調べ・見立て(見立て)

ビジネスパーソンは、「本離れ」していない。
さまざまなジャンルに目を配るのが常識!?
編集長の「見立て」。#76

2024.04.26

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「本離れ」が言われるようになってずいぶんたちますが、ビジネスパーソンに限っては、読書の習慣の落ち込みは、それほど深刻ではないようです。アエラスタイルマガジンWEBの読者に「月に何冊くらい本を読みますか?」をアンケートしたところ、「ほとんど読まない」と回答したのは13%。残る87%のビジネスパーソンが、月に1冊以上の本を読んでいます。月に「5冊以上」の回答は26%となっていて、週1冊を超える本を読む「読書家」もそれほど少ないわけではありません。「仕事が忙しいから本を読む時間がなくて…」という人もいますが、むしろ忙しいビジネスパーソンほど読書熱が高いようにも感じます。

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「本離れ」そのものよりも、むしろ「書店の減少」が心配です。東京や大阪などの都心部では、駅ビルの大型書店はまだ健在ですが、郊外の地元型書店が閉店してしまった話をよく聞きます。地方都市に至っては、ロードサイドの書店が廃墟のようになっているところもあり、状況はもっと深刻です。アンケートで「本をどこで購入することが多いですか?」を問うたところ、「インターネット」の回答が38%となり、「書店」と回答した56%に迫る勢いです。ただ、書店に平置きされた読んだこともない作家やジャンルの本を手に取るときの楽しみは、インターネット購入では味わえません。

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「ビジネスパーソンは、とにかくビジネス書ばかり読んでいる」と思い込んでいましたが、今回のアンケートでは異なった回答結果となりました。よく読む本のジャンルは、「小説・物語」が68%と多数を占めています。ただ、小説のなかには、フィクションの体裁を借りてビジネス書には書けないリアルさを書いているものもあります。例えば、「トヨトミの野望」という小説は、世界企業となったトヨタ自動車の裏側が書かれているのではないか!?と話題になり、その後、「トヨトミの逆襲」「トヨトミの世襲」とシリーズ化されました。「ノンフィクション・エッセイ」は18%と、「ビジネス書」を上回る数字となっています。これについても、現代のビジネスパーソンであれば、環境問題や地政学などのノンフィクションにカテゴライズされる課題からも目を離せない状況であるのを勘案すると、当然の結果といえるでしょう。

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「本を読むときは何で読むことが多いですか?」を問うたところ、「スマホ」0%、「タブレット」10%、「Kindle」21%といった回答で、デジタル端末の利用者はそれほど伸びていません。69%のビジネスパーソンが、まだ「紙の本」を選んでいます。エッセイの著作も多いフランス文学者の内田 樹さんは、「もし紙がいま発明されたとしたら、最高のモバイルツールと評価されるはず」と語っています。右にページを繰っていって、左に残る束が減ってきたときに、「そろそろ終盤のクライマックスがやってくるかも」とドキドキする感覚は、タブレットなどのデジタル端末では味わえません。読む本のジャンルや、読書する場所や環境によって、読む媒体を使い分けるのが現実的な選択になっているようです。

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