週末の過ごし方
ウェルネスを大切にした、心身ともにリフレッシュできるコペンハーゲンのスモールラグジュアリーホテル2軒。
2026.05.29
スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド(以下SLH)に加盟するホテルを巡る旅。スウェーデンの次に訪れたのはデンマークだ。
ストックホルム・アーランダ空港からフィンエアーに乗り、ヘルシンキ経由でコペンハーゲンに向かった。
コペンハーゲン・カストロップ国際空港から市の中央駅までは電車でおよそ15分。目指すのは「ニンブ・ホテル」だ。ロケーションはコペンハーゲン中央駅の目の前。駅を出て横断歩道を渡るだけで辿り着ける圧倒的なアクセスの良さも魅力のホテルだ。
「ニンブ・ホテル」は、コペンハーゲンのランドマークとして知られるチボリ公園の中にあり、通りに面した中央駅側のファサードはシンプルだが、公園側に回ると別の建物かと思うほど表情が一変。ベネチア大理石を使ったまるで宮殿のようなフォトジェニックなデザインが姿を現す。
全38室の客室は、それぞれ内装の異なる「スタンダード ルーム」や「テラス デラックス ルーム」などに加えて、「バルコニー スイート」、「コーナー スイート」、「エグゼクティブ スイート」など複数のスイートも用意されている。
そして、ほぼすべての部屋に暖炉があり、窓からはチボリ公園の景色を楽しむことができる。
各客室には四柱式ベッドがあり、これだけで非日常的な世界観を感じることができる。
今回宿泊した5号室は床がヴィンテージ感のある板張りで、その気取りすぎていない雰囲気のためか、自然体で心地よく過ごすことができた。
「ニンブ・ホテル」の良いところは、館内や客室内でできることが多く、一泊では時間が足りないと感じるほどアクティブに過ごせる点にある。
例えば、入浴ひとつとってもそう。バスタブの脇には角質を除去するためのエクスフォリエイティング・グローブが置かれている。これを手にはめて円を描くように動かしながらカラダを洗うことで、天然のジュート(黄麻)が角質を落としてくれる。レモングラス、ユーカリ、ジンジャーの爽快な香りも心地よい。
普段からこうしたケアをしている人にとっては普通のことかもしれないが、そうでない場合は、入浴が日常とは少し異なる癒しの時間に変わる。
部屋での過ごし方への提案もあるのが「ニンブ・ホテル」のおもしろいところだ。ベッドの横に置かれていた用紙に記されていたのは、朝の習慣について。熱いお湯にレモン半個分の果汁を入れて飲むことが推奨されていた。そうすることで消化を助け、自然なエネルギーをもたらし、カラダを潤し、さらにはビタミンCと抗酸化物質の補給ができるのだそう。その結果、心身をやさしく目覚めさせることができるのだとか。
実際に試してみたところ、確かにゆっくりと心身が覚醒していき、シャキッとした気分になり、普段よりも朝から調子が良かった。
アルコールも含めて15種類ほどのドリンクが用意されたミニバーも楽しい。クラシックチョコレートミルクや、プレミアムジンジャービールなど、日本ではあまり見かけないドリンクを飲むことは、異文化に触れる貴重な機会となる。
ホテルの地下には300㎡もの広さを誇るウェルネス施設を完備する。トレーニング器具がズラリと並んだジムのほか、ハマム、トリートメントやマッサージができるスパもあるなど、コンテンツが満載だ。
日常と同じようにカラダを鍛えたり、休暇だからこそ心身のメンテナンスを行ったりしながら気分を刷新できる。旅の疲れも癒せるだろう。
そして、食事。1Fの「ニンブ ブラッスリー」は、チボリ公園を眺めながら食事を楽しめるフランス料理のレストランだ。朝食からブランチ、ランチ、ディナーに至るまで、定番メニューをはじめ、さまざまな料理がそろっている。特にメニュー名にNimbs(ニンブ)がついたこのレストランの特製料理には注目したい。
