週末の過ごし方

ビジネスパーソンこそ訪れたい“森と湖の国”フィンランド。
アクティブに楽しめる大自然は、リフレッシュに最適。

2025.10.28

ビジネスパーソンこそ訪れたい“森と湖の国”フィンランド。<br>アクティブに楽しめる大自然は、リフレッシュに最適。
北欧の美しき大自然に包まれる旅。

近年、トップビジネスパーソンの休暇の過ごし方がビジネス書を中心に話題となっている。なかでもよく言及されているのが自然に触れてリフレッシュするというもの。そう聞いて、では、どこに出かけようかと考えたときに、国内外さまざまな選択肢があるなかで、オススメしたいディスティネーションのひとつが北欧だ。

特に夏場は、猛暑を避けて涼しい場所で休暇を過ごす新たな旅のトレンドとして、クールとヴァケーションを掛け合わせたクールケーションが世界的に注目を集め、北欧はその滞在先としても人気となっている。

実際、現地ではどのように自然と触れ合い、心安らぐひと時を送ることができるのか? フィンランドとノルウェーでの楽しみ方を紹介したい。

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キッティラ空港ではトナカイをモチーフにしたデザインが随所に見られる。

まずはフィンランドから。向かった先はレヴィ。北極圏から170kmほど北に位置する、年間を通して楽しめるホリデーリゾートだ。成田空港からヘルシンキ・ヴァンター国際空港まではフィンエアーの直行便でおよそ12時間30分。そこから約1時間30分のフライトを経て、レヴィの玄関口となるキッティラ空港に到着する。

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フィンエアーからの眺め。「森と湖の国」と称されるにふさわしい風景が眼下に広がっていた。

国土の70%以上が森に覆われ、188,000以上の湖が存在するため森と湖の国と呼ばれるフィンランド。テーブルウェアで知られる同国のイッタラが日本でも人気だが、その代表作とも言えるアルヴァ・アアルトがデザインしたガラス製の花瓶やボウルが湖をモチーフにしていると言われていることからも、湖が身近にあり、この国を象徴する存在であることがよくわかる。

また、フィンランドの最北端を含む周辺一帯はラップランドと呼ばれ、先住民であるサーミ人の故郷だ。この地で暮らす人々にとって、自然は心と魂に深く根付いていると言われている。

そんなフィンランドの魅力を余すところなく体験したいのであれば、自然を積極的に楽しんでみるのがいいだろう。

湖を渡り、原野のキャビンへ

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小さなモーターボートで湖をわたるところから始まる「デイ イン ア ウィルダネス キャビン」。
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岸に到着したモーターボートを降りて、原野のキャビンへ。

「ラップランド サファリ」が主催する「デイ イン ア ウィルダネス キャビン」は、まさにフィンランドの緑豊かな環境を体感できるアクティビティだ。

「デイ イン ア ウィルダネス キャビン」は、モーターボートで湖を渡った先にある原野のキャビンを訪れるところから始まる。

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くんだ湧水をおそるおそる飲んでみる。

到着した先で待っているのは、さまざまな大自然の体験だ。例えば、ククサと呼ばれるサーミ人伝統の木製カップを模したカップを使い、湧水を味わう。若干不安に感じながらも、澄んだ水をカップですくって飲んでみると、実にまろやかで飲みやすい!

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木々や湖を眺めながら食べるバーガーは最高だ。

そして、たき火でバンズやパテを焼き、トマトやレタスなど好きな具材を挟んでバーガーを作って食べる。肉汁たっぷりの肉々しいパテがたまらないおいしさだ。森の中で食べるとなおさらおいしく感じられる。

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周囲にはブルーベリーが自生している。

この場所にはブルーベリーが自生している。そのまま食べてもいいし、デザートに作ったクレープにトッピングしてもいい。それだけで不思議と贅沢な気持ちになれる。

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大自然に身を委ね、火を囲んだりしながら、のんびりとした時間を過ごすことができる。

ほかにも釣りやキャンプファイヤーなどさまざまな体験によって、リラックスした日を過ごすことができる。日本とは植生が違うため、同じ自然でも雰囲気は異なり、フィンランドを代表するアニメ、ムーミンの世界を思い出す人もいるかもしれない。北極圏の森での時間は、まさに癒やしそのものだ。

