週末の過ごし方

世界の都市生活者に響く、イソップのブランディング。

2020.02.26

世界の都市生活者に響く、イソップのブランディング。
フレデリック・セイエ氏(イソップ アジア地域 ジェネラルマネージャー)。香港を拠点にアジア各国でのビジネス開発、リテールオペレーション、マーケティング、人材トレーニングなどを担う。ビジネスで世界を飛び回るセイエ氏いわく「日本はイノベーションより伝統を重視する傾向にあると思う」。企業も個人も確固とした哲学を持っていれば、次の行動は早くなるはずだ。やはり早急にマインドセットしなければ!

オーストラリアのメルボルン発のスキンケアブランド、イソップが、この1月に日本国内35店舗目となる新宿店をオープンさせた。世界的にファンを増やすその裏側には、どのようなブランド哲学とビジネス戦略があるのだろうか。

上質で美しい。日本の美意識とも親和性が高い世界観

イソップが創業したのは、いまから33年前の1987年。当時、ヘアサロンのオーナーだったデニス・パフィティスが本当に必要な成分だけでヘアケア商品をつくったのがブランドの始まり。商品それぞれは、主に植物由来成分を使用しており、なかにはパセリシードやタバコの香り、コリアンダーなどユニークな原料も見られる。高貴な香りが特徴ではあるが、あくまでも機能と使い心地を追求した結果として、それぞれの香りが生まれている。

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ターゲットは都市生活者。そして、ユニセックス。どのアイテムを見ても、気持ちがいいほど統一されたデザインだ。「イソップのデザイン哲学は日本の美意識と近い部分があり、たとえば、WABI-SABI(わびさび)や経年変化といったものも含まれています。20代は20代の、80代は80代の美しさが必ずあり、そのときどきで最高の状態でいられるように、お客さまに最適な商品を提案しています」。アジア地域のジェネラルマネージャー、フレデリック・セイエ氏はそう語る。

日本への敬意を表し、街の特性を採り込んだ新店舗

客との接点である店舗に関しても、空間デザインが緻密(ちみつ)に考えられていて、出店する土地の歴史や文化を採り入れた造りとなっている。先頃オープンした新宿店では、左官の技術を採用。壁は多孔質で風雨にさらされた洞窟のような風合いだ。さらに、キャビネットに鏡面仕上げのステンレススチールを採り入れた。キャビネットに新宿のビルやネオンが映り込むことで街との一体感が生まれ、地域に溶け込むたたずまいになっている。

トレンドは追わない。一貫したスタイルがイソップの個性

イソップでは、売れ筋を研究したり、トレンドに合わせるなどして、新商品を開発することはない。「お客さまが必要としているものがわれわれのラインアップにあるかどうかを考え、なければ足していくというスタンス」。こういったやり方は、高い商品力がベースにあるべきだろうし、全世界の従業員が理念を共有し、一人ひとりがブランドを大切にしていなければ不可能だろう。

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近年、自然由来の商品を販売するブランドが増え、さらに言えば、ミニマルなパッケージデザインの商品も見られるようになった。しかし、イソップがこのスタイルでスタートしたのは33年前。信念を貫き、継続することで、揺るぎないブランドへと成長させてきた。セイエ氏は「きっと、似たような見た目のものはつくれるでしょう。けれども、ブランドの哲学、商品のクオリティー、開発力、従業員のマインドセットなどすべてにおいてイソップをまねるのは難しいと思います」と言う。自信がありながらも謙虚に語るセイエ氏の姿も、まさにイソップ的なのだろうと感じた。

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イソップ新宿店
住所/東京都新宿区新宿3-36-5
問/03-3356-8708

Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT)
Text:Yuko Oba

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