週末の過ごし方

いま必要な家具は、〝重くない〞アンティーク。

2022.04.25

ファッションエディターの審美眼にかなった、いま旬アイテムや知られざる名品をお届け。

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古材を組み合わせた一点モノゆえ、入手の際は店頭の在庫から選ぶかオーダーを。テーブル(横70×縦60×高さ74㎝)¥39,380、スツール(座面径27╳高さ43.5㎝)¥18,480(ともに仁平古家具店 真岡店 0285-81-52 08

買い物が大好きな僕だが、家具を購入することは、あまり好きではない。欲しいものはたくさんあるのだが、捨ててしまうのが怖いのだ。いまどきは安い家具だってそう簡単に壊れることはないから、中途半端な思いで買ってしまうと、気に入らないデザインと10年、20年を共に過ごすことになりかねない。かといってつくりのよい一生モノならいいというわけでもなく、ライフスタイルの変化に合わなくなり、手放さざるを得ないケースも多い。デスクやキャビネットなどの大物家具だったら、なおさら〝重たい〟でしょう?

そんな僕が初めて罪悪感を覚えずに購入できたのが、栃木県真岡市と益子町にある「仁平古家具店」の家具だ。日本の古家具や古道具を再生し、現代の暮らしに提案するというアプローチが支持され、2009年のオープン以来、遠方からの来客が絶えない同店。2014年からは、より特殊な再生技術を駆使したハイセンスな古家具を扱う「pejite」を展開。いまやショップやカフェを営む若い世代にとっては、外せない選択肢になっている。ちなみに僕の事務所に置いてある家具や什器も、この両店で買ったものばかりだ。

基本的には一点モノの古家具を扱う「仁平古家具店」だが、古材の木や鉄を組み合わせてつくったデスクや椅子、棚なども生産しており、好みのサイズにオーダーすることも可能。まるで昔からあったかのように味わい深いものばかりだが、デザインはモダンで、質量的にも心理的にも価格的にも決して重くない。気が向いたらすぐに移動できるし、たとえこの先、趣味やライフスタイルが大きく変化したとしても、ちょこんとついてきてくれそうだ。高価なミッドセンチュリー家具もいいけれど、いま僕たちが本当に必要としている家具って、こういう存在なのかもしれない。

山下英介(やました・えいすけ)
ライター・編集者。1976年生まれ。『LEON』や『MEN'S EX』などの編集や、『MEN’S Precious』のクリエイティブ・ディレクターに従事した後、独立。趣味はカメラと海外旅行。

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「アエラスタイルマガジンVOL.52 SPRING / SUMMER 2022」より転載

Photograph: Fumito Shibasaki(DONNA)
Styling: Eiji Ishikawa (TABLE ROCK.STUDIO)

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