックスエードを使ったモード感の漂ようきんちゃくバッグ¥37,000/ダニエル アンド ボブ、やわらかくなめされたベージュのレザーきんちゃくバッグ¥36,000/ダニエル アンド ボブ、コットンキャンバス生地を使ったきんちゃくバッグ¥27,000/ダニエル アンド ボブ(以上 ビームス 六本木ヒルズ 03-5775-1623)
開口部が大きくて中が見やすい、こぶりなのにちゃんと自立できるのがこのバッグのいいところ。携帯や文庫本、小さな水筒くらいまで入ってしまう容量には感動。実は、このモデルはビームスが通常規格よりも高さを上げて容量を増やしているそうです。日本の生活に合わせてしっかり微調整をするこだわりはビームスの真骨頂。
日本のきんちゃく袋とはちょっと違う部分がここ。持ち手の開け締めをシンプルな構造で簡単なアクションでできるようにしています。これは使ってみると超便利。これ考えた人ほんと偉い!
安武さんのスナップのスタイリングを再現したのがこちら。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに 通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こな しを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi