週末の過ごし方
『ビリオンズ』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #41
2023.02.09
『マネー・ショート』や『ウルフ・オブ・ウォールストリート』など、映画では幾度となく描かれてきた金融の世界。多少なりとも知識がないと楽しめないのでは? と敬遠されがちなジャンルだが、Netflixにて配信中の『ビリオンズ』は金融業界のリアルを学べるとともに、ヒューマンドラマの要素も多く、その方面に縁遠い人でも存分に楽しめる作品だ。
日本でも、破天荒な行動でSNSを騒がせている成功者をたびたび見かけるが、このドラマの主人公ボビー・アクセルロッドもそう、かなりのくせ者である。
純資産は100億ドル。巨大ヘッジファンドのアックス・キャピタルCEO、一代でのし上がってきた実力者だ。金もうけのためなら、たとえ破滅する者がいようが手段を選ばない。使えない者は容赦なく切り捨ててゆく。しかし、一方では庶民のヒーロー、慈善活動にも熱心に取り組み、愛妻家で2児の父として家族を支えている。
そんな大富豪の不正をどうしても暴きたいのがチャック・ローズ。金融関連の裁判では負け知らずの敏腕検事。裕福な家庭に育ち、厳格な父からの過剰なプレッシャーのせいか、かなりのコンプレックスの持ち主。「ウォール街にクリーンな人間などいない」とチャックが言うように、実際は不正や賄賂なんてものは日常茶飯事。チャックは確たる不正の証拠をつかもうと奮闘するが、徹底的に根回しをするボビーの首根っこをなかなか押さえることができない。
このふたりの関係をさらに複雑にさせているのが、チャックの妻ウェンディ。彼女はチャックと結婚する前からアックス社のカウンセラーをしている。ディーラーたちの精神面のサポートをするとともに、ボビーの良き理解者でもあるのだ。妻との関係は良好だったチャックだが、ボビーを追い回しているうちに、絶対してはいけないことに手を染めてしまう……。