カジュアルウェア

四季の色を封じ込めたロングホーズ。

2022.01.24

ファッションエディターの審美眼にかなった、いま旬アイテムや知られざる名品をお届け。

400_main 210917_5571_02_Q
赤峰さんこだわりのロングホーズセットは、しゃれたケースに納められる。数量限定生産ゆえ、完売の際は次回の入荷までしばしお待ちを。¥26,400/アカミネロイヤルライン(インコントロ 044-871-5330

異常に短くなった流行のスパンに振り回されたり、逆に服選びに時間を取られるなんて無駄だと悟ったり。装いにおける価値紊乱(ぶんらん)の時代に、なぜか77歳のファッションディレクター、赤峰幸生さんが人気を集めている。

ご存じない方に説明すると、赤峰さんは1960年代から紳士服業界をけん引してきた、この世界では知らぬ者はいない大御所。近年は「アカミネロイヤルライン」という注文紳士服レーベルを立ち上げ、顧客と一対一で向き合っているのだが、いつの間にか業界内有名人の枠を大きく飛び越えた存在に。インスタグラムのフォロワーは約4万人、地方で開催されるオーダー会には、20〜30代の若者からの予約が殺到する。まさに赤峰現象だ。

とはいえ、赤峰さんはファッションの薀蓄(うんちく)や流行を語ることには興味がない。窓を開けたときに感じる季節の移ろい、道端に咲く花の色、喫茶店で飲むミルクティーの、ミルクとお茶のバランス……。彼が教えてくれるのは、僕たちの生活のなかに潜む美しさであり、装いはあくまでその副産物だということ。赤峰さんと話していると、昔の日本人には当たり前に備わっていたであろう四季を愛め でる感性が、自分にも養われていくような気がする。そしてコットンスーツに付いたおしょうゆのシミすらも、いとおしく感じられるのだ。デジタル社会を生きる若者たちにとっては、この感性こそがクールなんだろう。

そんな赤峰さんが、この秋オリジナルのロングホーズを発表した。長年の付き合いになる国内の紡績会社と共に糸から開発し、12色セットで販売するという。春夏秋冬の色をそのまま封じ込めた絶妙なカラーパレットは、まさに赤峰さんの暮らしと装いの哲学そのもの。今日は早速オフホワイトをはいて、ミルクティーでも飲みに行こう。

山下英介(やました・えいすけ)
ライター・編集者。1976年生まれ。『LEON』や『MEN'S EX』などの編集や、『MEN’S Precious』のクリエイティブ・ディレクターに従事した後、独立。趣味はカメラと海外旅行。

「アエラスタイルマガジンVOL.51 AUTUMN / WINTER 2021」より転載

Photograph: Satoru Tada(Rooster)
Styling: Hidetoshi Nakato (TABLE ROCK.STUDIO)

あなたへのおすすめ

トレンド記事

  1. 書家・根本 知さんと巡る<br>老舗の看板を読み解く<br>【第1回 日本橋】

    書家・根本 知さんと巡る
    老舗の看板を読み解く
    【第1回 日本橋】

    週末の過ごし方

    2026.06.05

  2. オーデマ ピゲ、天然石ダイヤルの新作発表<br>日本限定&先行発売モデルが登場<br>「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」に個性豊かな3モデル

    オーデマ ピゲ、天然石ダイヤルの新作発表
    日本限定&先行発売モデルが登場
    「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」に個性豊かな3モデル

    腕時計

    2026.06.04

  3. ロレックス ブティック 京王新宿で<br>特別な買い物体験を。

    ロレックス ブティック 京王新宿で
    特別な買い物体験を。

    腕時計

    2026.06.03

  4. シシド・カフカさんとマセラティ。<br>その撮影秘話をお届けします!

    シシド・カフカさんとマセラティ。
    その撮影秘話をお届けします!

    週末の過ごし方

    2026.06.05

  5. MINI Countryman(ミニ カントリーマン)<br>【「旅」を美しく彩るクルマは、<br>「人生」を変えてしまう魔法を持つ。】

    MINI Countryman(ミニ カントリーマン)
    【「旅」を美しく彩るクルマは、
    「人生」を変えてしまう魔法を持つ。】

    週末の過ごし方

    2026.06.02

紳士の雑学