週末の過ごし方
ライカ Watchの最新モデル「ライカZM 11」が、
ドイツのウェッツラーで華麗にデビュー!
2023.12.08
この秋、ドイツのウェッツラー郊外にあるライカカメラ社で、2つの注目イベントが盛大に開催された。そのひとつが「ライカ Watch プレゼンテーション」だ。
世界中のフォトグラファーを魅了するカメラの製造・販売で知られるライカが、本格的な機械式腕時計を手がけていることをご存じだろうか?
外装デザインはもちろん、ムーブメントに至るまで自社製にこだわった手巻きの機械式時計をライカが発表したのは2018年6月のこと。そこからおよそ4年の歳月を経て、2022年2月にライカ Watch「ライカZM 1」(旧称ライカL1)、「ライカZM 2」(旧称ライカL2)の日本での販売が開始された。さらに今年4月には両モデルのモノクロームバージョンも登場している。
そして、今回の「ライカ Watch プレゼンテーション」では、それらに続く新たなモデルとして「ライカZM 11」が華々しいデビューを飾ったのだ。
前作同様、このニューモデルも外装デザイン、ムーブメントともに自社製を採用。ムーブメントは手巻きではなく、「ライカ LA-3001」と名付けられた自動巻きを搭載する。理由は、今後コレクションを増やしていくうえで、一般的によりなじみのある自動巻きを採用することで、まずはできるだけ多くの人に手にしてもらい、ライカ Watchの裾野を広げるためだ。しかも今後リリースするモデルのムーブメントはこの「ライカ LA-3001」をベースに開発していくという。
そんな「ライカZM 11」は、日常使いを意識した軽量かつ頑強な作りと、飽きのこないシンプルで洗練されたデザインが印象的だ。例えば、ケースの素材はステンレススチールとチタンが用意され、チタンに至っては飛行機の素材にも使われるグレード5のものを採用。とにかく軽くて強い。風防には傷に強いサファイアガラスが使われている。そのため日々の相棒として余計な気を使わずにストレスなく愛用することができるのだ。
ストラップにも抜かりはなく、例えば、硬い質感で知られるコーデュラ素材を使ったタイプは、中にラバーの芯を入れることで、しなやかな着け心地を実現している。
チタン製とステンレススチール製のストラップは、1つ1つのコマの側面まで磨き上げられている。そのため腕の太さや動きに合わせて柔軟に形を変えながらも、美しさに対して隙を見せない。
そして、この時計を象徴するのが、ストラップを簡単に交換できるイージーチェンジシステムだろう。ケースとストラップをつなぐラグの裏側部分に組み込まれたこの機構は、ボタンを押すだけでストラップの脱着ができるというもの。ストラップを交換することでTPOに合わせて時計の雰囲気を変えられるのだ。
ちなみに先代の「ライカZM 1」「ライカZM 2」は、プッシュ式リューズがカメラのシャッターボタンを着想源としていたり、パワーリザーブ表示がM型ライカのシャッターカーテンからインスピレーションを得ていることでも話題になった。
こうした要素はもちろん「ライカZM 11」にも盛り込まれている。前述したイージーチェンジシステムはカメラのレンズ交換をイメージしたものであり、赤いボタンはレリーズボタンを模したものだ。また、黒く塗られたケース内側の側面は、レンズ内側の黒いコバの部分を想起させる。カメラ好きやライカファンの心をくすぐる仕掛けが心憎い。
なにより「ライカZM 11」は、写真にとって重要な光と影を文字盤で表現したアーティスティックなモデルである。ブラインドから差し込む光をデザイン要素に取り入れているのが特徴で、それを表現するために文字盤は二層構造になっている。上の文字盤にはブラインドの隙間のようなスリットが設けられていて、その側面に塗装された色が角度によって見えたり見えなかったりすることで、多彩な表情が楽しめるのだ。
歴史をさかのぼれば、ライカカメラ社の前身となるエルンスト・ライツ社を設立したエルンスト・ライツ1世が事業を立ち上げるきっかけとなったのは、20歳のころにスイスの時計工房で精巧な機械技術の腕を磨いたことだった。つまり時計事業はライカカメラ社にとって原点とも言える分野だけに、力の入り方も尋常ではないはずだ。
今回の「ライカZM 11」の次は、果たしてどんな展開が待っているのだろうか? ベースとなる自社製の自動巻きムーブメントを手に入れたライカ Watchから、ますます目が離せない。
Photo & Text:Hiroya Ishikawa