「ニンブ ブラッスリー」で前菜として注文したのは「モリーユ茸と黒トリュフの詰め物」。料理の仕上げとして目の前でトリュフをこれでもかといわんばかりにかけてくれるリッチなひと皿だ。トリュフが放つ芳醇な香りを存分に感じることができ、食べる前から幸せな気分に。モリーフ茸のしっかりとした歯応えとともにトリュフの風味をたっぷりと味わえる。
メインには「ニンブ特製リングイネ」をチョイス。中央にキャビアが盛り付けられた見た目にも贅沢なメニューで、具材にはロブスターやイカ、煮込んだトマトなどが使用されている。
弾力のあるリングイネを包み込むのは、魚介のうまみが凝縮された濃厚なロブスターソースで、煮込みトマトの甘さと酸味がアクセントに。
ディナーのあとは2Fフロアに移動し、「ニンブ バー」へ。天井の高い広々としたこの空間で楽しむべきは、オリジナルカクテルやヴィンテージシャンパンだ。
オリジナルカクテルは、例えば、クリーミーでほろ苦く、食後酒に最適な「エクリプス」や、甘くて、瞑想的なひとときにふさわしい重厚感のある「フリーデリシャス」、四川省産花椒を漬け込んだボルカン・テキーラを使用し、スパークリングで酸味があり、痺れるような刺激のある「プマ・スユ」など、気になるものが目白押し。
ノンアルコールカクテルも用意されているので、お酒が飲めない人でも安心。冬は暖炉の側で飲むのもオススメだ。
午前11時から営業が始まり、昼間は優雅なアフタヌーンティーの時間となり、18時からカクテルタイムとなる。
加えて夏場は、宿泊客と「ニンブ クラブ」会員専用の「ニンブ ルーフ」が屋上にオープン。温水プールに加えて、バー&ラウンジエリアもあり、コペンハーゲンの景色を眺めながら心地よい時間を過ごすことができる。
「ニンブ・ホテル」では時間を持て余すことがない。ホテルに導かれるかのように大小さまざまなことを試したり楽しんだりしているうちに時間は過ぎ去り、気づけば、心身ともにリフレッシュ。充実感とともに極上の癒しが得られるホテルなのである。
ニンブ・ホテル
https://slh.com/hotels/nimb-hotel
静かに穏やかに過ごせる環境と
ウェルネスプログラムで心身が蘇る
コペンハーゲンで次に訪れたホテルは、高級住宅街として知られる市内北部ヘレルプにある「パーク レーン コペンハーゲン」だ。市の中心部からはタクシーで20分ほど走れば到着する。
「パーク レーン コペンハーゲン」は、地域住民の憩いの場でもあるオーレゴール公園の隣接地にあり、部屋によっては窓から美しい公園を見渡すことができる。また海までも徒歩数分。自然を身近に感じられるロケーションも魅力のホテルとなっている。
客室は高い天井と大きな窓によって、明るく開放的な雰囲気を纏っている。リビングスペースにはベッドやソファ、仕事机、ミニバーを完備。本質的に贅沢な空間で、日常と変わらず、なに不自由なく過ごすことができる。
リビングスペースは細長い間取りのためか、なにをするにも妙に落ち着く。
部屋に備え付けのミニバーを開くと、まるでバックバーのように並んだボトル入りのカクテルやチョコレート、さらにはグラスや赤ワインなどが登場。
さらに冷蔵庫にはシャンパンや白ワイン、ビールなどが収納され、部屋でゆっくり飲みたい時も安心だ。
実はこの客室は、入り口のドアをあけた場所にサニタリースペースがある。バスタブや洗面台、シャワーやトイレがここにまとまっていて、リビングスペースとの間を完全に隔てる扉はない。部屋の中にバスタブがあるような感覚だ。
シャワースペースでは、固定式のシャワーヘッドがかなり高い位置に設置されているため、天から降り注ぐ恵みの雨のようにお湯が降り注いでくる。トイレも天井が高いため、不思議と非日常感が味わえる。
ウェルネスプログラムが充実していることもこのホテルの特徴で、さまざまな機器を借りることで、部屋の中で心身のメンテナンスができる。
