接待と手土産

「松島屋」の豆大福
自慢の手土産 #87

2022.04.12

写真・図版

甘さ控えめ、塩気しっかり。絶妙なバランスの老舗の豆大福

甘いものが好きな人へのとっておきの手土産が泉岳寺の老舗和菓子店「松島屋」の「豆大福」だ。ただ、松島屋に行くときはいつも気がせいてしまう。ひとつは売り切れの心配。それと大福は買ってすぐが一番おいしいから。皮の表面がしっとり柔らかくて、白い粉がはらはらと落ちる状態がベスト。とにかく早く食べてほしくて、届け先にも早足に向かうことになる。自分用に購入したときも、その場でパクっと食べてしまいたいほどだ。

看板商品のひとつである「豆大福」は、ちょうどいい加減につぶれた小豆の餡(あん)と、皮に点在する硬めに蒸した赤えんどう豆が合わさって本当においしい。甘さ控えめの餡をうたう店は数あれど、この店の小豆の甘さと塩気、そして赤えんどう豆の食感とのバランスは群を抜いて素晴らしく、いつ食べても感動する。ほどよい薄さでよく伸びる餅との相性のよさにも感服だ。

近所、遠方問わず来る客で、朝から行列ができ、次々に売れていく。午前中に品切れになることも珍しくない。豆大福以外も人気で、独特のきびの風味が餡を包み込む「きび大福」も捨てがたい。創業は大正7(1918)年で、現在は3代目の文屋 弘さんが後を継いでいる。東京三大大福と言われていますがと切り出すと、「もったいない話です。自分は先代に教わったとおり、いい材料を選んで、手間を惜しまずに丁寧に作る。それを守っているだけ」とあくまで謙虚だ。

次ページタイミングは小豆が教えてくれる

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