コート
トレンチを現代的な解釈でエレガントに昇華した、
オーバーコートのコート。
2024.03.08
春の始まりを表す「初春」とは、立春過ぎから3月上旬あたりを指す季語。やわらかな日差しに照らされ、日中13℃～15℃前後を記録するこの時期に活躍するのが薄手のスプリングコートだ。素材感やカラーも含めて春らしく軽快なたたずまいは、さっとはおるだけで装いをおしゃれに仕上げてくれる。王道のトレンチやステンカラーをはじめ、ミリタリーコートにテックアウター……etc.。多種多様なデザインがあるなかで、この春に着たいおすすめの1着を日替わりで紹介する。
大丸隆平が2015年にスタートしたニューヨークを拠点とするブランド、OVERCOAT（オーバーコート）。ブランド定番のトレンチコートは、ラグランスリーブ状に施したタックが腕まわりの運動性を高めながら、おのおのの肩幅や肩傾斜の度合いにかかわらずフィットするよう独自に設計されたもの。素材には、レーヨンとポリエステルを混紡することで独特なしなやかさとハリ感を持ち合わせたトリコチンを採用。身幅もアームもたっぷり取ったオーバーサイズだが、素材の特性と一重仕立てによって、ガウンのような軽やかな着心地に。あえて袖丈を長めに設定しており、袖口を折り返すと内側のシームに施されたパイピングが表に出てアクセントにもなる。ミリタリーウエアが出自のトレンチをエレガントに転換させるセンスとそれを具現化するテクニックは出色。
ワイドラペルが印象的なフロントデザインだが、ボタンを上まで全部閉めると、きちんとした印象に。コーヒーブラウンという赤みがかった色合いも、エレガントなムードにひと役買っている。 
共地のベルトは、そのまま無造作に垂らしたり、ぎゅっと絞ってウエストマークしたりと着こなしに変化を添える。しなやかな生地は、独特の落ち感とドレープを生み出し、優美な後ろ姿に。
問／大丸製作所 info@overcoatnyc.com
掲載した商品は税込み価格です。
Photograph: Ryohei Oizumi
Styling: Hidetoshi Nakato(TABLE ROCK.STUDIO)
Text: Tetsuya Sato
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