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SHOWCASE
男が戦う場所で必要なもの。

2024.03.27

各界のプロの審美眼にかなった、いま旬アイテムや知られざる名品をお届け。

SHOWCASE1_ネクタイ 400_1
紺色のネクタイは「誠実さ」「信頼感」「若々しさ」といった印象を与える。シルクだけでなくニットタイも通年使える。右から¥24,200/ルイジ ボレッリ、¥22,000/アット ヴァンヌッチ、¥24,200/ステファノ ビジ、¥19,800/バーニーズ ニューヨーク、¥44,000/アット ヴァンヌッチ(すべてバーニーズ ニューヨーク 050-3615-3600

これほどネクタイをしない時代が来るとは思わなかった。100年前にメンズスーツの店として始まったバーニーズ ニューヨークにおいては、どんなに状況が変わろうともネクタイは絶対になくならないだろう。歴史をたどっても、ビジネスをするうえでもネクタイは男の象徴であり、やや大げさに言うならば、戦う場所に必須なものだからだ。

僕自身もネクタイは仕事モードへの切り替えとパーソナリティの表現手段になっている。僕は大剣を縫い込んで留めて先端をスクエアにしたネクタイをすることが多く、これはカジュアルな雰囲気を醸すためでもあるが、もともとは師匠である米国バーニーズ ニューヨークのクリエイティブディレクター、サイモン・ドゥーナン氏の影響だ。サイモンは卓越したセンスの持ち主で、同時にドラスティックでぶっ飛んだ人なのだけれど、そんな彼でも会社へ行くときやウィンドーディスプレーを手がけるときには必ず、ネクタイは締めていた。タイドアップすることで、仕事に対する姿勢や相手に対して敬意を示していたのだろう。僕もその姿勢を守り、ネクタイが大事なものになったのは言うまでもない。

スーツを着るならネクタイはしたほうがいい。日本人の体格でノータイのスーツルックは僕的にはありえないと思っている。ネクタイのアレンジを楽しむならニットタイがおすすめだけれど、シルクの無地の濃紺も欠かせない。紺ひとつとっても色みや生地が数多くあり、探求する価値は大ありだ。結び方やノットの角度で印象も変わるなど、ネクタイは思っているよりもずっと奥が深い。

語り手・谷口勝彦
Katsuhiko Taniguchi
元バーニーズ ニューヨーク・クリエイティブディレクター。1990年~2024年2月までウィンドーやフロアディスプレー、広告ビジュアルなどのストアイメージを統括していた。

「アエラスタイルマガジンVOL.56 SPRING/SUMMER 2024」より転載

Photograph: Yuki Saito
Styling: Hidetoshi Nakato (TABLE ROCK.STUDIO)
Text: Tomoko Komiyama

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