週末の過ごし方
俳優・町田啓太と考える、装う美学。
良い場所へ誘う「睦月」の靴。
【第二期】
2024.01.29
日本には四季折々に豊かな表情があり、それぞれにふさわしい「装い」がある。それは単に体感的な暑さや寒さをしのぐといった「機能」を追求するだけのものではなく、Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)、つまりはTPOにそぐうものであるべき。そして、そのことに通底するストーリーを理解し装うことは、正しい「大人のたしなみ」と言えるだろう。
本連載は、一年の12カ月それぞれに季節を意識したテーマを掲げ、大人の男にふさわしいスタイルを模索しようというもの。小誌が培ってきたTPOに合うトラッドスタイルの知見と、現代を代表するファッションアイコン=町田啓太の表現力とのコラボレートにより、アエラスタイルマガジン流現代版「服飾歳時記」(第二期)としてつづっていく。
足元は語る。だからこそ、選ぶべきは――。
「良い靴は履き主を良い場所に連れて行ってくれる」とは、イタリアに古くから伝わることわざ。良い靴を履くと気分が高揚し、どこかへ出かけたくなる。結果、たくさんの素晴らしい出会いや経験をする機会に恵まれる――。そんな意味が込められた言葉なのだろう。
「本当にすてきな考え方だと思う。以前、姉にこの言葉を添えてトッズの靴を贈ったことがある。彼女は照れていたが、とても喜んでくれた。実際、いい経験もできたようだ。靴はスペシャルなもの。いい靴を履くと、足取りが軽くなる。不思議なエネルギーがあるような気がする」
そう語る町田だからこそ、靴は大切にするという。
「時間があれば、なるべく自分で靴を磨くようにしている。それから、歩き方も気を付けている。実は昔、足を引きずって歩く癖があった。靴のかかとの減り方が早く、何より自分自身がダラダラとした印象に映った。いまは改善し、きちんと地面を踏みしめて歩くようにしている。気分も良いし、靴も長持ちするようになった」
「おしゃれは足元から」とは、ファッションの常套句。2024年における本連載の第一歩も、ご覧のとおりスタイリッシュに、そして彼らしい真摯(しんし)な言葉で飾ってくれた。町田啓太は周囲を良い場所に連れて行ってくれる――。そう思わずにはいられない、睦月である。
FROM EDITOR
先日、町田さんのご両親とお会いする機会に恵まれました。NHKのテレビ番組『ファミリーヒストリー』で拝見した以上に、“誠実さ”と“温かさ”があふれ出ているお人柄で、僭越ながら「この親にしてこの子あり」と思わずにはいられませんでした。そんな町田さんとは、これからももっともっとお仕事をご一緒していきたいと思います。彼自身が、「町田啓太は周囲を良い場所に連れて行ってくれる」と思わせてくれるから。今年もアエラスタイルマガジンにご注目ください。
アエラスタイルマガジン編集長[雑誌・タブロイド] 藤岡信吾
町田啓太(まちだ・けいた)
1990年生まれ。俳優、劇団EXILEメンバー。映画『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』『太陽とボレロ』『ミステリと言う勿れ』、テレビドラマ『テッパチ!』(フジテレビ系)、『ダメな男じゃダメですか?』(テレビ東京)、『unknown』(テレビ朝日系)、『漫画家イエナガの複雑社会を超定義』(NHK)など話題作に多数出演。大河ドラマ『光る君へ』の出演も要チェック!
Photograph: Satoru Tada(Rooster)
Styling: Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: KOHEY(HAKU)
Edit & Text: Shingo Fujioka(AERA STYLE MAGAZINE)