週末の過ごし方
ゲストを和ませる清流も、実は発電システム!
星のや軽井沢が長年実践してきたソーシャルグッドな環境経営。
2022.08.26
ちなみに、日本各地の星のやを訪れると、毎回その食のレベルの高さに驚かされるが、ここ軽井沢のメインダイニング「日本料理 嘉助」も例外でない。コンセプトの「笑味寛閑(えみかんかん)」とは、笑顔で味わう寛ぎの長閑(のどか)な料理という意味。この日は、全11品の「山の懐石」をいただいたが、季節を感じさせる鮮やかな盛り付け、そして素材本来の旨味を引き出された丁寧な料理が運ばれてくるたびに、幾度も感嘆の声をあげ、コンセプトのとおり笑顔あふれる夕食となった。また朝食のメニューは「一物全体食(食材を丸ごと摂取することで体内バランスを整える)」の考えに基づき、食材の皮や茎の部分なども無駄なく使用。野菜だけでなく川魚やジビエもふんだんに使われ、料理人たちによる山へ感謝の気持ちがお皿の隅々から伝わってくる、そんな日本料理を堪能することができた。

特別純米吟醸「雁と月と」は佐久の蔵元、橘倉酒造と共同開発した日本酒。約1年間、貯蔵・熟成させることでまろやかで香り高く仕上がった。 マグロやイサキ、ハモのほか、4日間生簀(いけす)で泥抜きをして臭みを消したコイなどが団扇(うちわ)の器に盛り付けられた向附(むこうづけ)。
「紅水晶」とメニューに書かれた強肴(しいざかな)では、トマトとキジ肉の煮込みが登場。熱することでトマトの甘みがぐんと増すという。 和朝食「山の朝食」。長野名物「やたら」を薬味にした豆腐や季節の野菜など、ヘルシーで体に優しい和食膳となっている。
料理が笑顔を引き出し、旅の記憶までおいしく彩る、素晴らしい夜。星のや軽井沢が描く「もうひとつの日本」は、第一印象のとおりどこか懐かしくもあり、一方で数々のソーシャルグッドな取り組みを実践する、日本のサステイナブル・ツーリズムの先駆け的存在でもあった。
窓の外には、ところどころランプがともる幻想的な棚田。すでにほろ酔いだというのに、この雰囲気のせいで、星のや軽井沢オリジナルの日本酒「雁と月と」が止まらない。肴(さかな)に実によく合う、まろやかな味わい。まったく、西洋に迎合しすぎない日本も悪くないものだ。そう言い訳のようにつぶやき、今宵はもう1合おかわりすることにした。
星のや軽井沢
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