例えば、内側が赤く光るレッドライト・フェイスマスク。このマスクを顔に装着することで、コラーゲンの生成を促し、肌のトーンを整え、小じわを軽減。肌本来の輝きを高めてくれるという。
赤外線PEMFプロマットは、その上で寝ることで、赤外線の熱とPEMF(パルス電磁場)療法の融合により、ストレスを軽減し、深い眠りを促し、心身のバランスを取り戻すサポートをしてくれる。
ほかにも深部体温を穏やかに上昇させるように設計された赤外線サウナブランケットや血行を促進し、足の重だるさを解消して筋肉の回復を早めると言われるノーマテックコンプレッションブーツを借りることができる。
さらにこれらにコールドプレスジュースやクレジングジュース、サプリメントなどを組み合わせた、さまざまな体験プランも用意されているので、移動の疲れがたまっている時などには積極的に利用したい。
「パーク レーン コペンハーゲン」には、3つのレストランがある。
「ロゼ・ロゼ!」は、クラシカルでカジュアルなフレンチ・デンマーク料理のレストランだ。伝統的なフレンチビストロ料理を終日提供しているほか、ランチタイムにはオープンサンドイッチもラインナップ。本格的でありながら気取りのない料理は、地元の人たちにも愛されている。
例えば、デンマーク産の牛フィレ肉を使った「フレンチビーフタルタル」。多様な素材で調理されているため、口に入れるたびにさまざまな風味が顔を出す。
ディジョンマスタードの辛味、エシャロットのさわやかな苦味、香草の独特な風味、コニャックの深みなど、ひと皿でいろいろな味が楽しめるのだ。上にのったクリスピーポテトのサクサクした食感も心地よい。ブラックペッパーでスパイシーに味変するのもありだ。
「エスカルゴのガーリックハーブバター焼き」は、歯応えのあるしっかりとした食感で、ガーリックハーブバターの風味が食欲をそそる。白ワインとの相性もぴったり。ワインの進む味わいだった。
店内にはワインバーも併設する。グラス一杯だけ、軽食だけでも利用できるので、ちょっとだけ飲みたい時や軽く食べたい時にも最適だ。
木曜、金曜、土曜の夜は、バーテンダーの演奏もある。音楽をかけながら素晴らしいドリンクをシェイクして、最高の雰囲気を演出してくれる。
「レストラン2900」は、世界の味と北欧の職人技が融合するグローバルキッチンだ。旬のデンマーク産食材と厳選された世界各地の名物料理を巧みに組み合わせたメニューが多くの人々を魅了する。
公園側の窓から自然光が差し込む心地よい雰囲気の中で味わえる朝食は、1日のスタートにふさわしく、さらにはディナー、日曜日にはブランチも楽しめる。
さらにもうひとつの「パセリ サロン」は、ミシュラン一つ星にも輝く魚介類を専門とするレストランだ。
フランス料理をベースに北欧の旬にこだわったメニューが特徴で、2026年の春メニューにはデンマークのレス島産のアカザエビや北ノルウェーの深海産のエビ、北海産タラなどが並ぶ。
わずか6つのテーブルだからこそのアットホームな雰囲気も魅力だ。
コペンハーゲン中心部の喧騒から少し離れた場所にあるからこそ、「パーク レーン コペンハーゲン」にはゆるやかな時間が流れている。
ウェルネス器具やプログラムも充実しているため、心身のデトックスやリフレッシュをしながら、おいしい料理でお腹を満たす。まさに人間本来の豊かな時間を取り戻せる、安らぎのホテルなのである。
パーク レーン コペンハーゲン
https://slh.com/hotels/park-lane-copenhagen
フィンエアーに乗っている限り、
北欧の旅は終わらない
SLHに加盟する6軒のホテルを巡ったあとは、フィンエアーのビジネスクラスで帰路へ。コペンハーゲン・カストロップ国際空港からヘルシンキ・ヴァンター国際空港へ飛び、そこから羽田空港までの直行便を利用した。
