週末の過ごし方

『ヴォルテール高校へようこそ/MIXTE』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #21

2022.04.14

登場人物のファッションにも注目!

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今では考えられない差別があったことへの驚きは隠せないが、ドラマでは差別を描くことはあっても、重く扱わず“そういう時代の話”として進んでいく。高校生たちはそんななかでも友情を育み、性に目覚め、恋をする。偏見を持たれるなら、持たれないところへ行こう。当時の社会的マイノリティーの人々が、いかに変化をもたらそうと行動してくれていたかを知ることもできる。

生徒たちの恋愛だけでなく、先生たちの恋愛が楽しめるのもこのドラマの魅力。男子だけでは得られなかった経験によって、精神的に成長していく生徒たちに触発され、なんと先生たちまで情熱的になっていくのだ。学園ドラマでありながら、その型にまったくハマらない美しい愛の描き方は、フランスならではかもしれない。

60年代を描くうえで避けられないのが、音楽や映画といったカルチャーの話。小さな町という設定も忘れるほど、登場人物のファッションはオシャレなものばかり! スウィンギング・ロンドンの影響か、細身のスーツにデザートブーツといったモッズルックが多く見られる。そして、それに対抗するロッカーズ(リーゼントに革ジャン)も描いていたのも素晴らしい。特にファッションに関心がなさそうな生徒ですら、ベストの色選びや開襟シャツのサイズ感が絶妙。現代でも参考になりそうなコーディネートばかりで必見だ。

そしてまた、挿入曲が絶妙にアンダーグラウンド。ヤー・ヤー・ヤーズやジェット、ビキニ・キルなどアメリカやイギリスのオルタナティブ・ロック音楽が非常に前に出た演出で使用されている。まるで誰かのプレイリストをそのまま聴いているような感覚で、作品を楽しむこともできる。

『ヴォルテール高校へようこそ/MIXTE』は現在Amazon Prime Videoにてシーズン1が配信中。各話約40分で全8話、あっと言う間に完走してしまうことでしょう。これをきっかけに60年代のフランス映画にハマってしまうかも!?

<<過去の「いま観るべき、おしゃれな海外ドラマ」はこちら

Text:Jun Ayukawa
Illustration:Mai Endo

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