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『ユニークライフ』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #65

2024.02.08

『ユニークライフ』<br>いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #65

心が温かくなるような、笑えてちょっと泣ける、そんなドラマが観たい!

もちろんランクインするような、ハラハラドキドキするスリラーや、伏線を回収してゆく快感がたまらないミステリーやサスペンスも面白いが、それらはリミテッドシリーズでの作品が多く、自身の心の状態が良くないと“引っ張られてしまう”ことも。

日本ではあまり知られていないが、ワールドランキングではハートフルなコメディー作品の新シーズンが始まれば、必ずランクインする人気作品というのがいくつかある。そのひとつが『ユニークライフ』だ。

自閉症スペクトラムのサムは、18歳の高校生。大きな音や人が多いところ、人とのコミュニケーションが苦手。ペンギンが大好きで、エジソンと名付けたカメを飼っている。とっても成績優秀で、生物の生態系に詳しく、絵も得意。親友のザヒードと一緒に、電気店でアルバイトもしている。もっと外の世界に出たほうがいいとセラピストに言われ、女の子とデートするために家族や親友を巻き込んでリサーチや実践を試みるも……そううまくはいかない!

サムが自閉症だとわかってから、家族はさまざまなチャレンジをしてきた。

母のエルサは、自閉症の子を持つ親のコミュニティーに参加したり、サムのためにたくさん尽くしたりしてきた(過干渉気味でもあるが)。自分が楽しむことにも罪悪感はあったが、自立しようとするサムを見て触発されたのか、自分の時間を楽しむ?ように。

妹のケイシーは、陸上部のエース。正義感にあふれていて、初めてのキスを家族に報告するほど隠し事がなく、嘘が大っ嫌い。サムに何かあれば必ず寄り添い、アドバイスもする頼りになる妹だ。

父のダグは、一見頼りなさそうに見えるが、男同士の話をしたりし、家族との時間を心から大切に思っている。妻との時間を楽しみたいのに、いつも言い争いになってしまうのが悩みどころだ。

『ユニークライフ』の素晴らしさは、やはり心に響くセリフたちだろう。「普通なんてつまらない」「変なヤツじゃないヤツなんていない」。サムを励ます家族や友人たちの優しさに、胸が熱くなる。

サムは、皆が大人になってゆくうちに失くしてしまった“純粋さ”を持ち合わせている。女の子とデートしたいという気持ちから、たくさんの初めてのことを経験し、成長してゆく姿に触発され、前向きな気持ちになれるのだ。

家族や友人にもスポットライトをしっかりと当て、誰もが誰かに感情移入できる作品となっているのもいい。

妹ケイシーは、今までサムに付きっきりだった分、自身の将来のことについて悩みはじめる。正義感や使命感が強いがゆえに、サムと一緒にいなくちゃ!となかなか自分の人生を中心に考えることができない。

母エルサは、息子が自立してゆく寂しさか、あれよあれよと……? しかし、うっとうしいくらい何ごとに対しても全力でやってきた反動がきているのだろう、同情してしまう気持ちもある。

いつも笑いを運んでくれる、親友ザヒードにも注目。自称恋愛経験豊富な彼は、とんでもないアドバイスをしてサムを困らせるが、急に心温まる助言をしてくれるのだから憎めない。

各話30分と気軽に見れるため、忙しい人にもオススメな作品。一日の終わりに会いたくなるような、何度でも観返したくなるような、そんな存在のドラマだ。

Netflixオリジナルドラマ『ユニークライフ』は、シーズン4(完結済み)まで配信中。

<<過去の「いま観るべき、おしゃれな海外ドラマ」はこちら

Text:Jun Ayukawa
Illustration:Mai Endo

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