腕時計

タフであることがGショックの存在証明。
[男の服飾モノ語り]

2018.06.13

山本晃弘 山本晃弘

「腕時計が欲しいのではない。Gショックが欲しいのだ」。

購入する人に共通した思いを代弁すると、こうなるだろう。時計に限らず、ブランドビジネスに関わる誰もが、コンペティター(競合相手)のいない唯一のブランドを目指す。では、Gショックがそういったポジションを獲得することができたのは、どうしてなのか。

理由は明快だ。最初に「タフネス」とういコンセプトありき。その軸は、初代モデルが発売されて以来35年間、一度たりともぶれたことがない。

Gショックの開発者である伊部菊雄氏が書いた、「落としても壊れない丈夫な時計」という一行だけの企画書からプロジェクトが始まったエピソードは、あまりにも有名。約2年の開発期間に、200を超える試作品が作っては、落とし、壊されつづけた。1983年、初代モデルDW-5000Cが登場。唯一無二の「タフネス」は、ウレタンで全面をカバーし、時計の心臓部を点で支えてケース内で浮遊させる空中構造で実現した。デビュー時の鮮烈な存在感は、いまだに印象に残っている。

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最新モデルのGショックは、ステンレススチール素材のGMW-B5000D-1(税別6万円) あれから35年。今年4月に発売された最新モデルGMW-GMW-B5000は、初代モデルからの系譜を受け継ぐスクエア型シリーズで初のフルメタル仕様だ。ケース、ベゼル、バンドといった外装素材には、硬質なステンレススチール素材を採用。そして、スマートフォンと連携する先進機能も搭載している。
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3月に行われた時計見本市バーゼルワールドに展示された、サファイアクリスタル素材を使ったコンセプトモデル。(未発売)

じつは3月に行われたバーゼルワールドでは、サファイアクリスタルを使ったGショックのコンセプトモデルが展示された。硬度9という極めて高い硬さをも素材に挑んでいるのは、初代モデルの開発者である伊部菊雄氏である。  

究極の「タフネス」への挑戦に、終わりはなさそうだ。

プロフィル
山本晃弘(やまもと・てるひろ)
AERA STYLE MAGAZINE編集長
「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年に朝日新聞出版の設立に参加。同年、編集長として「アエラスタイルマガジン」をスタートさせる。新聞やWEBなどでファッションとライフスタイルに関するコラムを執筆する傍ら、幅広いブランドのカタログや動画コンテンツの制作を行う。トークイベントで、ビジネスマンや就活生にスーツの着こなしを指南するアドバイザーとしても活動中。初の執筆書籍「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」を、3月16日に刊行する。

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