旅と暮らし

俳優・岸谷五朗、街を呼吸する。
第2回 六本木

2017.10.06

俳優・岸谷五朗、街を呼吸する。<br>第2回 六本木

俳優岸谷五朗は、演出家の顔ももつ。主宰する演劇ユニット地球ゴージャスでも出演と脚本のほか、演出も担当。オフのときには準備と勉強を兼ね、数々のステージを観る。ただ、演劇は音楽、ダンス、そしてアートなどが融合した総合芸術。劇場だけでなく、美術館も訪れ、感性を養い、引き出しを増やす。

「好きなんですよ、美術館が。ずっと眺めつづけて、気が付いたら閉館時間になっていることもよくあります」

今回訪れた六本木ヒルズにある森美術館で、開催中の「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」を見ながらそう語る。

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実際、展示された作品からインスピレーションを得ることは少なくないが、岸谷にとってアートとステージはそれ以上に特別な関係があるようだ。たとえば1993年からエイズ知識啓発ライブイベント「Act Against AIDS」を手がけているが、その出発点となったのは自身がエイズによる合併症で亡くなったキース・ヘリングのアートだった。そして、2016年に『ラディアント・ベイビー~キース・ヘリングの生涯~』というブロードウェーミュージカルの日本版の演出をすることになる。

「実際に、自分たちに続ける勇気をくれたキースの作品をステージで使いました。運命的なものを感じましたね」

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歓声と拍手が響く劇場の「動」と沈黙と思考に満ちる美術館の「静」。異なるものの、岸谷は美術館がもつ空間性に引かれるという。確かに見られることを計算しての設計、外界から切り離されながらも開放的な内部など、劇場と相通じるものがある。どちらも表現者・岸谷五朗にとって、創造のための大切なゆりかごに違いない。

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<岸谷五朗(きしたに・ごろう)>
1964年生まれ。大学時代から劇団スーパー・エキセントリックシアターに在籍し、舞台、テレビ、映画で活躍する。特に1993年「月はどっちに出ている」では映画初主演にして多くの映画賞を受賞し、高い評価を集めた。94年に独立後、同時に退団した寺脇康文と組み、演劇ユニット地球ゴージャスを主宰。出演以外に演出・脚本も手がけ、毎公演ともソールドアウトとなる人気を集めている。待望の次回公演は来年春を予定。

<六本木とは?>
六本木界隈にあった旧日本陸軍の軍事施設が戦後GHQに接収されたことから、外国人向けの飲食店やブティックなどが開業するようになり、かつては静かな住宅街だったエリアが国際色豊かな界隈となった。森美術館のある六本木ヒルズは2003年オープン。80年代から20年をかけた再開発プロジェクトで、カルチャーの発信地としての街の存在感を底支えしている。

<訪れた美術館>
森美術館
現代アートを中心に、建築やファッションまでを横断するユニークな企画が毎回評判を呼ぶ天空の美術館。2003年の開館以来、六本木の文化的なシンボルとなっている。サントリー美術館、国立新美術館と共に六本木アートトライアングルを形成する。今回紹介している「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」は国立新美術館との初の共同開催。10月23日(月)まで。東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53F 03-5777-8600 開館時間10時~22時(月・水~日曜)10時~17時(火曜)会期中無休 ※11月18日(土)から「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」を開催。http://www.mori.art.museum/

コート¥690,000 ニット¥102,000 パンツ¥94,000 ベルト¥52,000 靴¥164,000/すべてブリオーニ(ブリオーニ ジャパン 03-3234-0022)

掲載した商品はすべて税抜き価格です。

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Photograph:Satoru Tada(Rooster)
Styling:Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair:AKINO@Llano Hair(3rd)
Make-up:Riku(Llano Hair)
Text:Mitsuhide Sako (KATANA)

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