特別インタビュー
毎年誘惑してくるダウンジャケット。
[渋谷直角 男が憧れる、男の持ち物。]
2021.01.05
多才でいてファッションフリーク、渋谷直角の愛用品からそのセンスを探ってみる──。
毎年、冬が近づくと欲しくなるのがダウンジャケット。ダウンほど気軽には買えなくて、でも毎年新作が欲しくなるアウターはないですよね。冬の寒さが厳しいほど、「もっと暖かく」「もっと軽く」という進化を試したくなる。
でも、いいダウンは値段も張って。お手頃価格のダウンはやはりそれなりに見えてしまう、というのもアイツの憎いところで、着たときのカッコよさが違うんですよね。しかもピカピカの新品であるほどカッコいい。試着すると、そのカッコよさと新たな暖かさで「ほ、欲しい!」とテンション上がっちゃうのもアイツの魔性ぶりなのです。
もしかして丁寧にメンテナンスしながら長年着込んだら、めっちゃ味が出てすごくいい感じになったりするかもしれないですけど、ズボラな人間にはそこまで耐えられずに、すぐ新しいの買いたいとなっちゃうのも悩ましい。
当然今年も新しいダウンが欲しいです。でもモコモコとした機能追求的なものより、シュッとしたデザイン重視のほうがいいかな、という気持ち。今年は無駄な外出も控えめな感じですし、ならばスマートに着られて、サッと用事を済ませて家に帰る、なんて使い方がいいですよね。
ちなみにすさまじい酒飲みの先輩から聞いたのですが、関東のある県で、山の中の野外バー、というのがあるそうです。冬限定で、山を登っていくと中腹にそのバーがあり、明かりはたき火の火だけ。でもその店のお酒は異常においしく、静寂とたき火の音、視界には火と素晴らしい星空のみ、という摩訶不思議(まかふしぎ)な店なのだそうです。極寒なのでダウン必須だけど、酒飲みなら一度は行くべきだ、と。でも明け方、大満足で山を降りて電車に乗ると、全員のダウンがたき火の火の粉でボコボコに穴が開いているのに気づくそうです。先輩は新品のダウンでしたが1回でダメになったらしい。でもお店は最高なんだよ、と。う〜ん、リスク高い!
Photograph: Tetsuya Niikura(SIGNO)
Styling: Masahiro Tochigi(QUILT)