カジュアルウェア

ファッショントレンドスナップ88
ラグジュアリーブランドのキャップが人気急上昇。
いったいどうコーディネートするのが正解!?

2020.12.09

写真・図版 大西陽一

写真・図版

ヨーロッパのモード系ブランドに今年は共通したトレンドがいくつかあります。それはブランドロゴをデカデカとウエアやバッグにつけること。昔からのファンからは「露骨すぎる」「昔ながらのヨーロッパ的な上品な感じがしない」など感じている人がいるようですが、いまのファッションシーンをバズらせている20〜30代のセレブリティーやブローガーたちからすると、こちらのほうがカジュアルでリッチないまの気分をアピールするのにピッタリのようです。

振り返れば、レザーの茶や黒のバッグしかなかった時代に、ブランドのイニシャルをデザインして入れたり、金具をブランドの頭文字にしたりして売り出したのはかなりセンセーショナルだったはず……。

そんなロゴブームの真っただなかに出会ったのがこちらのジェントルマン。ベースボールキャップにコーデュロイのスーツという斬新なスタイル。出会った瞬間は、このキャップはロスあたりのスポーツブランドのものかな?と勘違いしていました。ベースボールキャップとデカいロゴのデザインがアメリカンな感じ満載だったので……。

しかしよくよく見ると、1914年創業のフランスを代表するラグジュアリーブランドのバレンシアガではありませんか。デカロゴのブームは、エレガントな老舗ブランドのTシャツやニット、バッグからキャップといった分野にまで浸透していたのですね。

ちなみに、バレンシアガの公式ECサイトで販売されているベースボールキャップは、4万円超えでした。

写真・図版

全身はかなりアクの強い色のWブレストのスーツにキャップ、足元はスニーカー。スーツは織りで凹凸を出したコーデュロイで、今年リバイバルしている素材。元々はカジュアルなジャケットやGジャンなどで目にする素材でしたが、今季はさまざまなブランドでスーツでの展開が多く見られました。

コーデュロイ独特の古臭さ、お父さんのクローゼットの中に眠っていた服のようなイメージをプラスさせるというのが、デザイナーたちのお好みのようです。

とは言ってもジェントルマンのスーツのシルエットは、昔のままではなくかなりアップデートされています。ジャケットは、着丈が短く、Wの合わせ部分もコンパクトで、シャープなラペル。パンツはひざ下がかなり細くなっています。

足元を白のナイキのスニーカー、インナーも白のタートルネックセーターにすることでスーツのインパクトを薄めて全体をクリーンでスポーティーな感じにまとめています。

写真・図版
キャップ¥126,000、ジャケット¥290,000、パンツ¥113,000、タートルネックセーター¥120,000、スニーカー¥105,000/エルメネジルド ゼニア(ゼニア カスタマーサービス  03-5114-5300

今回のスタイリングを再現したのがこちら。セットアップのスーツはスナップのジェントルマンと同じコーデュロイ。ただしブラウン系にしてリアルに着られるカラーに変えています。そしてキャップの色とタートルネックセーターの色を合わせることで、キャップが浮いて見えないひと工夫も。

写真・図版

こちらがキーアイテムのキャップ。ロゴは控えめに横に移動していますが、刺しゅうではなくメタルというこだわり。

値段を見たら10万円超えではありませんか! 実際に触るとお値段の理由が理解できました。なんと本体の生地は12ミクロンという極細の原毛を私用したウール100%。生地の生産からスタートしたこのブランド「エルメネジルド ゼニア」ならではのDNAがこのシンプルなベースボールキャップにも受け継がれていたのです。

最後に余談ですが、ベースボールキャップをファッションにいち早く採り入れたのは、1992年に映画「マルコムX 」を監督したスパイク・リーと言われています。彼はニューヨークにある野球チーム、ヤンキース定番のネイビーを赤に変えて特別に作らせ、球場で観戦したりインタビューや記者会見などで頻繁にかぶっていたので世界中に広まることに。

ちなみにヤンキースの帽子を当時からずっと作っているのは、アメリカの帽子ブランド「ニューエラ

スパイク・リーが登場するまでは、スポーツ選手かスポーツ観戦に行く人くらいしかかぶっていませんでしたが、それ以降モデルやファッション関係者も採り入れるアイテムに格上げされました。2018年にはなんとグッチとコラボレーショしたベースボールキャップが出るほどに。

掲載した商品はすべて税抜き価格です。

トレンドスナップのまとめはこちら

プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに
通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こな
しを求めたトレンドウオッチを続ける。

Photograph & Text:Yoichi Onishi

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