週末の過ごし方
町田啓太、秘境の楼閣を訪ねて。【前編】
星のやグーグァンが誘う、洗練と癒やしのひと時
2026.04.01
台北の街を出たワンボックスカーは、台中の山間部を目指して高速道路をひた走る。移動距離約180キロ。
いつしか眠りに落ちていた町田啓太がふと目覚めると、クルマは森林の間を縫うように走っていた。つづら折りの山道を上り、温泉街を通り過ぎてしばらくすると、その最奥部に木塀に囲まれた「星のやグーグァン」が現れる。
クルマを降りた町田はひとつ大きく伸びをした。『グラスハート』『10DANCE』の2作品に出演した町田は、やはりNetflixで配信が始まる『九条の大罪』(4月2日配信)の撮影も終え、ようやくひと息ついたところだった。
ギタリスト、ダンサーについで『九条の大罪』で町田が演じたのは、裏社会とつながるアウトローで、それまでほとんど演じてこなかった役柄だった。金髪に染め上げ、筋肉をつけ、体重を増やし、これでもかと役作りに励んだ。
そんなNetflixの近作3本だけでも、町田の演技の幅は一気に広がった感がある。自身もまたそれを実感していた。
「『10DANCE』ではその難題にひりひりしながらも頑張ってやって、一定以上はやれたんじゃないか、といまは思っています。これはちょっと無理なんじゃないかなっていう特殊技能の領域に挑戦して、それをやれたというのは僕の強みになったと思います。その伸びしろだけでなんとか生きているという感じでもあるんですが(笑)。ただ、人から機会をいただいて、もうやるしかないって乗り越えてみると、やっぱり自分に返ってくるものもとてつもなく大きいこともわかったんです」
そんな発言を受けて、「時代劇とかも真正面からやったら面白いですね」と向けると、町田らしい答えが返ってきた。
「大河で幕末の志士などやらせてもらったことはありますが、もちろんこれからも挑戦していきたいジャンルです。でも、ただ刀を振り回しているだけというような役柄は僕の好みじゃないんです。刀にはお守り的な意味合いもあるのでしょうけど、本来、命を奪うものであり、そこには単に格好いいだけじゃなくてある種の恐ろしさもあるわけです。意味が見いだせて、キャラクター性がちゃんとあるような作品に挑戦してみたいですね」
アジア圏で町田の名が一気に広がったのは、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(チェリまほ)の影響が大きいだろう。そして、昨年の『グラスハート』と『10DANCE』の2作品によって、町田啓太の名前はさらに浸透した。
<<後編は4/8(水)公開予定
町田啓太(まちだ・けいた)
1990年生まれ、俳優。映画『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』『ミステリと言う勿れ』、テレビドラマ『失踪人捜索班 消えた真実』(テレビ東京)、大河ドラマ『光る君へ』『青天を衝け』(NHK)など話題作に多数出演。Netflixシリーズ『グラスハート』やNetflix映画『10DANCE』、連続ドラマW池井戸潤スペシャル『かばん屋の相続』に続き、4月2日にはNetflixシリーズ『九条の大罪』が配信予定。4月11日からスタートする、日本テレビ系4月期新土曜ドラマ『タツキ先生は甘すぎる!』では主演を務める。
Photograph: Yuji Kawata(Riverta Inc),Kota Uemura
Styling: Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: KOHEY(HAKU)
Text: Haruo Isshi
Coordinate: Sophie Chen & Friends