特別インタビュー
楽ちんな格好が正解なのか?
しゃれ者になる唯一の道筋とは。
[リモートワークに最適なビジネスカジュアル]
2021.08.18
![楽ちんな格好が正解なのか?<br>しゃれ者になる唯一の道筋とは。<br>[リモートワークに最適なビジネスカジュアル]](http://p.potaufeu.asahi.com/8042-p/picture/26314792/1fd71f7c609c464a130253c94db7607e.jpg)
ビジネスを取り巻く環境が大きく変わるなか、仕事着の在り方も変容した。
新たに求められるのはエフォートレスな感覚。従来のオン・オフの垣根を越えて、
現代にふさわしいワークスタイルを確立したい。
エフォートレスな「現代の仕事着」。
仕事着を巡る状況は、大きく変わってきました。アエラスタイルマガジンでは、「働き方改革」に対応する着こなしをこれまでも提案してきましたが、それを大きく上回るスピードで状況は変化しています。
昨今のファッション業界では、「エフォートレス」という言葉が使われる機会が増えました。過剰なドレスアップからシンプルにの意味では、アップルの創始者スティーブ・ジョブズのタートルネックセーターを範とする「ノームコア」と同じ方向にあるようにも思います。ただノームコアには「着こなしを考える時間がもったいない」といった姿勢がにじんでいて、ファッション業界には定着しませんでした。それに対して、エフォートレスというキーワードは、「快適なアイテムを自分らしく着こなそう」との声を上げているようにも感じられます。
エフォートレス(effortless)を直訳すると、「努力が少なくていい」楽ちんな着こなしのこと。ただ、本当に楽ちんなアイテムを気ままに着ただけでは、仕事着としては成立しません。これまではユニフォームのようにスーツを着ればよかったビジネスマンからは、「エフォートレスって楽じゃない。逆に難しい…」といったリアルな
声も聞こえてきます。
リモートワークで自宅をオフィスのように使い、ウェブ会議を繰り返す現代のビジネスマンにとって、プライベートとビジネスはシームレスになってきました。あなたの部屋も、普段の着こなしも、映画「トゥルーマン・ショー」でジム・キャリーが演じた主人公のように誰かに見られる可能性があるのです。デスクにどんな観葉植物を置いているのか、いつも着ているポロシャツは何色か、書棚に見える蔵書はどんなジャンルなのか、ジャケットを着用する頻度はどれくらいか etc...。
仕事だけ、あるいは仕事着だけを考えていては事足りません。大上段に振りかぶって言えば、あなたがどのように暮らし、どんな趣味を楽しみ、どんな嗜好を持っているのかといった、そのまま全部。つまり、あなた自身が何者なのかが問われているのです。その第一歩として、この特集で「快適で自分らしく」着こなせるアイテムを見つけるのもいいでしょう。
ファッションとは、ファッションのみならず。生き生きと幸せに暮らすこと。これこそが、「現代の仕事着」を考える遠くて近い道筋なのかもしれません。
プロフィール
服飾ジャーナリスト 山本晃弘(ヤマカン)
AERA STYLE MAGAZINE創刊編集長。
現エグゼクティブエディター兼WEB編集長。現在は服飾ジャーナリストとして、ビジネスマンのリアルな視点に応える執筆活動を行っている。2019年4月にヤマモトカンパニーを設立。執筆書籍に、「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」がある
掲載した商品はすべて税込み価格です。
Photograph: Masanori Akao (whiteSTOUT)
Styling: Masayuki Sakurai, Akihiro Mizumoto
Hair & Make-up: Masayuki (The VOICE)
Edit & Text: Kenji Washio