特別インタビュー
中村憲剛選手に、ラルフ ローレンを見る。
[渋谷直角 男が憧れる、男の持ち物。]
2020.11.19
多才でいてファッションフリーク、渋谷直角の愛用品からそのセンスを探ってみる──。
チームの象徴である中村憲剛選手のファンだということもあって、Jリーグでは川崎フロンターレを長年ヒイキにしているのですが、今年は信じられないくらい異常な強さを発揮して首位を独走。ルーキーや補強した選手が大当たりで、大けがから復帰した中村憲剛選手がなかなか試合に出られないほど、充実した戦力になっているんです。憲剛選手に頼らなくても強いチームになっているのは喜ばしくもあり、ファンとしてはプレーがあまり見られない寂しさもあり。でもこれがチームとしては良い循環、次のサイクルなのでしょう。
僕にとってはラルフ ローレンの服も、憲剛選手と似たものを感じます。10代の、ファッション始めたてのころからいまに至るまで、ずっと存在感がなくなることがなく、「もう着なくてもいい」と思うこともなく、1軍のポジションに居続けるのはいつもラルフローレンでした。
最初は「ラルフなら間違いない」と、チーム(自分のワードローブ)の中心選手として活躍。デザインも素材も刺しゅうのポロマークも誇らしく、コーディネートの起点としてチームを引っ張ってくれました。年々魅力的な選手(ほかの服)が増えてくると、今度はラルフが、チームの底を支える選手として機能してくる。ベテランとしてコーディネートをまとめてくれたり、ほかの選手と絡ませることで新たな魅力を見せてくれたり。
こうして、オレンジのニットを見たりすると、改めて「ああ、やっぱりいい選手だな」と思えるのも、39歳にしていまだ衰え知らずの憲剛選手の存在感とかぶります。派手なプレーや現時点での絶対的な選手でなくとも、必ず必要になる、必ずチームに入れておきたい。そんな存在ですよね。
憲剛選手は今年、大けがからの復帰戦でいきなりゴールを決めて、相変わらずレジェンドであることを見せつけました。今年のラルフ、そんな期待を込めて買おうかな。
Photograph: Tetsuya Niikura(SIGNO)
Styling: Masahiro Tochigi(QUILT)