紳士の雑学

ペイペイ、ペイペイ言うけれど…… 。

2019.09.27

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右の財布[H19×W9㎝]¥37,000/コーチ(コーチ・カスタマーサービス・ジャパン0120-556-936)、左上の財布[H11×W9.5×D1㎝]¥70,000/コノリー(コノリー銀座店03-3574-3411)、左下の財布[H12×W8×D2.5㎝]¥26,000/フルラ(フルラ ジャパン0120-951-673

最近はコンビニで缶コーヒーひとつ買うにもペイペイペイペイって、うるさいったらありゃしない。ひょうきん族のアダモちゃんじゃないんだから。そりゃあ確かに、キャッシュレスは便利である。身軽である。しかしだ、よく冷えたホッピーを出すなじみのもつ焼き屋でも使えるのか。タンメンと餃子がうまい近所の町中華でも使えるのか。残念ながらまだまだ、ノットペイペイなのだ。

ウォレットも、今どきはスマートなサイズが主流になりつつある。どんどん薄く、どんどん小さくなり、中身に入れるのはお札が1、2枚とカードのみ。小銭入れはなし。領収書を入れるなんてもってのほか。なかにはあまりにコンパクトになりすぎて、お札を小さく畳まなければ収納できないウォレットなんてぇのまである。初詣で神社の賽銭箱に投げ入れる1万円札じゃないんだから。

この調子でいくと、ひょっとしたらウォレットもやがては趣味嗜好で持つアイテムになるんじゃなかろうか。上質な革の長財布を持つことは、高級な腕時計を持つことと同価値なのだ。別に持っていなくても事足りるお気に入りの舶来製の三つ折り財布は、アンティークのパイプで喫煙を楽しむのと同じなのである。それはそれで大いにけっこう。腕時計しかり、パイプしかり、男の持ち物は趣味の領域になってからこそが面白い。

要は、ウォレットもTPOで使い分ければいいのである。ホテルのバーやレストランはスマートにキャッシュレスで。もつ焼き屋や町中華では、長年愛用しているツイードのジャケットの内ポケットからエイジングした財布を出しておあいそする。ペイペイな時代にはこんな対応がいちばんスマートで、いちばん格好いい。

Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT)
Styling:Tomonori Kobayashi
Text:Atsushi Ide

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