週末の過ごし方
俳優・町田啓太と考える、装う美学。
春恋しい、「如月」のブルゾン。
【第二期】
2024.02.09
日本には四季折々に豊かな表情があり、それぞれにふさわしい「装い」がある。それは単に体感的な暑さや寒さをしのぐといった「機能」を追求するだけのものではなく、Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)、つまりはTPOにそぐうものであるべき。そして、そのことに通底するストーリーを理解し装うことは、正しい「大人のたしなみ」と言えるだろう。
本連載は、一年の12カ月それぞれに季節を意識したテーマを掲げ、大人の男にふさわしいスタイルを模索しようというもの。小誌が培ってきたTPOに合うトラッドスタイルの知見と、現代を代表するファッションアイコン=町田啓太の表現力とのコラボレートにより、アエラスタイルマガジン流現代版「服飾歳時記」(第二期)としてつづっていく。
カジュアルなブルゾンをエレガントに。
立春が過ぎ、暦の上では「春」。まだまだ寒いとはいえ、そろそろ春の身支度に心を躍らせたい。そう思い、われわれが町田啓太に用意したのは春先に何かと重宝する薄手のレザーブルゾン。いま「茶系がマイブーム」という町田好みを意識したスエードのライトブラウンで、身頃にパンチング(連続穴)加工がされた軽やかな一着だ。
「風合いが上品で、ほど良いぬくもりと軽やかな着心地が気持ちをリラックスさせる。実はブルゾンが好きで、個人的に何着か所有している。そのなかでも特にキレイめなものを選び、シャツにネクタイを合わせ羽織るのがお気に入り。カジュアルでありながら、エレガントに映るのがいい」
タイドアップしたスタイルには、テーラードジャケットを合わせるのが定石。だがしかし、時に型にはまりすぎない選択を楽しむ。型をよく知っている町田らしい“遊び心”だ。
さて、茶系のスエードブルゾンと言えば、「ドライビングブルゾン」を思い浮かべる方も多いだろう。その発祥や定義には曖昧なところが多いものの、クルマを運転する際に上着の裾が邪魔になることを嫌った「ショート丈」であることは必須。かのイタリアンブランドが世界的にヒットさせたそれはフロントがボタン仕様だったが、もちろんファスナー仕様でもドライブには向く。そんな会話の流れから、話題は町田の過去のドライブ体験に。
「学生の頃、友人の運転でよくスキーやスノボーに行った。クルマがあると行動範囲が広がるので、雪山に行ったついでに群馬の実家にみんなが寄ってくれたこともあった。本当に楽しい思い出だ。車内という空間も好き。密室なのに動きがある。自ずと会話が弾むし、思いがけず深い話をすることも。黙って景色を眺めているのも悪くない。いずれにせよ、いい時間だ」
今度、町田をドライブに誘ってみたくなった。
FROM EDITOR
本稿と同日に公開したVoicy、お聞きいただけましたか? 3月25日(月)に発売する雑誌『アエラスタイルマガジン』vol.56に掲載する「韓国の旅」の裏話を、町田さんにお話しいただいています。ぜひお耳を拝借できますと幸いです。そしてもうひとつ、お知らせを。つい先日、町田さんと「ドライブ」をモチーフにしたファッションシューティングを行いました。こちらも『アエラスタイルマガジン』vol.56に掲載しますので、ぜひぜひお楽しみに!
アエラスタイルマガジン編集長[雑誌・タブロイド] 藤岡信吾
町田啓太(まちだ・けいた)
1990年生まれ。俳優、劇団EXILEメンバー。映画『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』『太陽とボレロ』『ミステリと言う勿れ』、テレビドラマ『テッパチ!』(フジテレビ系)、『ダメな男じゃダメですか?』(テレビ東京)、『unknown』(テレビ朝日系)、『漫画家イエナガの複雑社会を超定義』(NHK)など話題作に多数出演。大河ドラマ『光る君へ』の出演も要チェック!
Photograph: Satoru Tada(Rooster)
Styling: Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: KOHEY(HAKU)
Edit & Text: Shingo Fujioka(AERA STYLE MAGAZINE)