LAPLAND SAFARIS
https://www.laplandsafaris.com/en

静かな川をカヌーで下り、心が整う

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まずはカヌーの基本情報についてガイドから説明を受ける。

フィンランドの自然をよりアクティブに感じたいのであれば、カヌーに挑戦してみるのもいいだろう。今回紹介するのは「ポーラー スター トラベル」が主催するオウナスヨキ川での「トナカイ遊牧文化に触れるカヌーツアー」だ。この川はフィンランド屈指の長さを有し、全長およそ300km

ツアーではそのうちおよそ9kmの距離をカヌーでゆっくり進んでいく。所要時間は2時間から2時間30分ほど。

ガイドからパドリングのやり方や安全対策についての説明を聞いたら、2人乗りのカヌーに乗り込み、いざ、水上へ。

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水の上から眺める手付かずの自然の美しさは圧巻だ。

カヌーのパドリング操作は簡単で、初心者でもすぐに思うように動かすことができるだろう。前後のふたりが息を合わせて全力で漕げば、かなりのスピードで風を切って進むことができる。レースではないので、急ぐ必要はないけれど。

道中、カヌーに乗りながらガイドによるラップランド地方の歴史や日常生活などにまつわる話を聞くことで、周囲の自然の見え方も変わってくる。

川の流れは穏やかで、パドルを漕いだ時の水の音や、鳥のさえずり、風の音など自然が奏でる音をBGMに、水の上を滑るように進んでいく静かな時間は、最高に気分がいい。この地域の水の美しさと空気の清らかさもたっぷり感じられ、しだいに心が整っていく。

トナカイのトリビアを聞きながら、サウナで〆る

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サムントゥパ・トナカイ牧場

そして、カヌーの旅が終わると、ツアーはサムントゥパ・トナカイ牧場へと続いていく。ここは伝統的な丸太づくりの建物で構成されたカフェ兼牧場で、ガイドが地元の文化やトナカイ飼育の伝統や生態などについて教えてくれる。

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トナカイのツノについて説明するガイド

例えば、トナカイのツノについて。トナカイは基本的にオスもメスもツノが生えるが、メスには生えてこないこともあるという。ツノは通常頭を振ったり、木にぶつけたり、喧嘩したりすると、自然に抜け落ちると話すガイド。生まれて3週間ほど経つとツノが生え始め、一頭ごとに形が異なるため、ツノによってトナカイの識別ができるという。また、トナカイのツノには毛が生えているが、これは皮膚の下にツノが生えているからなど、トナカイについてのトリビア的な話が聞けるのは牧場ならではだ。

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サウナのある建物
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サウナは男女一緒に利用する。

サムントゥパ・トナカイ牧場は、サウナができることでも知られている。水着に着替えて男女兼用のサウナへ。フィンランドではサウナは社交の場でもあるため、日本のようにじっと黙ったまま熱さに耐えるのではなく、あれやこれやと話をしながら賑やかに汗を流すことができる。

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サウナのあとは、オウナスヨキ川で“ととのう”体験ができる。

サウナのあとは隣接するオウナスヨキ川へ。夏でも水温は低く、水風呂代わりにととのう体験ができる。冬場は凍った川面に開けた穴に入り、さらに冷たい水でととのうことができるのだそう。

「ポーラー スター トラベル」では、このほかにも季節によってさまざまなアクティビティが用意されているので、ぜひ利用してみたい。

Polar Star TRAVEL
https://polarstartravel.fi/en/

ラップランド料理を臨場感たっぷりに味わう

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奥に見える三角の小屋が、ラップランド地方の伝統的なコタ

夕食はやはりラップランド料理を選びたい。「オナスキエヴァル」は現地の伝統料理を臨場感たっぷりに味わえる場所だ。

「オナスキエヴァル」は、トナカイ牧場として冬はソリ体験や写真撮影などのトナカイ関連のアクティビティを展開する一方、夏はショートハイキングツアーやアウトドアダイニングを提供している。

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白身魚の炙り焼き

今回はコタと呼ばれる伝統的な小屋の中で現地の料理をいただいた。小屋の屋根には大きな穴が空いているため、中で火を焚いてもOK。直火による昔ながらの手法で調理を行う。

