コート
メンズアウター、冬の着こなし最適解!
冬のスタイルを格上げするアイテムとは?
2023.02.06

冬の装いに欠かせないアウター。デザインや素材はもちろん、暖かさや動きやすさといった機能性も重視したいところです。
しかし、アウターの種類やブランドの多さに何を買おうか迷ったり、お気に入りの一着をどうコーディネートしようか悩んだりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、アウターの種類やコーディネートのポイント、おすすめの人気ブランドなど、メンズアウターを着こなすヒントを紹介します。
冬のスタイルに欠かせないメンズアウター

まずは、冬のスタイルに欠かせないメンズアウターにはどんな種類があるのか、それぞれの歴史やデザイン、機能性を交えて解説します。
チェスターコート
まず紹介するのは、フォーマルにビジネス、カジュアルとさまざまなシーンで使えるチェスターコートです。正式名称は「チェスターフィールドコート」。19世紀にチェスターフィールド伯爵が着用し、流行したのが始まりとされています。
スーツのジャケットに似た襟元やウエストにシェイプが入ったタイトなシルエット、やや長めの丈が特徴で、スーツとの相性はもちろん、カジュアルシーンに合わせれば上品なコーディネートに仕上がります。
現代ではボタンが表に出ているタイプが多く出回っていますが、本格的なチェスターフィールドコートはボタンが隠れるように設計された「比翼仕立て」。加えて、上襟にはビロードがかぶせてあります。
世代を問わず着られるチェスターコートは、1着は持っておきたい冬のアウターとして広く支持されています。
ステンカラーコート
次に、ビジネスシーンでもおなじみのステンカラーコート。名前の由来となっているのは、最大の特徴である「ステンカラー」と呼ばれる襟元の形です。
第一ボタンを留めて着れば上品な印象に、第一ボタンを留めずに着ると、同じコートでも首まわりの印象がぐっと変わります。また、襟元から脇にかけて斜めに切り替えられた「ラグランスリーブ」や、ボタンが隠れる「比翼仕立て」もステンカラーコートの特徴です。
ステンカラーコートの正式名称は「バルマカーンコート」。19世紀末にスコットランドのバルマカーンという地域で着用されたのが始まりです。「ステンカラーコート」という名称は、日本国内だけで通じるいわゆる和製英語なので、海外で使う際には注意しましょう。
トレンチコート
長年にわたり男女問わず愛されるベーシックなアウターのひとつがトレンチコートです。第一次世界大戦中、イギリス陸軍が塹壕(ざんごう/トレンチ)の中の防水着として着用したものが原形であることから、トレンチコートと呼ばれるようになりました。
肩の上に施された「エポレット」と呼ばれる飾りやラグランスリーブ、胸元から肩を覆うガンフラップ、腰もとのベルトに施された「Dリング」など、各所にちりばめられたさまざまなディテールは、トレンチコートがもともとは軍用コートであったことに由来しています。
また、トレンチコートの代表的なブランドであるバーバリーの創業者が考案した「ギャバジン」という撥水性に優れた丈夫な生地がよく使われているのも特徴です。
ダッフルコート
ダッフルコートもまた人気の高いアウターのひとつです。「トグル」と呼ばれるひも付きの留め木ボタンとフード、両側に配置された大ぶりのポケットが特徴で、主にカジュアルシーンで活躍しています。
ダッフルコートはベルギーにある梳毛(そもう)織物の名産地である「デュフェル」という地名が由来とされています。漁業が盛んなベルギーで、漁師が厳しい寒さから身を守るために着用していました。
第二次世界大戦中にはイギリス海軍が防寒着として採用しています。さらに、フランスの著名な詩人ジャン・コクトーがタキシードの上にはおって夜会に出かけたことは、いまでも語り継がれるエピソードです。
着丈はショート丈からミドル、ロングまでさまざま。密度の高い、しっかりと厚みを感じるウール地で作られています。
ピーコート
ダッフルコートと同じく、寒さの厳しい海で着用されていたのがピーコートです。もともとは、19世紀前半にイギリス海軍の洋上での作業着として用いられていたところから一般に普及しました。
ピーコートの前面には6つから8つのボタンが2列に並んでいるのが特徴で、左右どちらを前にしても着られるリーファーフロント(両前合わせ)となっています。これは、海の上で四方から吹き付ける冷たい風を、前合わせを変えることで防ぐためのものです。
