週末の過ごし方

本格を知り尽くす大御所DJの
ミュージックバー出現
【センスの因数分解】

2026.01.26

本格を知り尽くす大御所DJの<br>ミュージックバー出現<br>【センスの因数分解】
洗練とラグジュアリーが同居したインテリア。
©AmonRyu

“智に働けば角が立つ”と漱石先生は言うけれど、智や知がなければこの世は空虚。いま知っておきたいアレコレをちょっと知的に因数分解。

90年代からクラブシーンの第一線で活躍してきた人物が、時を同じくして東西に新たなミュージックバーをオープンさせました。数十年音楽と向き合いつづけた本格派たちが、今つくりたいミュージックバーとは……。そのふたつを訪ねてみました。

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GINZA MUSIC BAR KYOTO
京都府京都市下京区西木屋町四条下ル船頭町194 村上重ビル2階 075-365-2200
©AmonRyu

GINZA MUSIC BAR KYOTO』( 以下GMBK)は音楽家でDJ、そしてプロデューサーとして活躍する大沢伸一氏とトリバコーヒーの鳥羽伸博氏が手がける『GINZA MUSIC BAR』の第2号店として、観光客でにぎわう京都の中心地に7月にオープンしました。

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アイコニックなスピーカーとアナログコレクションの向こうにもテーブル席がある。
©AmonRyu

「実は銀座の店をオープンする前から、京都でという計画はあったんです。具体的にプロジェクトが進行したのは昨年末からです。ミュージックバーのプロデュースを最初にやったのは小林武史さんの施設、代々木ヴィレッジ。そこから鳥羽くんをパートナーに迎え、銀座を経てやっと京都にたどり着きました」

代々木ヴィレッジは、2011年にオープン。大沢氏にとってGMBKは、15年近く続く流れの中にあるのです。

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昼から営業しており、昼夜問わずビストロ感覚で料理を楽しむことができる。
©AmonRyu

長らく音楽のある社交場をリードしてきた大沢氏ですが、京都ではビストロの併設、そして奥の個室に鮨バーをつくりました。これは銀座の顧客だったメキシコ人がブレーンとなり生まれたのだとか。

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奥の個室は鮨カウンターで、極上の音楽を聴きながら鮨を味わえる。新しい楽しみ方がここから生まれそうだ。
©AmonRyu

「インバウンドは意識していますが、感度の良い外国人が、日本やローカルの人の意識を変えていくケースがあるんです。今は、カルチャーの種がぶつかるような場所があまりにも少ない。音楽を通してドラマや化学反応が生まれる場所として、ミュージックバーの可能性は十分に高いと思っています」。かつてコミュニケーションの先に新たな発見やユニークネスがクラブシーンにはありました。今、GMBKがそんな場所になるのは時間の問題かもしれません。

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Moderno
東京都世田谷区駒沢5-16-9 TOOSビル1階 090-5802-0186
「今日届いた新譜」から名盤まで壁一面のアナログレコードは約3500枚。

さて所変わって東京、世田谷区駒沢の住宅街にもレジェンドDJがオープンさせたミュージックバーがあります。『moderno』は、須永辰緒さんが自身のアナログコレクションを聴かせる小さな店です。

「自分が本当に満足する空間で音楽を好きなだけ聴きたい、という私的な思いが発端です。趣味がこじれてこうなったというのがいちばんしっくり来ますね」

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駒沢公園通りのこの小さなサインが目印。

昨年還暦を迎え、大きなイベントを大盛況で終えた須永氏。その次は、と考えたときに浮かんだのが、100%好みの店を持つことだったといいます。

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平日は基本として須永氏がレコードをかけるが、ゲストが選曲するイベントも定期的に行っている。

「とことんやらないと気がすまないタチ」だからと、アルバムやCM、企業依頼などの音楽制作を今はやめ、その時間を店に充てているそうです。基本営業はオーナーの彼ひとり。自ら運び自ら棚に収めたアルバムを、自らターンテーブルに置きます。「選曲はし尽くした」からアルバムは一枚を最後までかけるスタイル。そして全国の酒場で得た知見をベースに、カクテルなどの飲み物も須永氏が作り、自分がおいしいと思ったワインをセレクトしています。名工が到達した境地を共有してもらっているような、実に贅沢な店なのです。

「アエラスタイルマガジンVOL.59 AUTUMN / WINTER 2025」より転載

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