特別インタビュー

ピッティで浮き彫りとなる、サステイナブルの在り方。
ヘルノCEOが語るファッションビジネスの未来とは?

2022.07.04

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ヘルノ社CEOクラウディオ・マレンツィ氏。先日は還暦のお祝いに北極圏の秘境スバルバール諸島でスキーを楽しんだというタフなリーダーだ。昨年末には高級アウトドアブランド「モンチュラ」の資本50%買収を果たし話題に。

去る6月14日より、フィレンツェのバッソ要塞にてメンズ服のトレードフェア「ピッティ・イマージネ・ウオモ」(以下ピッティ)が開催された。街中での関連イべントも復活し、街全体が待望のピッティ陽気で沸いた4日間であった。とはいえ出展社総数は2019年の約半分の約700社にとどまり会場は一部閉鎖のままだ。2年に及んだパンデミックと終わりのみえない戦争の余波が、まさに世相の鏡であるファッション界を直撃している。70年にわたって時勢という荒波を乗り越えてきたピッティあるいは、メーカーの未来はどうなるのか。まさにその渦中にある人物、ピッティの主催団体「ピッティ・イマージネ協会」のプレジデントであり、ヘルノ社社長であるクラウディオ・マレンツィ氏に問うてみた。

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第102回ピッティ・ウオモは総入場者1万6000人、そのうちバイヤー1万0600人(海外バイヤー4200人を含む)で、前回よりイタリア人バイヤー135%増、外国人バイヤーは欧米を中心に360%増。アジア圏からは日本73名、韓国80名ほどを記録。

次なるステージへ。アウトドアに特化した新フェアをリリース

「地政学的にみてもコロナ以前の規模に戻ることはないでしょう。それよりも環境に適応してゆくことが先決です。現ピッティはフェア全体のクオリティアップに力を注いており、セグメントごとのブランドの入念な選択やトレンド発信力、国際性などを強化した結果、バイヤーの反応は良く、Eコマース部門であるe-pittiの売上も順調です。さらにこの戦略上に、次なる扉が見えてきました」。なんと見極めよく、しかも2023年からアウトドアに特化したトレードフェアを新たに予定しているという。

サバイバルとサステイナブル

なぜ、アウトドアに? 「現在いちばん好調な分野で、企業に体力とイノベーション力がある。彼らに頑張ってもらうことで大切なサプライチェーンを維持できます」。まさにクラウディオ氏が早くから存続に力を注いできた分野だ。「戦争によるエネルギーや原料不足、値上げは深刻で、ロジステックは狂乱状態です。テクノロジーや情報&製造システムに投資してこなかった企業は対応しきれず消えてゆくでしょう」。厳しい言葉が続く。ではヘルノ社ではどのような戦略で勝負しているのか。

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2023年春夏コレクションは、背面にダブルHマキシロゴを入れたファッション性の高いCOREラインや、若年層に人気というブラックに加えてグリーン系、ターコイズブルーが新鮮。ニットやパンツなどのアイテムも増えますます充実のラインアップに。

成長のカギは企業デフォルトの再構築

大自然に囲まれたマジョーレ湖畔に本社を置くヘルノは、環境や従業員のウエルネスを常に大切にしてきた。高性能アウターに特化する一方、エネルギー自給、PEF認定などを他に先駆けて取得しつづけ企業のグリーン化を加速、2015年にはリショアリングを目指しシチリアに800人が働くハブ的工場を誘致、近年はサステイナブルに特化したコレクションを強化し、今年は2019年を上回る1億4000万ユーロの売上を見込んでいるという。「利益と経営システムのバランスを保ちながら常に発展することを目指しています」。マレンツィ氏の一貫した経営哲学は、たゆまず未来を見据えていたのだ。

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コロナ後も毎回、会場でいちばん大きい特設会場を構え、イノべーションがあふれるコレクションを精力的に発表しつづけるヘルノのブース。現代アート界へのサポートも熱心なマレンツィ氏の審美眼が各コーナーのディスプレーにも光っている。

Photograph:Mitsuya T-Max Sada
Text:Michiko Ohira

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