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トナカイ肉のシチュー
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トナカイのシチューには、ポテトが添えられる。

どの料理も食材本来の味わいをしっかりと感じられるおいしさで、特にクセもなく日本人の口にもよく合う。なにより火を囲んで大勢で一緒に食べることで、ラップランドにいる実感が湧いてくる。

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ラップランドのドレスを着たガイドの女性。このドレスはトナカイの放牧作業やトナカイ関連の仕事をする時に着るのだとか。

今回はコタの中で食事をしたが、キャンプのように外で伝統料理を楽しむのもいいだろう。食事中はラップランドやトナカイについて気になることがあれば、ガイドにどんどん質問してみたい。

所要時間はおよそ2時間。レストランとは違う、この地だからこその特別なディナー体験がうれしい。

OUNASKIEVAR
https://ounaskievari.fi/en/

森の中にある美術館でレイダル・サレストニエミを知る

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レイダル・サレストニエミ像が訪れる人を出迎えてくれる。ちなみにレイダルは2025年5月14日で生誕100年を迎えた。

ラップランドでは、アートも自然と密接に結びついている。

キッティラのカウコネン村で生まれ、学生時代をのぞき、故郷の農場で生涯を過ごしたアーティストが、レイダル・サレストニエミだ。彼はフィンランド人アーティストを代表するひとりで、その作品が当時のままの環境で展示されている場所が「サレストニエミ美術館」である。

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巨大なロッジのような建物がギャラリーだ。

森の中にあるこの美術館では、彼の作品やライフスタイル、生涯などを通じて、ラップランドの歴史や建築、古き良き生活様式など多様な文化に触れることができる。

敷地内の美術館エリアには、歴史的に興味深い3つの建物として、レイダルの生家、スタジオ、アートギャラリーが点在する。

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ギャラリー内での展示風景。大型作品は見応えたっぷりだ。

中でも数多くの作品が展示されているのが、アートギャラリーだ。ボヘミアン的な生活様式や、神秘的な作品によって、アーティストの中でも特別な存在だとみなされているレイダル。その作品にはラップランド地方の風景や季節が描写され、また時にはレイダル本人がライチョウやオオヤマネコとして表現されている。自然との繋がりや一体感が色彩豊かな作品に見てとれるのだ。

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ギャラリーの2階には、レイダルが使用していたプールやサウナも当時のまま残されている。
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絵画体験のワークショップも用意されている。

また、スタジオではアートワークショップも行われ、作品を描くこともできる。レイダルの作品を鑑賞したあとに参加することで、普段より創造性にあふれた作品が完成するかもしれない。

SARESTONIEMI MUSEUM
https://en.sarestoniemimuseo.com/

オーロラ鑑賞に特化した宿泊施設は、星空観測にも最適

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ズラリと並ぶ宿泊施設「オーロラピラミッド」

オーロラリゾートとしても知られるレヴィ。この地だからこその、オーロラ観測に特化したホテルが「オーロラピラミッド」だ。その特徴は名前の通りで、屋根が透明なピラミッド形状のガラスでできていること。

敷地内に入ると11棟の「オーロラピラミッド」がズラリと並ぶ、非日常的な光景が目に飛び込んでくる。オーロラは気象条件がそろわないと出現しないため、確実に見られるわけではないが、「オーロラピラミッド」がその確率をあげてくれそうな気分になる。

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ベッドに寝ながら夜空を鑑賞できる

透明なピラミッドの屋根を備えたベッドルームは、ダブルベッドに加えて小さなキッチンやカウンターテーブル、テレビ、冷蔵庫などを完備。オーロラの出現を待つ間も観測中も、思い思いの過ごし方ができるようになっている。

オーロラが出現する方向に設置されたベッドは電動リクライニング式で、最もリラックスできる姿勢で神秘的な光景を楽しめる。

ちなみに白夜の日もある夏場は、オーロラの出現確率が低い。そんな時期でも「オーロラピラミッド」に泊まれば、アートのように美しく変化する空の色や星空などを眺めながら、深夜でも微かに明るい特別な時間を過ごすことができる。

部屋にはアイマスクも常備されているので、眠る時も安心だ。

AURORA PYRAMIDS
https://www.levi.fi/en/services/aurora-pyramids/

Text: Hiroya Ishikawa.

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