週末の過ごし方
『ザ・クラウン』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #34
2022.10.27
Netflixにて配信されている、英国王室を描いたヒューマンドラマ『ザ・クラウン』。イギリスの君主として、歴代最長となる70年にわたり在位されたエリザベス女王の逝去を受け、世界中多くの人々に敬愛されたエリザベス女王の治世を描いたドラマが、再び注目されている。
新シーズンが配信されるたびに「あれは誤り」「ほぼ事実」だとか、ストーリーに対する事実確認で毎度賛否が飛び交う作品でもある。しかし「本当はこうだった」と関係者たちを巻き込んで証言されることで、皮肉にもより作品を楽しめてしまう要素にもなっている。これは実際どうだったのだろう?と調べながら観ていくのも、楽しみ方のひとつ。
1947年、エリザベスとフィリップの結婚から物語は始まる。父である国王ジョージ6世が崩御し、弱冠25歳にしてイギリス女王に即位したエリザベス2世。母として、妻として、そして女王として生きる。それは容易なことではないことくらいは想像できる。分刻みで管理される公務に加え、政治実力者たちとの確執、災害、そして王室の人間関係、さまざまな問題がエリザベスに襲い掛かる。
急な環境の変化は、夫であるフィリップにとっても容易なことではなかった。ギリシャからの亡命者だったフィリップは、共同統治者の称号は得られなかった。海軍のキャリアを捨て、宮殿で子どもたちと遊ぶ毎日……。地位も名誉も持ち合わせている妻に対し、やがて嫉妬するようになってしまう。
妹のマーガレット王女は、20歳以上も年の離れた離婚歴のあるタウンゼントとの結婚を望んでいるが、王室では結婚もひと筋縄ではいかない。現にエリザベスの伯父である元国王のウィンザー公は、離婚歴のあるアメリカ人女性ウォリス・シンプソンと結婚するために、王室を離脱したという前例がある。エドワード8世として即位してわずか1年たらずで、愛する女性のために国王を退位することとなったのだ。
法律ではなく、伝統や宗教を重んじる王室のルールは、時代の変化を受け入れられず、興味深いものばかりだ。本作はシーズン1・2と、シーズン3・4とで、年齢の変化と共に主要キャストを総入れ替えしている。