ヘルシンキ・ヴァンター国際空港からの直行便は成田空港、中部国際空港、関西空港にも就航していて、いずれも夕方以降の出発なので、特にヘルシンキに滞在している場合は、最終日にも十分観光ができるのは嬉しい。
ビジネスクラスを利用したため、ヘルシンキ・ヴァンター国際空港では、ゲート52番付近にある非シェンゲン側のビジネスラウンジで一旦休憩をとる。
450名分の席が用意されているので混み合いにくく、ただ座れるだけではなく、余裕をもって座ることができるのは、特に旅の疲れが溜まっている時はありがたい。
ここではワインやシャンパン、ビールなどのアルコール類やノンアルコールドリンク、ビュッフェ形式の食事とともに出発までの時間を過ごすことができる。
また、5つあるプライベートシャワースイートで、長旅に備えてスッキリしておくのもオススメ。羽田空港までの飛行時間はおよそ13時間30分だ。
バーではぜひ「ジン&トニック」を飲んでみたい。フィンランドのプレミアムジン「キュロ」をベースに使用。ローズマリーやクランベリーも加えたさわやかで飲みやすい一杯だ。旅の疲れをゆっくり溶かしてくれる。
ラウンジには仕切りのついた席も多い。プライバシーを確保できるだけでなく、パソコンで作業をする場合に周囲の目が気になりにくく、集中しやすい。
防音設備付きの電話ブースも用意されていて、急ぎのオンライン会議などにも対応できるのは、多忙なビジネスマンにはありがたい。
搭乗時刻となったので、ラウンジを離れて機内へと進む。ビジネスクラスで使われているコリンズ社製のシート「エアラウンジ」は、シェル型の個性的なデザインが特徴で、包み込まれるような感覚が心地よい。
出発後、まずはフィンランドのトゥースラにあるマク・ブリューイングが手がけるクラフトビール「マク チヌーク IPA」を頼んでみた。麦芽の苦味をしっかりと感じながらも軽やかで飲みやすい。
ほかにもドリンクメニューにはフィンランド産のジンやウイスキー、カクテル、デザートワインなどが数多く並ぶ。フィンエアーの機内にいる限り、北欧の旅は終わらないのだ。
ヘルシンキ・ヴァンター国際空港を出発し、しばらくすると最初の食事が提供される。メインに選んだフェンネル風味のサーモンは肉厚でボリュームたっぷり。しかもやわらかくてジューシーで、白ワインとの相性は抜群だった。
食後にはデザートも提供された。料理にはそれぞれオススメのワインが紹介されているが、デザートの場合はデザートワインやポートワインとのペアリングが推奨されていた。
食べて飲んだあとは就寝。座席は背もたれをリクライニングするのではなく、レッグレストをあげることで完全に平らになるレイフラットベッドを採用。マットレスパッドに加えてフィンエアーのためにデザインされたマリメッコの掛け布団も用意され、布団にくるまりながら、ぐっすりと眠ることができる。
そして、目覚めて2度目の食事を楽しんだら、羽田空港はすぐそこだ。
フィンランド、スウェーデン、デンマークのSLH加盟ホテルを巡った今回の旅。振り返ると、それぞれタイプは違えど、心身が満たされる個性豊かなホテルばかりだった。
スタッフのみなさんとの距離感も近く、さまざまなやりとりを通して、ゲストをもてなしたい、楽しませたいとの気持ちが伝わってきたことも、とても嬉しく感じられた。
一度このような本質的な贅沢を知ってしまうと、以降はSLH加盟のホテルに滞在することが、観光よりも大切な旅の目的になってくる。6軒のホテルでの宿泊を通して、そう強く感じた旅だった。
SLH(スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド)
https://www.slhhotels.jp/
https://slh.com/
フィンエアー
https://www.finnair.com/jp-ja
Photo & Text:Hiroya Ishikawa