ほかにも、動きやすいように短めにカットされた裾や、手を温めやすいマフポケットなど、高い機能性を兼ね備えています。ちなみに、ピーコートのボタンには海軍で用いられていた名残として錨のマークがあしらわれているものもあります。
アルスターコート
クラシックな冬の装いを楽しみたい方におすすめなのがアルスターコート。「アルスター」とはアイルランド島北部の地名で、この地方の生地を採用したことが名前の由来となっています。
上襟と下襟の幅がほぼ同じである「アルスターカラー」が特徴で、前ボタンを留めるとダブルスーツなどによく使われる「ピークドラペル」よりもなだらかな傾斜を描きます。元々は寒い地方の旅行着として用いられていたため、膝下より丈が長いコートでしたが、現代では短めの動きやすいデザインのものが多く出回っています。
独特な襟の形がよく分かるダブルブレストに加え、ウエストにアクセントを加えるベルト付きのシングルブレストも、シックでありながら個性の際立つデザインです。
モッズコート
現代で広く着られているアウターにはミリタリーウエアをルーツとするものが数多くありますが、モッズコートもそのひとつ。もともとは「M-51型パーカ」と呼ばれ、1950年代にアメリカ軍の野戦における防寒用衣料として用いられていました。
その後はイギリスに渡り、当時の「モッズ」と呼ばれる若者たちがスクーターに乗る際、油汚れからスーツを守るために重宝したことからおしゃれ着としても広まるようになりました。
ゆとりのある大きめなシルエットやファーで縁取られたフード、二股に分かれた「フィッシュテール」と呼ばれる背面の裾が特徴です。また、ボタンやジップを隠す比翼仕立てで防寒性にも優れており、現代のカジュアルシーンでも高い支持を得ているアウターです。
ダウンジャケット
防寒性に優れたアウターとしてまず挙げられることが多いのがダウンジャケットです。保温性、軽さ、動きやすさに優れ、タウンファッションのみならずアウトドアやウィンタースポーツでも重宝されています。
羽毛(ダウン)を詰めたふっくらとしたキルトステッチが特徴的なダウンジャケットは、20世紀前半にアメリカのエディー・バウアーによって考案されました。バウアーは日露戦争の時代にコサック兵として戦った祖父から聞いた防寒の知恵をもとに、アウトドア向けのジャケットを発売。
名だたる登山家の挑戦やアメリカK2ヒマラヤ遠征隊、アメリカ南極登山探検隊といった、厳しい環境に挑む人々のサポートをしたことでも知られています。
キルティングジャケット
保温性の高い冬用アウターのひとつにキルティングジャケットがあります。
独特な凹凸を持ったつやのあるキルティング素材と、すっきりとしたデザインが特徴のキルティングジャケットが登場したのは1970年代。
キルティング素材は、元々はキルティングジャケットの元祖ブランド、LAVENHAM(ラベンハム)創始者の発案で、競走馬の背にかけるホースブランケットとして使用されていました。次第に乗馬愛好家たちのあいだで、同じ素材でジャケットを作ってほしいという要望が持ち上がり、キルティングジャケットの発売に至ります。
軽く動きやすいキルティングジャケットは、カジュアルシーンのみならず、スーツの上から好んで着る人も多く見られます。
ライダースジャケット
アウターのなかでもハードなルックスで目を引くのがライダースジャケット。パンクスやロックといった、反骨精神あふれるミュージシャンのスタイルでよく見かけるライダースジャケットですが、着こなし次第ではコーディネートに大人の色気と遊び心を加えるアイテムです。
つややかなレザー素材にキラリと光るジッパーが特徴で、シンプルに着られるシングルとスーツやジャケットに似た襟を持つダブルの2タイプがあります。
ライダースジャケットがファッションアイテムとして台頭したのは1970年代。UKストリートスタイルでの流行がきっかけです。セックス・ピストルズをはじめとするパンクスが一世を風靡(ふうび)するとともに、人気を獲得しました。
MA-1
カジュアルシーンで着る冬のアウターとして人気が高いもののひとつにMA-1があります。可能な限り装飾を取り除いたシンプルなデザイン、首元や袖口、裾に施されたリブ素材や、ふっくらと丸みのある、やや前下がりのシルエットが特徴です。
MA-1もまたミリタリーウエアをルーツにもつアウターです。登場したのは1954年。アメリカ空軍のフライトジャケットとして着用されていました。
高度の高い空を飛ぶ際、厳しい寒さに耐えるための優れた防寒性や動きやすさを追求した結果、現在の形になっています。素材はさらさらとした肌触りのナイロンやポリエステルが多く、中綿が入っているので暖かく着られます。