調べ・見立て(見立て)
スキンケア意識の高い男性は、ビジネスで好印象を与える!
編集長の「見立て」。#39
2021.01.20
ここ最近、「美容業界がメンズ向け商品に力を入れている」という話題を聞くことが多くなりました。1990年代の「フェミ男」、2000年代の「メトロセクシャル」が注目されたときにも、メンズ美容のマーケットは活況を呈しました。しかし、このときには、美意識の高い一部の人たちのブームとして捉えられた結果、いずれも大きな潮流にはなりませんでした。
現在のメンズ美容の人気は、そのときとは明らかに違っているように思います。これまでまったく興味を示さなかった男性も、ビジネスのためにスキンケアを始めているのです。アエラスタイルマガジンの「調べ」アンケートで「きれいな肌はビジネスで好印象を与えると思いますか?」と問うたところ、「かなり思う」71%、「まあ思う」26%という結果に。両者を加えると、97%というきわめて高い数字です。しかも、「あまり思わない」「まったく思わない」と回答した人は0%という結果となりました。
じつは、2019年の秋冬にも同じアンケートを取っています。そのときには、「かなり思う」62%、「まあ思う」34%、「どちらとも言えない」0%、あまり思わない」0%、「まったく思わない」4%という結果でした。そのときにも、ビジネスマンのスキケア意識の高さに驚いて「見立て」記事を書きましたが、1年余りを経て、さらにその傾向は高まっているのです。リアルな打ち合わせや営業がかなわない状況から、WEBツールをつかってのリモート会議が増えてきて、「少なくとも画面に映る顔色ぐらいは健康的に整えたい」という気持ちを抱きはじめていることが察せられます。
「スキンケアをする最も大きな理由は何ですか?」の質問には、「清潔感を保つため」と「きれいな肌を保つため」の回答がいずれも34%となりました。皮脂分泌が多かったり、髭剃りをする必要があったりといった男性にとって、洗顔だけでは十分なスキンケアとは言えません。「化粧水」でケアしていると回答した20%、「乳液」と回答した12%のいずれの数字も、2019年のアンケートと比較するとパーセンテージが増加。この結果を見ても、ビジネスマンの意識が高まっていることがわかります。スキンケアの効果を上げるためには、「洗顔、化粧水、乳液」を3ステップの1セットと考えて習慣にすることです。
これまでであれば、スキンケアの意識の高い男性は百貨店のコスメカウンターに、それほどでもない男性はコンビニエンスストアやドラッグストアで商品を購入するのが一般的でした。じつは、「スキンケアをしてみたいけれども、百貨店のコスメカウンターはハードルが高くて…」という声をよく聞きます。それもあって、インターネットで調べてそのままEコマースで購入している男性もいるようです。最近では、ファッションビルやショッピングモールに、男性にも女性にも使いやすい商品ラインアップをそろえたスキンケアのセレクトショップも増えてきました。そういったショップで店員さんにしっかりと相談しながら、自分の肌タイプやスキンケア習慣にあった商品を購入することをオススメしたいと思います。
プロフィル
山本晃弘(やまもと・てるひろ)
AERA STYLE MAGAZINE
WEB編集長 兼 エグゼクティブエディター
「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年に編集長として「アエラスタイルマガジン」を創刊。ファッションやライフスタイルに関するコラムを執筆する傍ら、幅広いブランドのカタログや動画コンテンツを制作している。トークイベントで、ビジネスマンや就活生にスーツの着こなしを指南するアドバイザーとしても活動中。2019年4月にヤマモトカンパニーを設立し、現職に就任。執筆書籍に、「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」がある。