週末の過ごし方
『The OA』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #50
2023.06.22
ラストの伏線回収に鳥肌。
パート1は、OAの物語の言わば基盤となる部分“プロローグ”と言えるだろう。パート1はこのために在ったのか!と叫んでしまいたくなるほど、打って変わってパート2では、世界? 次元?は急激に広がり、謎解きや伏線回収が一気に押し寄せ、急速に物語が進んでゆく。
これからどうなってゆくのか――? ファンは予想したり、考察したり、SNSや掲示板では相当な盛り上がりを見せていたが、惜しくも審判(打ち切りの決定)が下されてしまったのだ……。
『The OA』は本来、OAを演じたブリット・マーリングと、監督のザル・バトマングリが脚本を務め、脚本を大絶賛したブラッド・ピット(本作では製作総指揮も務める)率いるプランBが製作しており、パート5まで構想ができていた。
しかし視聴者数の問題で、パート2で打ち切られてしまったのだ。
打ち切りの発表を受け、ファンたちは#SaveTheOAのタグを使い、Netflixに対して存続を訴えたり、署名活動やクラウドファンディングで資金を集め、広告を打ったり、Netflix本社前で抗議活動をする者まで現れたりハンガーストライキにまで発展したりと、大変な騒ぎになった。その声は届いていたとは思うが、決定が覆されることはなかった。
視聴者数が物を言うこの時代に、クリエーターが作りたいものを全力で作った世界観が、全身で感じ取れる作品というのは、ある意味希少なのかもしれない。ブリット・マーリングは、「この時代を生き抜くのに、物語を製作すること以上に効果的な方法をまだ見つけることができない」とインスタグラムに投稿している。彼女の作品は、全体的に一貫したテーマを感じ取れることから、『The OA』で伝えたかったことを、また別の場所で表現してくれることを願うばかりだ。
初めから打ち切りが決まっている作品を見るのはちょっと……と思うかもしれないが、この言葉にできない高揚感と、研ぎ澄まされた神聖なる不思議な感覚をぜひ、一人でも多くの人に体験して欲ほしい。
「The OA」はNetflixにて配信中!
Text:Jun Ayukawa
Illustration:Mai Endo