週末の過ごし方
進化が加速!
ポスト大谷翔平の野球マンガ
【センスの因数分解】
2022.03.04
「女子部員が多数を占めるという案は満田先生から出たものです」と連載初代担当編集の小学館の袖崎友和さん。父・吾郎が戦うことがなかった甲子園を舞台にしたいという思いもあったといいます。そこに「時代の風を反映させるのが大変うまい」(2代目担当の小学館・宮川拓人さん)作者のセンスが加わり、このようなストーリーが展開しているのです。
キャプテンで捕手の主人公・大吾は、みんなを引っ張るというよりは、みんなに寄り添うタイプ。女子部員たちを分け隔てなく励まし、共に切磋琢磨(せっさたくま)します。メジャーリーガーの息子ながら、憧れというよりも共感を生むタイプです。また物語では廃部の危機にあった他校と合同チームを結成しますが、現在は少子化が進み、本作のように合同チームとなるケースも少なくないとか。
少年野球の現状と世相が絶妙なさじ加減で反映された、大谷バイブルの続編。作者が見据えた甲子園の舞台に、いまだ女子選手は出場できませんが果たしてこの先は……。
時代の流れと野球マンガの関係。そんな視点で読んでみたら、少年のころとはまた違った楽しみ方ができるはずです。